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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
正義愛鬱編

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第151話 勇者ヨウトの顔/魔物のルール

「あそこです、アマン様」


オウライが一つの建物を指した。とある町のはずれにある屋敷だった。


「ああ。兵で取り囲め。抵抗する者は容赦するな。だが聞きたいこともある、なるべく殺すな」


「ハッ!」


オウライはそう言うと兵を連れ、建物の門の前に立った。


「開けろ!我々はアマン様の官軍だ!開けなければ力ずくで開けるぞ!」


沈黙。


「だったら!」


オウライは扉に大斧を振るった。破壊音とともに扉が砕け散る。


「行くぞ!抵抗する奴は容赦するな!だが無抵抗の者は殺すな!ここの責任者を探せ!」


オウライは兵に声をかけ、自ら先頭に立って踏み込んだ。


「出ていけ」


奥から声がした。


柱の陰から男が姿を現す。二十代くらいの若い男だった。長剣を携えている。


「お前がここのボスか」


オウライは斧を構えながら確認した。


「ここは静かな場所だった。場所を変えたい」


男が静かに呟いた。


「そういうのは、オレが扉を開ける前に言うんだったな」


オウライが大斧を構えた瞬間、男が間合いに踏み込んだ。


「おらあ!」


オウライの一撃が男に振り下ろされる。


ガキィ!


激しい金属音。


「なに!?」


男は刀でオウライの大斧を防いだ。


通常の刀であれば折れるか、防いだ武器ごと相手は吹き飛ばされる。


(強化系のスキルか)


「オオ!」


オウライの筋肉が盛り上がる。


(もう一撃!)


オウライが上段から斧を振るう。男が再び刀で受け止める。


だが、オウライは片手で斧を振るっていた。


次の瞬間、もう片方の拳が男のみぞおちを抉った。


「ぐはあ!」


男が体をよじらせて崩れる。


「見事だな、オウライ」


アマンがやってきた。部下が男に網をかける。


「あー、嫌なことを思い出した」


オウライは自分と同じ目に遭った男を見て苦笑した。


「これは魔力を抑える網だ。もともと対ロフを想定して作ったものだ。簡単には逃げられん」


そう言いながら、アマンは男の顔を確認した。


「こいつは!?馬鹿な、ありえん」


「どうしました!?」


「この顔は……勇者ヨウトだ。細部は違うが、そっくりだ!」


「なんですって!?」


アマンは網に捕らえられた男に声をかけた。


「おい、貴様!何者だ!」


「ははは。オレはヨウトだ。勇者ヨウトだ。よくわかったな」


男が笑いながら答えた。


(会話にならんか)


「オウライ、私は屋敷を調べる。お前はこの男を見張っていろ。何かあれば、お前にしか対応できん。自害などさせるなよ」


「ハッ」


アマンはオウライに命じると、屋敷の捜索に入った。


アマンの部隊が本来得意とするのは、秘匿された情報を見つけ出す犯罪捜査だった。


◇


「アマン様、ありました!」


部下がゴミ箱の奥から灰の塊を見つけてきた。


「これだな。やれ」


「ハッ」


部下の一人が灰に手をかざした。


灰が生き物のように動き、文字を形成していく。


「これは——」


現れた内容に、アマンは思わず声を上げた。


◇


「オウライ、至急、都に戻るぞ。ここはもういい」


アマンはオウライに声をかけた。


「ハッ」


(しかし、もう間に合わないかもしれん)


◇


旧魔王領と王国の境の都市、西域。


「俺たち、注目を集めてるな」


ヨクトが周りを見ながら言った。


「まあ、三百人の武装した集団がぞろぞろ歩いてれば、そうなるわよ」


リザードマン、オークといった魔物たちがちらちらとこちらをうかがっている。


「あんまり目を合わさないでよ。私たちはここを通過するだけなんだから」


そう思っていると、案の定来た。


「おっと、兄ちゃんたち。ここを通るには通行料がいるんだ」


身長三メートルはある豚の獣人オークが、数名でこちらに絡んできた。


ヨクトをリーダーと勘違いしたようだ。


周りを見ると、数十人のオークに囲まれていた。


人間の部隊だと侮っているらしい。


「で、通行料はいくらなんだ?」


ヨクトが槍を肩に担ぎながら聞く。


「そうだな。金目のものと食糧、全部だ」


オークがニヤリと笑った。


「食糧ならいいぜ。ただし豚しかないんだが、それでいいか?」


「てめえ!?」


オークがヨクトに掴みかかろうとする。


その瞬間、ヨクトのスキル【豪傑覇気】が発動した。前方のオークたちが次々と倒れ込む。


「お?コントロールがうまくなったじゃない」


思わずヨクトを褒めた。以前なら、仲間まで巻き添えにしていた。


「何しやがった!」


「やっちまえ!」


オークたちが一斉に襲いかかってきた。


「武装隊は医療班と生活班を守って!ヨクト、ビゼン、モス、華侯姫はやりすぎないでよ!」


「オウ!」


「了解!」


ベヒーモスの魔人モスや悪魔の華侯姫も別格だ。それがわからない時点で、相手はかなりアホということになる。


そして一番の心配——アオの方を見ると、いない。どこに行った。


いた。


なんと、見物人に混じり、ワタシたちとオークの集団、どちらが勝つかの賭けに参加していた。


オークたちは次々と湧いてきたが、はっきり言って相手にならなかった。


ビゼンが青竜冷艶鋸を振るうと、次々とオークが肉の塊になっていく。


(あーあ、やりすぎるなと言ってるのに)


ヨクトの前にはオークたちは立つことすらできなかった。ほとんどが近づくだけで気絶していった。


(あいつらが一番ラッキーだな)


モスと華侯姫もオークを次々と切り刻んでいく。


(おいおい、だからやりすぎるなと)


「やめろ、お前ら!お前らの勝てる相手じゃねえ!」


後ろで腕を組んで見物していた、四メートルはあるオークが動き出した。


私からみればもはや建造物レベルでデカい。


その声に、オークたちだけでなく、見物していた他の魔物や人間たちも静まった。


「おい、お前らやってくれたな」


ボスらしきオークがゆっくりと近づいてくる。


ヨクトが前に立ちふさがり、【豪傑覇気】を放つ。


オークは微動だにしなかった。


「へえ、やるじゃないか」


ヨクトがニヤリと笑った。


「おい、そこの女!お前がボスだろう!」


オークが私を指さした。


「よくわかったじゃない」


ワタシはヨクトの前に立った。


「先に喧嘩を売ってきたのはあんたたちよ」


「それはそうだ。負けた連中は、アイツラが悪い」


オークは死んだ仲間たちを見て言った。


ここから先はそういう場所だ。人の常識は通用しない。


「だが、お前もリーダーなら、オレとタイマンをしろ!女!」


オークが指を突きつけてくる。


「うちのリーダーはお前らごとき相手にしないんだよ」


ヨクトが槍を構えたが、ワタシは彼を遮った。


「まあ、これは試験のようなものよ。いいわ。その挑戦、受けてやる」


ワタシはオークに向けて剣を構えた。



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