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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編~第一部最終章~

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第130話 触診

「クアアアア!」


空からグリフォンがキョウに強襲した。


これもチュウエイ軍が召喚した魔獣だ。


今回は妲姫は陽動部隊で影武者をやっている。


キョウを守るのはアマンの将、リユウとエイサイの部隊だ。


「殿下!お下がりを!」


リユウとエイサイがキョウの前に立つ。


しかし、彼らにも魔力の枷がはめられている。


これは、リユウのスキルだった。


敵味方全員に魔力の枷をはめる。


こうすることでチュウエイを逃がさないようにする。


自分にも味方にもデメリットを与える代わりに、悪魔だろうが魔獣だろうが、全員が対象となる。


もうひとつのメリットは敵の兵士の動きを止めることで犠牲者を減らすことだった。


しかし、一番のデメリットはキョウも魔力の枷にはめられることだった。


だが、キョウはもともと逃げる気はないとその役割を買って出た。


(くそ、私に力があれば。)


キョウは奥歯を噛みしめた。


◇


ビゼンが青竜冷艶鋸を薙ぎ払う。


ロフは獣剣・蒼月でそれを弾き返した。


(くそ!)


武器は互角。


しかし、ビゼン一人ではロフの単純な腕力に差があった。


(止めることすらできん!)


ロフを止めているのはヨクトだ。


ヨクトの矛は通常の矛だ。


アオから「君にもあげよう」と言われたが断った。


(ビゼンやアビにケチをつけるつもりはないが、ありゃ卑怯だ。)


ヨクトが革命軍に入ったのは平等な世界を作りたかったからだ。


しかし、ヨクト自身は生まれながらの強者だった。


強者が鍛錬をするのは卑怯まではいわないが、何の努力もなしにさらに強い武器を得るのは違うのだ。


そして、努力と鍛錬で身につけたのがこのスキルだ。


【蛇矛牙(スネーク・バイト)!】


豪傑覇気——魔力と闘気を武器や四肢に込めて放つ。


ヨクトの魔力は獣剣・蒼月を防ぎ、ロフの精神体すら削っていた。


(こいつ、先ほどから獣剣・蒼月を防ぐか!?)


(だが、本来この獣剣・蒼月は対魔族の武器、人間相手で本領を発揮するものではない。)


「ならば!」


ロフは後ろに下がり、獣剣・蒼月を捨てた。


(何を企んでいる!)


ビゼンは警戒した。


「まだ何か見せてくれるのか!」


ヨクトが吠えた。


「お前たちへの敬意を示し、オレの全力を見せてやる!」


そういうとロフは右手を高々と掲げた。


【方天牙戟!】


ロフは自らの闘気で戟を具現化させた。


「最強を見せてくれる!」


ロフは戟を薙ぎ払った。


その瞬間、魔力衝撃波が二人を襲う。


危うく回避する二人。


しかし後ろの木々がなぎ倒され、さらに後ろの兵たちが切り裂かれた。


「魔力弾みたいなものか!リョーカ!ここから離れてろ!」


ヨクトが着地するや、リョーカに指示を出す。


「魔力斬といったところだな。」


ビゼンは再び青竜冷艶鋸を構える。


「ほう、初見で見破るとは流石だな!」


ロフは笑みをたたえ二人を賞賛する。


二人はアオとの鍛錬を思い出していた。


◇


「自分より強い強敵を前に、まず君たちなら何をする?」


アオは二人に質問した。


「まずは相手を観察します。」


ビゼンが答えた。


「オレもだ。まずは弱点を探す。」


「二人ともいい答えだね。でもその割には二人とも大した解析スキルを持ってないよね。」


「まあ、そうだな。どうやればいいかよくわからねえ。」


ヨクトが答える。


「基本的にスキルは何かを媒介にする必要がある。もっとも難しいものが光だよ。」


「光、ですか。」


ビゼンが聞く。


「私が普段、目隠しをしてるのは、他の四神たちとデュエル・ウィザーズや麻雀で勝つための鍛錬だということは知ってるね。」


「いや。そんな……しょーも、いや、そんな理由だと初めて聞きましたが。」


ヨクトはしょーもない理由というのをぐっと飲み込んだ。


「光はこの世でもっとも速いもののひとつだ。だから私たちは見た瞬間に対象に魔力を発動できる。つまり見た瞬間に凍りつかせたり、爆破したり。」


「つまり、アオ様やスカーレット様と戦う場合は視界に入った瞬間に死亡が確定ということですか。」


ビゼンが引きつった顔で答える。


「そんなことはないよ。ちゃんと抵抗すれば防げる。光は基本的には弱い力だからね。」


(いや、あんたたちの弱いの基準がわからん。)


ヨクトはまたぐっと飲み込んだ。


「そのほか、直接見なくても周囲に魔力を放つとか、いわゆる魔力感知だね。ちなみに私が普段目を隠してるのはこの精度を上げるためでもあるよ。実は私はすべての麻雀牌を魔力感知で盲牌している。これはクロやスカーレットには秘密だよ。」


「しょーもな!」


ヨクトはとうとう声が出た!


「なにをいうの!魔力感知していることを感知されないことも技術だよ。まして、あいつらに魔力感知していることすら気づかせずに盲牌できるのは私だけだよ。」


アオは胸を張った。


「まあ、君らにはこれは無理だろうけど、君らが習得しやすい解析スキルを教えるよ。それは【触診】だ。」


「触診?」


ビゼンが聞いた。


「そう、触れた対象を解析する。はじめは手で直接触れて、長い時間をかけていい。慣れたら、武器越しでも相手に触れればできるようになる。さらには闘気、魔力に触れても対象を解析できる。」


「たとえば、ビゼンの気持ちいいところは、○○を×××されることだ。」


「アオ様!」


ビゼンが顔を真っ赤にして突っ込む!


「ヨクト、これを使えると女の子を天国に導けるけど、悪用しちゃだめだぞ。」


「だから、やめてください!アオ様。」


「女の子を天国に……まじか!」


「お前も否定しろ!」


ビゼンがヨクトの頭をはたく。


◇


二人はあの鍛錬を思い出していた。


あのとき習得した解析スキル【触診】が今、ロフを前にして生きていた。


二人にはわかっていた。


ロフのスキルの本質が。


「おめえのスキル、闘気——つまりめちゃくちゃスタミナを使うんだろ!スタミナなら負けねえよ!」


再びヨクトがロフに向かった!


「もはや、貴様の手は見えたぞ!」


ビゼンもヨクトに続いた。

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