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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編~第一部最終章~

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第127話 決戦

霊都——


チュウエイは正装をしてロフ他、数十名の供を連れて霊教会に向かっていた。


剣は帯びているものの、かつての冒険者の面影はどこにもない。


まるで聖騎士のような出で立ちで馬車に乗った。


道には塵一つ落ちておらず、文武官はみなチュウエイにひれ伏していた。


一人の男がチュウエイに近づいた。


シシだった。


「車を止めろ。」


チュウエイは車を降りて、シシを迎える。


「すまんな。シシ殿。」


「閣下、このたびはおめでとうございます。私もぜひ、閣下の晴れ姿を近くで見たいと思い参りました。」


「かまわん。ついてくるといい。」


チュウエイは上機嫌でそれを許した。


(警戒していたがなにもないではないか。)


隊列はなにごともなく、霊教会のもとについた。


しかし、そこで違和感を持つ。


(なぜ出迎えがいない?)


いや、いた。


霊教会の前に一人の少女が剣を携えて立っていた。


凛とした目が、チュウエイを見据えていた。


「我こそが、王女キョウだ!今ここに、逆賊を討つ!」


(王女だと!?なぜ、小娘がここにいる!?)


キョウの合図で数十名の兵が集まり、矢や魔法を放った。


「ロフ!」


チュウエイは声を上げた。


「おお!」


ロフは戟を振り回し、矢と魔法を弾き返す。


(やばい!)


(ここは、ロフに任せていったん引かねば!)


チュウエイはかつてハクエイから奪った高速移動スキル【白狼】を発動した。


風を切る速度で駆ける。


しかし——影が走った。


(オレに追いついただと!)


剣を抜き、剣戟を防ぐ。


それと同時に体に電撃が走った。


「アンタとの因縁もここまでよ!」


「アビか!」


スキル【限界突破(オーバードライブ)】で身体強化したアビが立ちふさがった。


◇


数日前——


別行動しているはずのキョウが私のテントにいた。


なぜかアオにもたれかかってソファーで寛いでいる。


そのとなりにはいつ戻ったのか妲姫までいて、お菓子をつまんでいる。


いや、私のテントと言えるのだろうか。


本来は狭いテントのはずが、部屋の中は広げられて、キングサイズのベッドや応接セットまで置かれている。


なんと、ガラス戸の向こうには、大きな浴場すら見える。


誰かはいっているのか、人の気配もする。


「なんと、これは……」


横にいるビゼンとヨクトとリョーカが立ち尽くす。


「これはあなたの仕業?アオ?」


ワタシはアオに聞いた。


「そうよ。キョウのテントとあの扉でつなげたのよ。これでいつでもこの子ともあえるでしょ。」


そういってアオは部屋の隅にある扉を指さす。


(まあ、それはそうなんだけど、なんでもありだな。)


「いいけど、キョウ。アマンには言ってるの?これ。」


「言わないほうがいいだろう。もちろん秘密よ。」


「一応、向こうのテントに誰かが近づいたら、ドアが光る仕組みになってるよ。」


アオはそういってドアを指さす。


「まあ、王女殿下の私室にいきなり入る人はいないと思うけど。」


ワタシもそういってビゼンと一緒にソファーに座る。


そして、チュウエイを霊教会におびき出して襲撃する計画をキョウに伝えた。


「そうか。では私も行くぞ。」


即答だった。


「いや、別にあなたがいかなくても、最悪、妲姫が影武者でいけばいいんじゃない?」


ワタシは万が一を考えて止めるが——


「そういうわけにはいかない。私だけが安全な場所にいるわけにはいかない。」


キョウはそういうだろうな。


「私が守ってあげるから大丈夫よ。」


アオがキョウを後ろから抱きしめながら言う。


まあ、彼女が守るなら万が一もないだろうが——


「「待った!」」


エコーが入った声で異議が入った。


風呂場から。


「それは私が認めない。」


ドアを開けて、出てきたのはクロだった。


しかも全裸で。


「「ちょ!」」


リョーカとヨクトが声を上げて回れ右をする。


「アオ、それはやりすぎだね。人の世には干渉しないから反省すると50年前に言ったばかりだろ?」


「いや、それはそうだけど。というか、そんなことをいうなら、スカーレットは10万人も消したばかりじゃないか。」


アオが不満を言う。


「あれは人間たちが私の縄張りに来たからだよ。」


そういいながらスカーレットも風呂場から出てくる。


全裸で。


「いいから、あんたらまずは服を着ろ。」


ワタシは二人に突っ込む。


クロはジーンズにTシャツというラフな格好に、スカーレットは赤をベースにした魔導士のようなスタイルに変化する。


「二人ともこっち向いていいわよ。」


ワタシはヨクトとリョーカに声をかけた。


「四神様が三人もここはどういう空間なんだ……」


リョーカが青い顔をしている。


普通の人はそうなるのかもしれない。


「話を戻すわよ。じゃあ、撤回するよ。私はアビとキョウを応援するから、あんたたちも付き合いなさい。」


アオがクロに宣言した。


気持ちはうれしいが。


「まあ、そこまでいうなら。止めはしないよ。でも、あの究姫も黙って見てるんだぜ。やつはチュウエイに賭けたわけだ。」


「クロ、あなたも究姫が死んだなんてまったく思ってないようだけど。チュウエイに賭けたってどういうこと?」


「君たちから見ればチュウエイはとんでもない悪人なんだろうけど、奴は奴なりにこの国を変えようとしていたってことさ。今もどうかわからないけどね。」


「あのチュウエイが?」


そんな馬鹿な。


「そう。だから、究姫はわざと死んだふりをして、奴に委ねてもう見守ることにしたんだと思うぜ。アオ、君は究姫ですら人に委ねるというのに、この二人に過保護になるつもりかい?」


