第137話 再会
カクトがショウのもとにやってきて数日後、さらに予想もしない使者がショウのもとにやってきた。
カイ王の名で、ショウのもとに庇護を求める勅命が下ったのだ。
ショウは重臣たちと緊急会議を開いた。
「閣下、これは天命です!すぐにでもお迎えにいくのです。」
「いや、まて、そうなると、アマンやキョウ殿下と対立することになる。そもそも陛下はなぜ、殿下をたよらないのだ、何者かの罠かもしれん。」
ショウは迷った。
(だが、エン家は長年、王家につかえ、忠誠を誓ってきた。王家に歯向かうなど許されん。)
ショウは決意する。
「勅使にお伝えする。我々はすぐに陛下をお迎えにあがると。軍の用意をせよ!たとえ、殿下であろうと、勅命にはさからうことは許されん!」
「ハ!」
ショウの声に重臣たちは敬礼し、動き始めた。
◇
霊都——
ワタシは連日、ビゼンとともに護衛として、キョウと地方の豪族や有力な商人たちとの面談の供をしていた。
実務はアマンが取り仕切っているが、あくまで、主人はキョウである。
ここにいる多くのものが次の王はキョウだと考えているのである。
護衛といっても、実際、やってることは休憩時間のキョウの愚痴の相手だ。
「今日来るやつはトウジョウ公爵といって、外戚の一人だが、なかなか食えないじいさんよ。」
キョウは侍女たちに着替えを手伝わせながら、今日も今日とて愚痴をいう。
侍女たちもなれたもので聞こえないふりをしている。
「どういうやつなの?」
ワタシも別にまともに返す必要もないわけだが、一応は話に乗る。
「チュウエイと私たちが戦っていたときも霊都の近くまで来ておきながら、日和見を決め込んだ。でも、チュウエイを討つや否や霊都に乗り込み、治安維持を行い、使者だけをアマンのところへ寄こしたらしい。 」
「つまり、私たちが勝っても、チュウエイが勝っても動いていた狸ね。」
ワタシは続けた。
「それもただの狸じゃない。トウジョウはカイの母方の外戚、つまり、本来は敵対しそうなものがこっちについてるのよ。」
キョウはそういうと再び仕事に戻った。
◇
謁見の間——
ワタシとビゼンは正装して、キョウの横に控えている。
トウジョウが入ってきた。
六十くらいの男だ。
ゆったりとした体格に温厚そうなおっちゃんではあるが、こういう人が一番危ない。
まるで顔に私は狸ですと書いてあるようだ。
トウジョウの後ろに一人の少女が従っている。
表情は彼の姿に隠れて見えない。
しかし、只者ではないことはわかった。
ワタシの魔力感知で彼女が解析できないのだ。
二人はキョウの前に来てひざまずく。
「面をあげよ。」
大臣が声をかける。
というか、大臣をしているのはアマンの女魔道士カギだ。
少し前なら、女魔道士が大臣の席に立ち、ダークエルフが王族の横に控えるなど、誰も想像しなかっただろう。
アマンとキョウの改革の結果ではある。
しかし、このトウジョウはそれが不満らしい。
カギやビゼンを一瞥し、顔には出さないまでも眼で舌打ちをするのが聞こえた。
「ご無沙汰しております。殿下、このように遅れて参上しましたこと万死に値します。」
トウジョウは表情を崩さず、挨拶を行った。
「よい。ご苦労であった。トウジョウ殿もかわりないようで何よりだ。」
キョウは形通りの挨拶の言葉を返した。
「殿下、本日はぜひとも紹介したいものがおり連れてきました。」
そういってトウジョウは後ろに控えている少女をちらりと見る。
「うむ、聞いている。」
「この者は、見た目こそ幼く見えますが、年齢も中身も、その外見どおりではございません 。ジョカエルと申します。ジョカエル、挨拶をせよ。」
ジョカエル——。
その名を聞いて、ワタシの胸が高鳴った。
「はじめまして、殿下。ジョカエルと申します。拝謁の機会を賜り、ありがたき幸せにございます。」
少女は顔を上げた。
知っていた顔だった。
ジョカ——ワタシの師匠であり、親友がそこにいた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
続きが気になった方は、
ぜひ応援クリック、ブックマークをお願いします!
SNSで拡散お願いします
やる気がでます




