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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編~第一部最終章~

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第131話 梟雄の夢の終わり

【蛇矛牙(スネーク・バイト)!】


ヨクトの槍の一撃を受けるたびに、ロフの体力が削られる。


「はあああ!」


ビゼンの一撃が徐々に弾けなくなる。


(いけるか!)


ビゼンが勝機を感じたそのとき、ロフが大きく後方へ飛翔する。


(魔力の枷があってこれか、化け物か!)


ビゼンもヨクトも左足首への魔力の枷で反応が遅れた。


その瞬間、ロフは自身が放てる力をすべて込めた。


【飛将撃!】


ロフは着地と同時に、地面に戟を突き立てる。


巨大隕石が落ちたような衝撃がロフを中心に同心円状に大地を走る。


(回避できねえ!)


ヨクトとビゼンは防御シールドを張った。


しかし、シールドごと吹き飛ばされる。


「ば、ばかな。こいつ化け物か。」


ビゼンは倒れながらロフのほうを見る。


しかし、ロフも膝をつき動けないでいる。


その時だった。


アオの魔力が発動したのは。


ビゼンからは何かが爆発した様子しか見えなかった。


◇


「ぐわあああ!」


チュウエイはアオが究姫にはなった魔力の爆発に巻き込まれ吹き飛ばされた。


そのまま地面に叩きつけられる。


(おのれ!青竜め!)


(だが、そのおかげでアマンから離れることができた。)


チュウエイは自身の身体の異変に気付く。


(回復が鈍い・・・!?)


(書物では読んだことがあるが、これが伝説の効果、「不可逆」か!?)


(なるほど、神の魔力ダメージはスキルではもどせないということか。)


(だが、今回は余波ゆえにたすかったか。)


チュウエイは周りを見た。


(だが、勝利の女神はまだオレを見捨てていなかったらしい!)


10歩先にキョウがいた。


ニヤリ。


チュウエイは力を振り絞って立ち上がる。


「貴様!チュウエイか!」


エイサイとリユウが、キョウの兵たちが立ちふさがった。


「どけ!貴様ら!」


チュウエイは懐から隠し持っていた銃を出した。


しかし、この世界の人間はそれが何かわからなかった。


チュウエイは迷わず引き金を引いた。


エイサイとリユウの腹に弾丸がめり込む。


二人とも何が起こったかわからないまま倒れ込む。


魔力の枷があだとなり、自由に動けない兵たちも次々とチュウエイの前に倒れ込んだ。


◇


饕狼の相手をしていたワタシはチュウエイがキョウの方向に飛ばされたことを見た。


「くそお!」


ワタシはその方向に向かって駆けだそうとする。


「キョウ逃げて!」


ワタシは叫んだ。


「どこを見ている。貴様の相手はおれだ!」


アオの剣が消えたとみて、饕狼がワタシの前に立ちふさがった。


「どけええええ!」


ワタシは思い出した。


懐から銀貨を取り出す。


「クハハハハハ!銀といえどそんなもので何ができる!」


ワタシはその銀貨を握って、饕狼の顔めがけて投げつけた。


そして、魔法を放つ。


「火炎弾(フレイム・バレット)!」


【限界突破(オーバードライブ)】で強化されたワタシの火炎弾は一瞬で銀貨を溶解する。


「ぐわああああ!」


溶解した銀を顔にかけられ饕狼は悶絶した。


ワタシはこいつを避け、チュウエイのもとへ向かおうとした。


とんでもないものを見た。


チュウエイが懐から銃を出したのだ。


(あいつ、あんなものを持っていたのか!)


そして、銃撃。


アマンの兵が次々と倒れる。


銃を知らないこちらの人間は対応のしようがなかった。


「キョオオオオオ!」


ワタシは絶叫した。


【限界突破(オーバードライブ)】で電撃で無理やり体を動かす。


しかし、チュウエイの指よりはどうやっても間に合わない。


チュウエイが一瞬こちらを見てニヤリと笑った。


キョウに銃口が向けられる。


◇


長い一秒。


信じられないものを見た。


キョウの前に一人の男が大の字に立ちふさがった。


ロフだった。


バン。


乾いた音がした。


ロフの胴体に穴が開いた。


ワタシはその瞬間キョウに抱きつき、彼女を地面に伏せさせた。


「てめえええ!なにしやがる!」


バンバンバン!


ロフに向けてさらに弾丸が撃たれた。


「オオオオ!」


ロフが吠えた。


血まみれのまま、戟を縦に振り下ろした。


間合いの外で、チュウエイの左肩が付け根から吹き飛ばされた。


噴水のように血が噴き出す。


ズサ。


チュウエイが仰向けに倒れた。


広場が静まり返った。


「ロフ……あんた。」


ワタシはロフに声をかけた。


ロフは振り向き一歩。


また一歩。


血の跡が石畳に広がっていく。


それでもロフは歩いた。


「ロフ、お前……私を、なぜだ。」


キョウがロフに手を伸ばす。


「レイキ……」


ロフの目が遠くを見ていた。


(誰だ?)


ワタシにはその名前に心当たりがなかった。


しかし、その声の柔らかさだけは、わかった。


大切な誰かの名前だと。


「いや、王女。必ず、平等な世界を……」


ロフはそういうと前に崩れ落ちた。


キョウは声を出さなかった。


ただ、ロフの体を受け止めた。


その大きな体を、小さな腕で。


「ああ、かならず。約束する。」


キョウはロフの目を閉じてやった。


キョウの涙は出なかった。


しかし、唇が震えていた。


◇


「くそ、ロフめ。」


チュウエイは大空を眺めていた。


空は青かった。


こんなに青い空を、いつ以来見ただろうか。


自分の命が消えていくのがわかる。


(だが、俺一人では死なん。)


チュウエイは最後の魔力を込める。


核爆弾の起動。


「チュウエイ!」


アビがチュウエイが何かをしようとしていると気がついた。


「もう、遅い。」


「やめとけ。この勝負、どうみてもお前の負けだ。」


チュウエイのそばにアオと究姫が舞い降りた。


二人ともボロボロになっている。


(あの青竜の顔に傷が……)


それをみて、チュウエイは少し愉快になる


しかし、究姫はアオ以上にボロボロになっている。


チュウエイはその姿を見て笑った。


(生きていたのか…)


自分が殺したはずなのに、なぜか安心した。


「クククク……なんだお前……お前でも……怪我をするんだな……」


「お前の物語は終わりだ。」


究姫は笑って言った。


「でも、お前の夢はあの二人が継いでくれるよ。」


究姫はアビとキョウを親指で指さした。


チュウエイはその二人を見た。


傷だらけのアビ。


ロフを抱いたまま動かないキョウ。


(馬鹿が。)


(あんな小娘たちに。)


しかし——チュウエイはもう一度だけ笑った。


「ケ……馬鹿が。」


静かに言った。


「だが、究姫……楽しかったな……」


始まりを思い出していた。


辺境の地。


王家にいいように使われていた頃。


ロフと出会い、夢を語った夜。


平等な世界を作ってみせると。


そう言った、あの頃の自分を。


究姫に熱く語った夜を。


「ああ、そうだね。」


究姫は静かに答えた。


チュウエイの目が閉じた。


広場にはしばらく誰も声を出さなかった。

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