「いえ、クロ様。私とアビ、それにアマンはチュウエイごときに負けません。アオ様も私たちの勝利を見守っておいてください!みんな私に力を貸してくれ!」


キョウは立ち上がってみんなに声をかけた。


「あなたたちが命を懸ける価値が大衆なんかにないわよ。」


アオが冷たく言う。


「だいたい、あんたもジョイエルを好き放題して、私たちに肩入れしてくれてるじゃない。」


「私は彼女の洗脳を解いてあげたんだよ。それに私の真の相手は四霊たちなんだよ。それでも私たちのルールで直接手を下すのは基本的にはマナー違反なんだよ。」


「ジョイエルにやってるのはなんなのよ。」


「結局、選んでるのはジョイエルだからね。人は本質的には神に逆らい、他人を殺す力さえ持っている。それを私は奪わないんだよ。彼女の本当にしたいことを後押ししただけだよ。」


「屁理屈に聞こえるけど。」


「じゃあ、こういう例えはどうだ。私たちが直接手を下すのは替え玉受験だよ。それはルール違反だ。アオ、そこまで君はこの子たちが信じられないかい?甘やかすのはよくないよ。」


「アオ様、恐れながら、私は民を信じます!見ていてください。」


キョウはアオに向かって言い切った。


「わかったよ。」


アオは渋々答えた。


どうも彼女は人を信じていないらしい。


「ワタシは、キョウ、あなたを守るよ。ワタシたちは傭兵だからね、褒美は期待するわよ。」


ワタシはキョウに笑いかける。


「とはいえ、この件はアマンには許可をもらわないとね。」


ワタシはキョウとともにアマンのもとに向かった。


◇


饕狼の封印がまもなく解ける。


(なかなか厄介な封印だ。)


悪魔は人間のスキルを素直に称賛する。


(しかし、おそらく直接オレに触れねばどうしようもあるまい。)


封印の中からは外の様子すら伺い知ることができない。


饕狼は次は仕留めてみせようと、自分の爪を眺める。


封印が解けた。


その瞬間、四方から矢が飛んでくる。


(オレに矢など。)


そうは思いながらも、饕狼はその矢を解析する。


そして、驚愕する。


(銀だと!?)


その矢じりには銀が使われていた。


饕狼は慌てて飛翔した。


そして、空中を駆けた。


(馬鹿な!?なぜオレの弱点を?!)


(人間ごときにオレが解析されるはずがない。)


(だとすれば、徐姫のやつか!?)


「あの女、ぶち殺してくれる!」


そう叫びながら、饕狼は引いていった。


「あっさり引きましたね。」


その様子を見ていたカギがジユンに呟いた。


「だからこそ、強敵だ。だが——オレたちの勝ちだ。勝ち鬨をあげろ!」


悪魔、饕狼が逃げた。


その事実はチュウエイ軍の闘志を折り、ジユンとカギの兵を奮い立たせた。


◇


「アンタとの因縁もここまでよ!」


ワタシは逃げるチュウエイに追いつき、剣を薙ぎ払った。


ワタシはスキル【限界突破(オーバードライブ)】で肉体の限界を超え、さらに体に電流を走らせることで、無理やり体を動かすという荒業を使っていた。


「アビか!」


チュウエイはそう言いながら、ワタシの剣を防ごうとする。


しかし——


ワタシの剣は彼の剣を小枝のように引き裂く。


「なんだと!」


チュウエイが叫ぶ。


(あと一歩深ければ終わっていたものを!)


ワタシは雌雄一対の剣を二刀流で構える。


これはアオが「せめてこれくらいは持っていけ」と言って、ワタシにくれた剣だ。


(なにも持っていないように恐ろしく軽い。)


そしてワタシのスキル【翻訳者】が発動した。


すると、チュウエイのスキルが流れてくる。


身体強化、耐性強化、自己再生、火炎操作(弱)、電撃絶縁、などなど。


(こいつ、いったいいくつのスキルを持ってるんだ。)


チュウエイは殺した相手のスキルを奪えると聞いていたが、これほどとは厄介だ。


そして、新たなスキルが発動された。


【悪魔召喚!】


説明を受けるまでもなく、なんとなくわかる。


-離れた場所にいる悪魔を強制召喚-する。


ワタシの翻訳者が解析する。


チュウエイが地面に手を向けると、そこから巨大な悪魔が現れた。


鋼のような肉体に、一本一本が金属のような剛毛を持つ人型の悪魔だ。


「饕狼!オレが逃げるのを助けろ!」


チュウエイが叫んだ。


「ダンナ!人使いが荒いな!あの女を殺しにいくところだったものを!」


饕狼と呼ばれた悪魔はワタシに向かって突っ込んできた!

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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