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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編~第一部最終章~

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第111話 アマンの眼

ワタシとキョウは馬を飛ばし続けて部隊に戻り、アマンにことの次第を報告に向かった。


「なるほどな。ご苦労だった。ゆっくり休んでくれ。」


アマンはそう言って金貨の入った袋を渡してくれた。


「ありがとうございます。」


ワタシは素直にそれを受け取った。


「外にいる女性は新入りか?あなたの部隊で見たことがないが。」


(こいつ、人の部隊のメンバーの顔まで覚えているのか。油断も隙もないな。)


「ええ、戦闘で顔に大きな傷がありましてね。それでマスクをつけているんですよ。」


「気になるな。私にも紹介してもらえないか。」


「かまいませんよ。ルオ、入ってきてアマン様にご挨拶を。」


そういってワタシはルオを呼ぶ。


彼女はマスクを外してお辞儀をした。


顔には斜めに大きく傷がつき、キョウの面影はない。


こんなこともあろうかと、アオに姿を変えてもらっていたのだ。


「なるほど。悪いことをした。帰ってゆっくり休んでくれ。」


アマンはルオに軽く謝罪をした。


◇


「解除(ディスペル)」


アマンの陣を離れた後、キョウは魔法を唱えて変身を解いた。


ずっとあの顔でいるわけにもいかないのだ。


「なるほど。あのアマンというやつは油断も隙もないな。アオ様に変身させてもらっていなければ、正体がバレていたぞ。」


「彼はあなたの顔を知っているからね。万一に保険をかけていてよかったよ。」


ワタシはワタシの馬の後ろに乗るキョウに声をかけた。


「でも、大変なのはこれからよ。ビゼンやヨクト、リョーカはともかく、他の仲間にも正体は伏せないといけないからね。今日のところは私の部屋で休んでもらうけど、明日からは他の兵たちと同じ扱いをさせてもらうわよ、ルオ。」


「わかった。大丈夫だ。」


彼女は短く返事をしてくれた。


「申し訳ないけど、掃除や食事といった生活班に入ってもらうけどいいわね。」


ワタシの部隊は戦闘部隊、生活班など役割を決めている。


この世界では圧倒的な質が数を上回る。


並の兵が何十人いようが、ヨクトの【豪傑覇気】みたいなスキルの前には立つことすらできない。ビゼン一人を止めることもできない。


しかし、彼らだって食事や補給がなければ戦い続けることはできないのだ。


あのロフだって、食事なしでは3日も戦えないだろう。


生活班も立派な仕事だ。


「ルオ?」


返事がない彼女の様子をうかがうと、私の背中にもたれて眠っていた。


いや、もう意識を保てなくなって気絶したというのが正しいかもしれない。


「しかたないわね。」


ワタシは彼女を眠らせるために、自分の部屋に連れて行った。


◇


「坊や、さっきのアビからの報告、どう思った?」


リユウがアマンに聞いた。


アマンのテントにはリユウ、カギ、ジユン、エイサイの幹部が集まっている。


「ハオというものの魔物の部隊が王都を占拠して、民を助けているか。にわかには信じがたい。しかし、たしかハオというのはあのレツオウの娘の名のはずだ。」


「レツオウ、あの暗殺犯のか。」


「ジユン、お前は知らなかったか。もっとも、あれには裏があると思っているがね。レツオウが本気で王女殿下を殺す気だったなら、アビも王女殿下も命はなかっただろう。おそらくはコウロにそのハオや家族を人質にでも取られていたのだろうが。」


アマンは仲間たちに自分の考えを伝えた。


そしてそれは核心をついていた。


「それより、ジユン。アビが連れてきた女について調べておけ。」


「わかった。しかし、なぜだ?」


「あの女性はおそらくアオ様により姿を変えられているのだろう。あれはたぶんキョウ殿下だ。」


「なんだと!?」


アマンの配下がざわつく。


「あんなにきれいな手をした傭兵がいるか。姿を変えていることにはまったく魔力を感じなかったが、アオ様といえど——いや神だからこそ、人の手までは注意が届かなかったらしい。ククク。」


アマンはそう言って笑った。


「殿下は新都に向かわれていると聞いたが。」


ジユンは信じられないと問い返す。


「アオ様ならそんな距離は意味はないだろう。現に一瞬で王都に行っているじゃないか。おそらく影武者でも立てたのだろう。殿下は王都の異変にいてもたってもおられず、こちらに来たというところだろう。その仮説の裏を取れ。」


「な、なるほど。」


ジユンはアマンの慧眼に敬服した。


(もっとも、手が綺麗すぎるという点ではアビのやつも同じだ。)


アマンはふと思った。


(あいつは自分で気づいていないだろうが。)


「アビもアオ様の霊力の影響を受けているのかもな。」


思わず独り言のようにつぶやいた。


「どういうことですか?」


カギが聞き返す。


「いや、今のはなんでもない。それより、ジユン、カギ、王都にはお前たちが救援物資を先行しておくれ。現状は魔物たちを刺激するな。民衆も大事だが、むしろアオ様のご機嫌に注意しつつ、あまりアオ様にはかかわるな。」


「ハッ。」


アマンの命令に配下たちは短く答えた。

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