第148話 新たな依頼
ワタシとヨクトはこまったことになったと話あいながら陣に帰った。
すると、魔族商人のジークが来ていた。
「あら、ジーク、いらっしゃい。」
ビゼン、ソウと打ち合わせをしていた彼女に挨拶をする。
「アビ、いいところに戻ってきた、ジーク殿から依頼があるそうだ。」
ビゼンがそういってジークを私のところにつれてきた。
「アビ、アンタを、いや、アンタの傭兵団をご指名だ。異例主はシリュウ・ヨウ、あんたと同じ異世界人ぽい名前だね、知ってるかい?」
「シリュウ!ええ、こっちの世界に来たばかりの時の仲間よ。」
(ジョカといい、あの時の仲間と縁がもどるとはね、これは偶然?)
「今、そのシリュウは旧魔王領のとある魔族の有力者のところに雇われていてね、アビ、あんたに助っ人にきてほしいと私を通じて依頼が来た。」
「なんで、今更…‥」
ワタシは何か裏があるのではないかと思った。
「アビ、あんた、自覚ないのかい?王都では王族の暗殺犯を倒し、次にチュウエイとの決戦に参加し、最近ではあのコウロをとらえた傭兵団の隊長だよ。その道じゃあ、あんた有名人だよ。」
呆れたようにジークがいった。
「え?そうなの?嬉しいような、嫌なような…。」
「で?どうする、アンタ忙しそうにみえるし、断る?」
「いや、彼女の依頼なら断れないよ。」
ワタシは即答した。
「なんだ、おんななのか?」
ヨクトが意外そうにいった。
「ええ、シリュウは優秀な女魔導士よ。」
「相変わらず、おんなにはモテ‥‥いたあ!」
ヨクトがそう言いかけたのをワタシは思い切り足を踏んでやった。
【豪傑覇気】とはいえ、無防備ならどうしようもない。
(それに、それを理由に霊都を離れられるんなら、アマンともめ事を避けることもできる。)
「ところで、あそこは今どうなってるの?」
「魔王の跡が目をめぐって、群雄割拠ってやつだね。その中で今、もっとも有力なやつの一人がが刑将って魔族で、今、シリュウはそいつに雇われている。」
「魔族にやとわれてんのか?」
ヨクトが驚く。
「アタシだって魔族だよ。魔族って言っても意味は広い。純粋な受肉した悪魔の血を引くやつも魔族だし、吸血鬼を魔族とぶことだってある。」
ジークが苦笑していった。
「そういやそうか。」
「そしてもう一人が、災王、勝ったほうが魔王を名乗るとも言われてるけどね。」
「魔王ってだいたいどうやったらなれるんだ。勝手になれるのか。」
ヨクトが聞く。
「なれないよ。」
水着姿で日光浴をしていたアオが答えた。
(なにをしてるんだこいつは。)
どこで知識を得たのかなぞだが、サングラスまでかけている。
「世界の他の魔王たちに認められないといけない。」
「で、その魔王ってのは何人いるの?」
ワタシはアオにきいた。
「さあ?そこまでは興味ないからね。知ってるのもいるけど、知らない人もいるよ」
「あなたと魔王はどっちが上なの?」
「あまりベラベラ話すと怒られるからいわないけど、四神の一人と四凶の一人は魔王だよ。」
「え!?そうなんですか!」
ジークもめずらしく驚いた
(しれっととんでもないことをいったらしい。)
「そうだよ。白虎竜ハクは魔王だよ。シロって呼ぶこともあるけどね。私たちと違って領地をもってるんだ。あとは四凶の死翼だ。この国の魔王ヴィクトリーは死翼の推薦で魔王になれたんだよ。」
「初めて聞いた。」
ジークも驚いた眼でアオを見てる。
でもまあ、その白虎竜ハクはともかく、その他の魔王たちより、この水着の女のほうが格上ということか。
「でも、ヴィクトリーがヨウトに滅ぼされたことで、死翼はショックで寝込んでね。ハクもなんとかという人間の勇者に試合にまけちゃってね。反省して鍛錬をつんでるよ。馬鹿だね。」
「アンタたちを倒した奴がいるの!?」」
ワタシはそれにおどろいた。
「まあ試合だからね。まあいわゆる舐めプをして負けちゃったんだよ。」
(いくら舐めプといってもこいつらに勝つ奴がいるとは世の中広いんだな)
「なるほどめそれで、そのヴィクトリーの跡目をそのなんとかって魔族があらそってるってことね。」
ワタシはジークに確認した。
「そういうことね。」
ジークは目線をアオからこちらにもどす。
「ジーク、行くわよ。懐かしき、この世界のわが故郷、旧魔王領にね」
ワタシは次の行き先を決めた。
西の旧魔王領、ワタシにとってははじまりの地だ。
◇
アマンの父、キョコウの家の前に豪華な車と多数の兵が取り囲んだ。
しかし、威圧する様子はない。
みなへりくだり膝をついている。
「これはいったいどういうことだ?」
キョコウは不振に思い屋敷の外の様子をうかがった。
一人の責任者らしき男が跪いている
「私はアマン様の配下でキョウソと申します。アマン様の命令でキョコウ様をお迎えにあがりました。」
「アマンの命令?」
「はい。アマン様は父君をぜひ一度都に招いて、これまでのお礼がしたいとおっしゃっています。」
「そうか、そうなのか。あのやんちゃ坊主が‥‥。」
キョコウは思わず目に涙があふれた。
「ご連絡をしなかったのは、お詫びいたします。父君を驚かせたいとおっしゃっていまして。我々もご一報は入れたほうがよいのではないか、と進言いたしましたが、キョコウ様を驚かせたいと聞きませんで。」
「はっはっは。あいつめ、ガキのころからいたずらはかわらん。わかった。すぐに準備をするからすまないが待っていてくれ。」
「は、かしこまりました。」
キョウソはお辞儀をしながらにやりと笑うのを隠した。




