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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編~第一部最終章~

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第114話 新たな霊教の使い

新都、霊都——


西方の霊教国の支援によって建てられた都市だ。


霊教国は唯一神、霊神を信仰する一神教の国で、旧魔王領よりさらに西方に位置する。


王国は形式上、自国以外の国を認めていなかったが、外交上は央国と称していた。世界の中央という意味だ。


霊教国と央国は、魔王討伐など人類圏の脅威に対しては協力関係にあった。


その霊教の大司教ジョイエルが霊都の支部長として、カイ王のもとに挨拶に参上した。


◇


謁見の間は新しかった。


まだ木の香りがする。


金と白を基調にした内装は霊教の紋章で飾られ、荘厳というより、どこか押しつけがましい華やかさがあった。


王座には幼いカイ王が座り、その隣にはキョウ王女に変化した妲姫が座っている。


傍らに宰相チュウエイが控え、その横にリジュエルが満足そうな笑みを浮かべていた。


扉が開いた。


「ジョイエル大司教、ご入来。」


侍従の声に、広間の視線が一斉に扉へ向いた。


現れたのは一人の女性だった。


30代前後に見える。


しかし、その佇まいが違った。


一歩踏み出すたびに、広間の空気が変わる。


視線を向けた者が、思わず息を呑む。


美しいのではなかった。


正確にいえば美しいのだが、そういう言葉では収まらない何かがあった。


(30代で大司教など、ありえない。実際、こいつはいくつなのだ。)


チュウエイはジョイエルを静かに観察した。


リジュエルは眩しそうにジョイエルを見つめている。


「陛下、拝謁の機会をいただきありがたき幸せと申し上げたいところですが——」


ジョイエルはそこで言葉を止めた。


広間が静まり返る。


ゆっくりと、その視線が妲姫のほうに向いた。


「なぜ、そこに人外のものが座っているのでしょうか。」


一瞬、誰も動けなかった。


チュウエイでさえ、事態を把握できず固まった。


ジョイエルは右手を静かに掲げた。


霊力が放たれる。


その瞬間、妲姫の幻影が払われた。


銀髪、褐色の肌、一本角。


本来の姿、妲姫が姿を現した。


広間がざわめく。


チュウエイはすぐさま獣剣・蒼月を抜き放ち、妲姫の首元に突きつけた。


「貴様は、殿下に仕えている妲姫とかいう悪魔だな。殿下はどうした!いえ!」


(ここまでか。いや、こうなれば隠さないほうがいいか。)


「殿下は王都に向かわれた。民を助けるためにな。今はどこにいらっしゃるか私もわからん。」


「なんだと!?」


「閣下、この悪魔の言うことが本当とはかぎりません。」


リジュエルがチュウエイに耳打ちする。


「たしかにそうだが。」


(しかし、あの小娘ならやりそうだ。)


「ジョイエル殿、大変失礼した。そして感謝する。陛下との拝謁はまた別の機会をいただきたい。」


チュウエイはジョイエルに謝罪した。


ジョイエルは不敵に微笑んだ。


「妲姫、姉上はどこに?」


カイは思わず声をあげる。


しかしその返事を聞くことすら、王にはできなかった。


「陛下を安全な場所にお連れしろ。王女の件は他言無用だ。この悪魔にはまだ聞くことがある。」


そういって、チュウエイは妲姫を連れていった。


◇


人間ならば拷問することもできるが、悪魔の妲姫に拷問など意味がないのはわかっていた。


チュウエイにできることは結界を張り、妲姫を閉じ込め、尋問するくらいのことだった。


「本当に王女がどこにいったか知らないのか?」


「知らないな。王女は一人で出ていった。」


(チュウエイは私がアビと魂でつながっていることを知らない。いつでも彼女と連絡を取ることができることもな。)


妲姫の本体はアビの右目だ。


結界すらも無視して交信が可能なのだ。


「閣下、よろしいでしょうか。」


横に控えるリジュエルがチュウエイに耳打ちする。


「なんだ。」


「これは逆にチャンスではありませんか。国民に王女が勝手に出ていって行方不明だと発表するのです。」


「なるほど。逃げた可能性があると公表すれば、国民の心が王女から離れるかもしれん。」


妲姫はそれを聞いて思わず表情を変えた。


「そういうことだ。お前が王女の居場所を知っているなら、すぐにでも捜索に向かわせる。しかし王女が逃げたのであれば仕方ない。その行動の判断は国民に委ねよう。」


妲姫は本当のことを言うべきか迷った。


(本当のことを言うべきか?アビのもとにいるというべきか?どうする。)


一方のチュウエイも迷いはあった。


獣剣・蒼月で妲姫を殺そうと思えばいつでも殺せた。


(しかし、まだ利用できるかもしれん。)


チュウエイはそう考え、妲姫を結界に閉じ込め、その場を後にした。


(しかし、あのジョイエルというやつはあなどれん。妲姫の幻影はオレの解析スキルでも見破れなかった。それを一見で看破するとは。)


(いずれやつもオレの脅威になるなら——殺さねばならぬかもしれんな。)

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