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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
正義愛鬱編

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第136話 神を倒した勇者

ショウは、クロに城や自らの兵を案内したあと、美女や食事でもてなした。


テーブルには酒やぜいたくな食事がならべられ、クロの横には美女たちが控えている。


「もてなしてもらってわるいね、ショウ殿?君は私を政治利用するつもりかい?」


ショウは図星をつかれてぎくりとしたが、それは表情に見せないようにこたえる。


「め、めっそうもない。わざわざお越しいただいたお礼にすぎません。」


「いいよ。いいよ。こっちも頼みごとをするんだし、私の名前を使うことくらいは許すよ。」


意外な返事にショウは驚いた。


「さっき、君の兵たちや魔導士たちを見せてもらったけど、貧弱だからちょっと私が鍛えてやるよ。」


「いや、クロ様から見れば弱き者たちかもしれませんが、わたしの兵たちは精鋭ぞろいですが。」


自分の兵を軽く見られては沽券にかかわるとショウは自分の兵をかばった。


「ごらんください。このものを。これはカイチと申しまして、力ではだれにも負けないと自負しております。」


そういってショウはわきに控える戦士を紹介する。


二メートルをゆうに超える戦士、カイチは頭をさげる。


「それだ。その力というやつだ。いくら力が強いといっても人間ではオーガに勝てない。大事なのは魔力と技術をその使い方だよ。」


そういって、クロは横に控える女の手を引いて、テーブルの上に肘を置かせた。


「ほら、アームレスリングだ。相手をするのはこの女だ。今だけ私がこの女に力を貸してやる。ただし、あくまでこの女の力で勝負だ。」


女とカイチは顔色を変えた。


カイチは驚きながらもショウの顔をみた。


ショウもなにが起こるのかと驚きうなずいた。


見物人も何が起こるのかと固唾をのんで見守った。


カイチは席に座り女がけがをしないように軽く力をいれる。


が、動かない。


(これは!)


カイチの顔色がかわる。


「ぬう!」


カイチが力をこめる。


「え?」


女もカイチが力をいれていくのを感じていた。


女の腕も徐々に倒れる。


「ほら頑張れ、勝ったらショウ殿からボーナスがもらえるぞ。」


ボーナスと聞いて、女も顔色が変わる。


クロが女を応援した。


「どうした!?カイチ!」


ショウはカイチの顔色をみる。


「閣下、これは……重・・・!」


カイチは顔に青筋をたて、全力を込めて力を出した。


女も力をこめる。


「くあああああ!」


カイチがさけぶ。


女の腕が徐々に傾く。


女はとうとう力尽きて敗れた。


カイチは肩で息をしたが、なんとか面目をたもった。


「クロ様、今のは一体!?」


ショウがクロに尋ねる。


「今のは、彼女の力の流れを変えて、全体重を肘から上にかかるようにした。つまり君は肘から上だけで彼女の全体重を支えていたわけだ。そりゃ重い。」


「な、なるほど。」


カイチも驚きながら答えた。


「これは合気という技術と魔力の融合だよ。お前たちも訓練すれば使える。」


「なんと!?この魔術をわが兵に!?」


ショウの顔色がかわる。


「半分は魔術じゃない。武術だよ。だから訓練すればだれでも大なり小なり使える。それに魔術もほんのすこしコツを教えてやる。これで例の兵器のことは貸し借りなしでOK?」


「クロ様自らご指導を!?ありがとうございます!」


ショウは頭をさげ、部下たちもそれに合わせるように頭を下げた。


「じゃあ、それは明日からってことで、今夜はこの子たちをつれていっていいかな?」


そういって、クロは女たちを抱き寄せた。


女たちは顔を見合わせ、困ったように笑った。

だが、その目はすでにクロから離れていなかった。




◇


しばらくすると、ショウが玄武竜と懇意になっているなどという噂が広まりはじめた。


むろんショウが意図的に広めたものではあったが、クロもそれを黙認した。


玄武竜様に教えを請いたいと知識や魔術を求めるものや、伝説の存在と戦ってみたいと力を試してみたいとおもう強者がショウのもとに集まってきた。


そして一人の老人がショウのもとをおとずれた。


齢八十にもとどいてそうな老人である。


「して、ご老人、あなたは?」


ショウはこの老人が何者かと訝しんだ。


その目つきから、若いころはただならぬものであったのは確かのようだ。


(この老人になにができるのか?)


ショウは注意深く老人を観察する


「私の名はカクトという。ショウ閣下。」


「ほう。カクト殿とおっしゃるのか。」


ショウは老人に対し礼を示しつつも、聞かない名だとおもった。


様々な人材が増えるのは喜ばしいことだった。


しかし、中にはわけのわからないものもいるのも事実だった。


そういう相手をショウは部下に相手をさせ追い返していた。


しかし、このカクトは重臣の中に名を知る者がおり、やむなく面談を許可したのだった。


「閣下、このカクト様は、あの北方の勇者、カクト様です。ご存じありませんか?」


高齢の重臣がショウに耳打ちをした。


ショウは記憶をたどった。


「北方の勇者、カクト?……まさか!あのカクト殿か!?」


おもわず立ち上がった。


(聞いたことがある!)


(勇者ヨウトが現れる以前、北方最強と呼ばれた勇者。)


(伝説によれば武術試合であの四神、白虎竜様に勝ったとも噂されている!)


(しかし、いつのまにか姿を消したといわれていたが!)


ショウが自分に正体に気がついたことを見て、カクトはにやりと笑った。


「ショウ殿、あのクロめと知り合ったそうですが、まことですか?」


ショウはカクトがクロを呼び捨てにしたことにあせった。


そして、カクトのクロを呼ぶ声は明らかに怒りと憎しみがまじっていた。


「これ、カクト殿、クロ様を呼び捨てにするなど……!?」


ショウはチラチラとまわりをみる。


もしクロがこれを聞いていれば、この城など消し飛ぶかもしれないのだ。


「私は、いや、オレは、あのクロにすべてを奪われたのだ!ぜひ、仇討の機会をいただきたい!」


カクトは白いひげと白髪を逆立たせ、はっきりとそういった。




◇


「それで、カクト殿、あなたとクロ様の間にいったいなにが?」


ショウは声を潜めながらカクトに聞いた。


謁見の間、まわりにクロはいないし、いたらどうしようもないが、思わず小声になる。


「やつは私の若き日の仲間を……、そして、さらにオレの……息子を……」


(……!!!)


ショウに戦慄が走った。


しかし、相手は四神であり、気まぐれで人を消すこともあるだろう。


「ショウ殿、やつに心を許してはなりません。私はかつて、やつの仲間、白虎竜をも倒しました。私に敗れて以来、白虎竜は姿を消しました。しかし、私は敵討ちを果たそうと、クロに挑み敗れ、気がつけばこの年です。しかし、やつへの復讐心を忘れたことはありません!お役に立ってみせます!どうかおそばに!」


老人の顔には鬼気迫るものがあった。


(たしかにクロ様はいつなにをするかわからん。白虎竜をも倒したというこの老人がいれば、何かの対策になるかもしれん。)


「わかりました。カクト殿、クロ様は、今や私の客人であり、友誼を結ぶべき御方です。 復讐のご協力はできません。あくまでお二人の関係、それでよろしいか?」


「それで結構です!必ずや、あの邪神に一矢報いてみせます!」


カクトはそういって拳を握りしめた。

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