↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
正義愛鬱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
158/279

第158話 振り回される人々/刑将の居城にて

「アンデッドが消えただと!?」


ショウは部下の報告に耳を疑った。


「それだけではありません!緑がよみがえり、傷ついた者たちも皆、回復したそうです!信じられませんが!」


前線から戻ってきた使者が興奮気味に言った。


ざわ、とした空気が重臣たちの間に広がった。


(こんなことができるのは神々しかおらん。もしやクロ様が……)


「民は、閣下が被災地に赴かれ、何か御術をされたのだろうと噂し合っています!」


「なに?」


当然、ショウには心当たりがなかった。


「良いではありませんか、閣下。肯定せずとも、否定する必要もないでしょう」


ヨウトが笑みをたたえて言った。


「そうです!アマンは何もしなかった。現地に赴かれたのは閣下だけです!」


重臣たちもショウを称えた。


ショウは沈黙した。


(たしかに、アマンが難民救済をしていたとしても、現地に足を運んだのは私だ。)


(しかし——)


「……わかった」


ショウは重い口を開いた。


「物的な損害の処理、遺体の収容、難民への物資配給——各担当、それぞれの役目を果たせ。今はそれが先だ」


称賛には答えなかった。


が、否定もしなかった。


ただ、次の任務を命じた。


ジョカエルはひとり、ヨウトを冷たく見ていた。


◇


バキ!


廊下でジョカエルがヨウトを殴り飛ばした。


ヨウトは後ろに倒れ、壁に激突した。


「ジョカエル様!」


リジュエルが声を上げる。


「ビエム。今回の件、やったのはあんたでしょ」


吐き捨てるように言った。


「なんのことだか」


ビエムは立ち上がりながら冷笑を浮かべた。


「とぼけないで。私たちの使命は虐殺ではないのよ」


ジョカエルは再び拳を構えた。


「おっと、神使同士の殺し合いはご法度ですよ」


「わかっているわよ。しかし、この件は本国に報告するわ」


「証拠でもあるんですか? 私がやったという」


「お前以外に誰がやったというの」


「あんなものができるのは邪神どもしかいないではないですか」


「邪神?」


「四神か、四凶か、それとも他の魔王か。可能性はいくらでもある」


「馬鹿な。お前、彼らを敵に回す気なの?」


ジョカエルはビエムをにらみつけた。


「いやいや、私は可能性のひとつを提示しただけにすぎません」


ビエムはヨウトの顔で薄ら笑いを続けた。


「必ずしっぽをつかんでやるわ」


ジョカエルはそう言うと踵を返した。


それからまもなく、民衆の間で噂が流れ始めた。


奇跡を起こしたのは霊神。それを導いたのがショウ。そして——キ州の爆発は、アマン軍の兵器実験の失敗である、と。


◇


アマンは苛立ちと驚愕を覚えながら報告書を読んでいた。


ショウの属州で謎の爆発が起こった。


おそらくは核兵器に違いなかった。


大地は死に、アンデッドが溢れた。


しかし突然、雨が降り、大地に緑が戻り、アンデッドは消え、民と兵の傷が癒えた。


(アオ様たちの仕業と思うが、それならそうと連絡をくれればいいものを)


そして——聞き逃せない噂があった。


(今回の虐殺を、私が起こしただと)


アマンは報告書を静かに置いた。


(否定するのは簡単だ。だが、この手の話は否定するほど疑いが広がる。真犯人を探すしかない)


(そのためにはショウの領地に調査団を派遣させねばならない。ショウが真犯人でないなら、受け入れるはずだ)


(そして——調査団が動けば、黒幕も動く)


罠とわかっていた。


わかった上で、アマンはショウへの調査団派遣の申し入れを行った。


罠に踏み込むことでしか、罠を暴けないこともある。




◇


ワタシたちは刑将の居城についた。


さすが魔族の居城だった。王国では見られない魔人や巨人が、こちらの様子をうかがっている。仲間たちも緊張した様子だ。


しかし文業がワタシたちの前を歩き、シリュウがワタシと談笑しているのを見ると、難癖をつけてくる者はいなかった。


仲間たちは兵舎で待機し、ワタシとヨクト、ビゼンが刑将と面会することになった。


謁見の間、王座には魔人が座っていた。


全身、鋼の肉体。髪は挑発的なオールバック。人間で言えば五十代、ヤクザの親分といった風格だった。


(病気だと聞いたが、そうは見えないわね)


シリュウと文業が跪き、ワタシたちもそれにならった。


「シリュウよ。そいつがお前と同じ、例の魔勇者プロジェクトの生き残りだな」


刑将が低い声で尋ねた。


「はい。アビと申します」


魔勇者プロジェクト——異世界の人間を召喚し、魔王側の勇者として育てようとした計画だ。それに巻き込まれ、ワタシもシリュウもジョカもこの世界にやってきた。


「噂は聞いたことがある。はるばるご苦労だったな」


刑将がワタシに視線をやった。


「恐れ入ります」


短く答えながら、ワタシは彼を観察した。


(強いな、コイツ)


それが率直な感想だった。解析しても魔力の底が見えない。


もっとも、四神や四凶にいたっては底が見えないどころか、せいぜい並の人間にしか感じないわけだが。


「刑将様、お待ちください」


控えていた魔人が声をかけた。


いやちがう。


こいつ、人間だ。


鋼のような半裸の上半身が、謁見の間の灯りを受けて輝いている。


「文業はこの人間を認めたそうですが、我らが認めたわけではありません。ぜひ、手合わせの許可を」


「ククク、すまんなアビとやら。若い連中がこうなったら止めようがない。悪いが少し相手をしてやってくれないか」


ワタシは男の方を見て解析した。


なるほど、なかなかの魔力だ。


「わかりました。ワタシがあなたの相手をすればいいのね」


「正確には、私たちだ」


控えていたローブ姿の魔人二人が前に出た。


「オレの名は籍(せき)。この二人は良(りょう)と異怒(いど)だ。そちらも三人、こちらも三人。勝負は対等——どうだ?」


「いいわよ」


ワタシはヨクトとビゼンを見た。


「ビゼン、ヨクト、二人ともいいわね」


「もちろんだ」


ヨクトがニヤリと笑う。


「ああ」


ビゼンが青竜冷艶鋸を構えた。


刑将が王座で腕を組み、静かに目を細めた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


続きが気になった方は、

ぜひ応援クリック、ブックマークをお願いします!

SNSで拡散お願いします

やる気がでます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。