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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
正義愛鬱編

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第162話 恨みの一撃

「フハハハハハ!邪神め!我が数十年の恨みを思い知ったか!?」


魔力の渦が溢れた。


闇の龍のような魔力が駆け巡り、あたり一面を包んでいく。


「エイサイ!」


「リユウ姉!」


アマンの兵もショウの兵も、その魔力の奔流に呑み込まれた。


「うわああああ!」


「お母さあああん!」


兵たちが阿鼻叫喚の悲鳴を上げる。


(巻き込んだ兵たちにはすまんことをしたが——仕方ない)


カクトは魔力を使い果たし、膝をついた。


しかし次の瞬間、クロのいた地点を中心に白い光の波動が放たれ、魔力の渦が根こそぎ吹き飛ばされた。


「なんだ、なんともないぞ!?」


自分と仲間の無事を確かめ合う兵士たち。


(これは!)


見ると、兵たちはみな結界に包まれていた。


「おい、○ンポ勇者。そういうことだぞ。お前は私に文句があるのだろう」


魔力の渦の中から、クロが現れた。


いつの間にか、胸元と背中が大きく開いたドレスに着替えている。


黒髪が美しく、シルクのように風になびく。男の兵士はもちろん、女の兵士までもその美しさに目を奪われた。


「だが、男だ」


死翼が現れ、淡々とツッコミを入れた。


「馬鹿な!今の一撃はあの白虎竜を倒した数十倍の威力があるのだぞ!万一消滅を免れても、貴様の魂は魔力でできた空間に数百年は封印されるはずだ!」


カクトはやっとのことで立ち上がりながら叫んだ。


「お前は誤解をしているよ」


クロは無意味にセクシーなポーズを取りながら言った。


「シロのやつは、単純な戦闘なら四神の中でも最強だ。お前などが勝てるわけがない」


「だが、現にわしはあやつに勝った!」


「やつは戦闘狂でな。試合をするときは相手の能力に合わせ、自分には大幅なハンデをつけながら、相手の魔力と身体能力を極限まで引き上げて勝負するんだよ。だからお前も、やつとの戦いではかつてない力を感じなかったか?」


クロは無意味に体をくねらせ、兵たちは目を奪われた。


「ば、馬鹿な!いや、しかし……」


(たしかに、わしはあのとき、かつてない力を感じたが……!)


「クロ様、よろしいでしょうか」


リユウが横から口を出した。


「なんだい?」


「カクト殿、貴殿は不戦協定を破り、我々に攻撃を仕掛けてこられました。これはどういうことでしょうか」


リユウはカクトをにらみつけた。


「いや、これは……!?」


カクトはリユウとクロの二人を前に後ずさった。


その瞬間、弓矢と魔法の矢がリユウの兵たちに降り注いだ。


「貴様らこそ、クロ様と死翼様を利用して、カクト殿をはめるつもりだな!そうはいかんぞ!」


ヨウトの顔をしたビエムだった。


クロは気がついた。


「お前が黒幕か」


本来であれば、それで終わりのはずだった。


視線を通じて、光の速さで魔力がヨウトに届く。それで塩の柱になる——はずだった。


ヨウトの前に光の壁が現れ、クロの魔力が弾かれた。


「死翼、お前どういうつもりだ」


クロの右手に闇が生まれた。


「彼はここで死んでは困るんだよ」


死翼が手をかざすと、クロの身体を黒い鎖が縛り上げた。


人の力では絶対に切れないだろう、闇の鎖だった。


しかしクロは、いとも簡単にその鎖を引きちぎった。


「だったら、お前から死ね」


クロは右手から生まれた闇を死翼にかざした。


マイクロブラックホール。


超重力の空間。光すらも吸い込み、巻き込まれた者には世界が加速し、外から見る者には一瞬で消え去る。


死翼ですらも逃れることはできないはずだった。


しかし——クロが鎖を引きちぎるその一瞬に、黒い羽根が舞い上がり、死翼もカクトもヨウトも、かき消えた。


空間もろとも掻き消えたようだった。


「逃げたか」


クロは小さく呟いた。


あとには、何が起きたかすら認識できなかった人間だけが残された。


◇




遠く離れた平原、ヨウトとカクト、兵たち、そして死翼がたっていた。




「ああ、やばかった。玄武め。本気で怒っているな。いくら私でもアレをくらったら消滅していたかもしれん。」れん。」




死翼はもともと白い顔を白くしていう。




「なぜ、助けてくれたのだ?」




カクトが死翼に聞いた。




「ちがう、必死だっただけだ。お前などしらん。そこの男、お前だ。」




死翼はヨウトをみていった。




「私、ですか?」




意外な反応にヨウトはおどろく。




「あの地で、かすかにお前の魔力の残滓を感じた。核爆弾をつかったのはお前だろう。」




「さて、なんのことだか・・・」




ヨウトはそうは言いながらも次の言葉を考えていた。




「別になにも責めようというわけじゃない。覚えている範囲で、そのあとどうなったかおしえてくれ!」




「は!?」




「核兵器が起動したあと、放射線とやらはどう振る舞った? 土はどの程度汚染された? 水は? 生物は? 人間の肉体にはどんな変化が出た? 本来はもっとあとで確認したかったが、玄武と青竜が除去したのだ!」




死翼は興奮するようにいった。




「クククク」、ヨウトは笑った。こいつは使えると。




「いいでしょう、死翼様。お伝えしましょう。ただし、あの兵器は量産しようとおもっているのです。ぜひ、死翼様の叡智をお借りしたいのです!お望みなら、私が見たものをすべてお話ししましょう。死に方も、腐り方も、起き上がり方も 」




「おお!異世界の兵器を量産!?ぜひ、その研究に参加さえてくれ!」




「よろこんで!」


二人は笑い合った。




最悪の組み合わせが、最悪の笑顔で手を結んだ。




一方、カクトは誰にも気づかれないまま、一人うちのめされていた。




数十年。




この一撃のためだけに生きてきた。




その魔力が、クロには傷一つつけなかった。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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