第147話 陰謀
「みんなよく集まってくれた。」
アマンは緊急で会議を開いた。ジユン、カギ、リユウ、エイサイと腹心たちが集まっている。
「トウジョウの屋敷を家探しして、なにかわかったのか、アマン。」
ジユンは緊張した表情のアマンの顔を見て察する。
何事にも動じない男が急いでいるのがわかった。
「やつめ、とんでもないことを画策していた。その計画書が出てきた。これだ。」
アマンは机の上にいくつかの資料をぶちまけた。
エイサイが手に取り、驚愕する。
「陛下をショウのところに連れていき、アマン様とショウを戦わせるだと!?」
「それだけではない。その戦いのすきに私やショウを暗殺する、もしくは勝ったほうを殺すなどと書いてある。」
「それだけじゃないね、これは。」
リユウも思わず書面を凝視する。
「陛下を霊教国本国に連れていき、教化するなど、とんでもないことが書いてある。」
「めちゃくちゃだな。」
ジユンは怒りを通り越してあきれるようにいう。
「だが、目下、重大なことがいくつかある。一つは先ほどいった。陛下をショウのところにお連れする——これはもう間に合わないかもしれん。そして、ジョカエルでアビを説得し、仲間に引き込み、私を殺させると。」
「アビを!?」
カギも驚いた。
「やっぱりあいつめ。」
リユウは眉間にしわを寄せる。
「いや、ここに書いてあるだけで、アビが寝返ったとは書いていない。」
アマンは冷静に答えた。
「でも、あいつはジョカエルと旧友だといっていた。何か聞いているかもしれない。」
リユウがいい、ジユンとエイサイがうなずく。
「坊や、アビの監視を——」
「いや。」
アマンが静かに遮った。
「彼女にはアオ様がついている。こちらの監視など見抜かれる。後ほど彼女から直接話を聞こう。それよりさらにとんでもないことがふたつだ。一つは核兵器の実験をどこかで行うと。」
「カクヘイキ?なんだ、それは?私も聞いたことがない。」
リユウがアマンの眼を見ていう。
「私もよく知らないが、チュウエイがいた異世界の兵器らしい。この霊都など吹き飛ぶそうだ。」
「そんなものが。」
「アオ様たちも探している。こいつらが隠していたとは——だが、もっとも急ぐのはこれだ。」
そういってアマンは一枚の書面を広げる。
「これは!?」
リユウも声が出た。
「そうだ。わが父の誘拐計画だ。」
アマンは歯を食いしばるようにいった。
「いそいで私は故郷に戻らねばならん。まちがいなく罠だが、こればかりはどうにもならん。」
「では手分けして当たらないと。」
カギがアマンの指示を待つようにいった。
アマンはうなずいて答えた。
「まず、私とジユンはすぐに故郷に戻る。護衛にはオウライを連れていく。リユウとエイサイはアビを呼び出して事情を聞け。だが、決して彼女が裏切ったと決めつけるな。あくまで話を聞くだけだ。そして、カギ、お前は王宮の残りの指揮をとれ。もしショウが陛下と合流したなら何か動きがあるはずだ。だが、ショウとは戦うな。敵の罠に乗ることはない。とにかく時間を稼げ。いいな。」
「ハッ!」
アマンの号令の下、各自が自分の役割を果たし始める。
◇
(なにこれ!?)
ワタシはリユウに呼び出され、ジョカがワタシを巻き込みアマンを暗殺しようとしている計画を聞かされた。
言葉が出なかった。
「アビ、あなたジョカエルから何か聞かされてない?」
リユウはあからさまにワタシを疑いの目で見る。
「いえ、何も。というか、二人で会っていないので。」
そういうしかなかった。
実際、そうなんだから仕方ない。
「本当か?何か心当たりがあるんじゃないか?」
エイサイがにらみつける。
「姉貴は知らねえっつってんだろ!?」
ヨクトが口を挟む。
「てめえに聞いてねえよ。」
エイサイがヨクトをにらむ。
「てめえこそひっこんでろ。」
「ヨクト、やめて。」
ワタシはヨクトを制した。
「実際、知らないんだから知らないとしか言いようがないわ。それに、一つ言えるのは——これ、どうみてもジョカエルが計画したものじゃないですよね。ジョカエルに私を説得させると書いてある。計画したのは別にいる。」
「……まあ、それはそうだが。」
エイサイの歯切れが少し悪くなる。
「もしジョカエルからあなたに接触があれば必ず報告すること。いいわね。でないとあなたも謀反人になるわよ。」
リユウが鋭い目でワタシをにらみつける。
「わかりました。」
(とはいったものの、めんどうなことになったものだ。)
(こっそりキョウには言っておくか。)
(ジョカ、あなたは今どこにいるの?)
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