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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編~第一部最終章~

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第113話 退屈

「ん……」


アオは牢のベッドで目を覚まし、起き上がった。


「お前、この状況でよく眠れるな。」


牢の前に立っているリザードマンが呆れたように言った。


「そうね、退屈だし、寝るのにも飽きたから、そろそろちょっと外に出るわね。」


そういうとアオは牢番のリザードマンのほうに近づいてくる。


「なんだ、お前。おとなしくしてろよ。」


リザードマンは声をかけるが、次の瞬間、女は信じられないことをした。


まるでそこに何もないかのように、牢の檻を素通りしたのだ。


そして次の瞬間には、リザードマンの意識は刈り取られていた。


命まで取られなかったのは幸運でしかなかった。


◇


「お前どうやってここに来た!?」


突然現れたアオを前に、周鬼はうろたえた。


「誤解しないで。おとなしくしているから。でも、あんなに何もないところにいては退屈だよ。」


そういって、アオは懐からデュエル・ウィザーズのカードを取り出す。


「よし、私とデュエルをしなさい。」


「なんだ、それは!魔法のアイテムか!」


周鬼は意味がわからず警戒した。


「なんですって!?デュエルも知らないのか。お前は。」


(いや、そうじゃない。これは広めないといけないのでは。)


アオのデュエル脳に火がついた。


「わかった。では、お前が私と勝負をしろ。弱肉強食、強者に従うことこそ魔物のルールだろう。」


(我ながらオーガに勝負を挑むなど大人げないけど、デュエルを広めるためだからね。)


「フハハハハハ!面白い冗談だ!お前ごときが何ができる!おい、お前らこの女を取り押さえろ。」


周鬼は周りのオーガたちに指示を出した。


やれやれとばかりにオーガたちはアオを掴もうとする。


しかし、その瞬間、オーガたちが次々と宙を舞った。


音だけがした。


地面に積み上げられるオーガたち。


そしてそのオーガの山の前にアオはふわりと舞い降りる。


「まて、この方はもしや……!」


事態を静観していた宵喬が周鬼を止めようとする。


「なかなか妙な術を使うじゃないか女!」


周鬼がアオに迫った。


「だがオレにはそんな術効かんぞ!」


周鬼はそういうと両の剛腕でアオの両肩を掴んだ。


その瞬間、凍りつく。


(なんだ、この感覚は!?まるで巨大な氷山を抱えたような……!)


そして、アオはゆっくりと周鬼の両腕を引き剥がし、持ち上げた。


「おおおお!ば、ばかな!」


とっさに受け身をとる周鬼。


「まだやる?」


「おまちください!」


宵喬が周鬼とアオの間に入った。


「聞いたことがあります。カードゲームを好む魔人様の話を……」


(私の正体に気づく者もいたか。)


アオは宵喬を見る。


よく見ると美しい魔人だった。


「貴方様は、もしや……あの究姫様では!?」


アオはため息をついた。


(よりによってあいつと間違えられるとは。)


「いや違うけど。私は青竜だ。」


そういってアオはほんの少しだけ霊力を開放する。


人間の兵士たちはそれでもアオの霊力を感知できなかった。


一方、それだけでほとんどの魔物は理解してしまった。


自分たちが相手をしている存在が何者なのかを。


魔物たちの多くは反射的にひれ伏した。


しかし、宵喬と周鬼は反射的にひれ伏しそうになるのをこらえた。


青竜が相手とはいえ、自分たちが膝をおる相手は決まっているのだ。


「まあ、そうかしこまらないで。大人しくしてろと言われたから何もしないよ。とりあえず何か飲み物もらえるかしら。」


そういうアオに対して、魔物たちも兵たちも黙って言うことを聞くしかなかった。


◇


「疲れたあ……」


ワタシは自室の寝床に倒れ込んだ。


アオがいたときは入口こそテントだったが、中の空間をいじってデカいベッドを入れてとやりたい放題だった。


今はベッドといっても床にシーツを敷いただけの簡単なせんべい布団だ。


(早くアオえもんと合流したいもんだ。)


どこぞの猫型ロボットを思い出した。


「ご苦労さま。マッサージしてあげようか。」


先にワタシの部屋に忍び込んでいたルオが声をかけてくれる。


しかし、こいつが余計なことをいったせいで、女兵士たちの夜のお相手を連続でしなくちゃいけなくなった。


まあ、それで何やら兵たちの士気が上がっているようでなによりだが。


そして、ルオのバイタリティもすごい。


誰よりも早く起きて仕事の準備を始め、仕事が終わるまで手を休めないらしい。


そして、なんだかんだいいながらワタシの身の回りの世話もやいてくれる。


そんなわけで、ルオがワタシの部屋に来ても他の仲間も文句を言わなくなった。


「今夜、私とどう?」


彼女が後ろから絡みついてくる。


「疲れてるのよっ……て、レス夫婦か!」


思わずノリツッコミをしてしまった。


しかし、まあ実際疲れている。


早めに休もうとしたそのとき、外から声がかかった。


「アビ、いいか。アマンから使者が来た。」


ビゼンの声にワタシは再び仕事モードに戻った。


◇


夜遅くにやってきたのはアマンの部下、リユウというエルフの戦士だった。


「ひと目を避けてこんな時間にすまない。極秘任務だ。」


ルオには席を外してもらって、ここにはビゼンとワタシしかいない。


「アビ殿、アマン坊や、いや、アマン様からの命令を伝える。」


(いま、アマン坊やとかいったな、この人。)


「アビ隊は私とジユンの部隊と合わせて100名で救援物資の輸送隊を離れて、新都——霊都に向かえとのことだ。」


「新都に、ですか。」


「そうだ。今、新都には100万以上の民が流れている。そこに我々が100人ほど紛れてもまずばれはしない。」


「何のためにでしょうか。」


「それは私もあなたも考える必要はない。アマン様の命令に従うまでだ。」


(普通に考えれば、霊都で何かをするつもりでしょうけどね。)


(つまりこの輸送部隊は目眩ましの陽動ということか。)


「その……王都にはアオが人質になってるんですが。まあ、大丈夫でしょうけど。」


(魔物たちのほうが心配なのと、ほっといたら怒りそうなのが心配だけど。)


「アオ様には、アマン様のほうからうまく話しておく。」


「スカーレット、いや朱雀竜様はそんなことはしないと思いますが、やつあたりでアマン様の部隊を全滅させなければいいと思いますが。」


「う……それはまずいな。」


リユウは一考する。


「すまないが、アビ殿から手紙を書いてもらえないだろうか。」


「わかりました。すぐこっちに来るように手紙を書きます。」


「頼む。」


そういって、リユウは出ていった。


そんなときだった。


キョウ殿下の影武者をやっている妲姫から緊急で思念通話が入ってきた。


「緊急事態だ。私が偽物であることがバレた。」

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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