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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編

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第100話 開戦

ロフ軍10000に対し、アマンはその半数の5000で対峙した。


平原に広がる敵軍の旗が、地平線まで続いている。


「アマン様、準備が整いました。」


ジユンが敬語でアマンに語りかけた。


兵の数はわずか半数にもかかわらず、兵の士気は高かった。


いや、正確には——数の差を知っているからこそ、腹を括った者たちの目をしていた。


「では、作戦どおりいくぞ。リユウ殿、頼む。」


アマンはそういってエルフの戦士に合図を送る。


「ああ、任せといて、アマン様。」


リユウは答えて配下の魔道士部隊に向かった。


アマンは馬上から兵たちを見渡した。


5000の顔が、一斉にこちらを向いた。


「皆の者!」


アマンの声が平原に響く。


「わが軍は敵軍の半数にすぎん!」


誰も動じなかった。


「しかし——わが軍は必ず勝つ!」


アマンは右手を高く上げた。


「なぜか!」


一拍の間。


「わが軍が正義だからだ!」


アマンは続けた。


「見よ、あの旗を!あれはチュウエイの旗だ!かつてはわれわれと同じ、この国に仕えた者の旗だ!」


「しかし、やつは何をした!」


「民を欺き、同僚を粛清し、霊教という道具を使って国を私物化した!」


「10万の兵がなぜ死んだ!やつが無謀な出兵を命じたからだ!」


「今頃、王都では遺族が泣いている!」


「その怒りをぶつける先は——ここにある!」


アマンは剣を抜いて、ロフ軍に向けた。


「われわれこそがこの国を取り戻すために立ち上がった正義の軍だ!」


「逆賊チュウエイを討ち、民に安寧を取り戻す!」


「それがわれわれの戦いだ!」


一拍の間。


「我々には精霊の守りがついている!今からそれを証明してみせよう!」


アマンがそう叫んだ瞬間——


ごう、と追い風が吹いた。


アマン軍の背後から、敵軍に向かって。


旗が一斉にはためく。


砂塵が前方へ舞い上がる。


兵たちは顔を見合わせた。


そして——


「オオオオオオオ!」


地を揺るがす鬨の声が上がった。


「我ら風と共に駆け抜けるぞ!全軍、私に続け!」


アマンは自ら先頭に立ち、ロフ軍に向かって突撃した。



「愚かだねえ。」


半数の軍で突撃してくるアマンの軍をみて、徐姫が宙に浮きながら隣の馬上にいるロフに話しかける。


「油断するな、なにか策があるのかもしれん。」


ロフはそう言いながらも、弓兵と魔術師に攻撃の準備を合図する。


その時だった。


正面から——こちらに向かって強い風が吹き始めた。


(逆風だと?)


ロフが気づいた瞬間、アマンの軍から弓の雨が浴びせられた。


「これは!?」


通常では届かない距離からの矢だった。


追い風を得たアマン軍の矢がこちらの射程外から殺到する。


ロフ軍の前列が次々と倒れていく。


「反撃せよ!弓兵、撃て!」


隊長たちの号令が飛んだ。


しかし——


「風が強すぎて狙いがつけられません!」


「矢が戻ってきます!」


逆風に押し返された矢が、味方の頭上に降り注いだ。


「味方の矢に当たるな!散れ!散れ!」


陣形が乱れる。


「魔法で反撃せよ!」


別の隊長が叫ぶ。


「だめです!敵の防御魔法が強力すぎます!距離がありすぎて魔法が届きません!」


「砂塵で前が見えません!」


「隊列が崩れました!」


報告が次々と飛び込んでくる。


混乱が広がる中、ロフ軍の前線では兵たちが砂塵と逆風に顔をおおい、まともに前を向くことすらできなかった。


そのやりとりを見て、ロフは笑った。


「なるほど!なかなかやるようだ!単なる命知らずの馬鹿ではないらしい。」


そういうと、ロフは自ら先頭に立つ。


「このような小細工、通じぬことをみせてくれる!」


ロフは矢の雨など気にせず突撃を行う。


しかし、逆風と砂塵が行軍を妨げ、敵兵はこちらが進めばそれだけ引いた。


まるで霧の中を走るようだった。


前に進んでいるのか、いないのかすらわからない。


「こざかしいことを!わが軍の魔術師どもは何をしている!」


ロフは味方に怒りをぶつけた。


「敵にはかなり強力な精霊使いがいるようだね。」


徐姫はロフとその周りに飛んでくる矢を結界で反らしながら言った。


「風だけじゃない。視界、射程、陣形——全部同時に潰されてる。なかなかやるじゃないか」


徐姫はそういいながらもロフを守った。


ロフは不死身でも馬に当たれば馬は当然、死ぬのだ。


徐姫の結界がなければ、とっくに馬を失っていた。



「アマン様、ここまで作戦通りですね。」


アマンの隣でカギが話す。


カギが乗っているのは飛翔板と呼ばれる魔道具だった。


魔力を込めた板の上に乗り、地面すれすれを滑走する。板は術者の重心と魔力に反応して向きを変え、風を読みながら自在に動ける。箒のように高く飛ぶことはできないが、その分安定性が高く、戦場での取り回しがいい。何より両手が空くため、滑りながら魔法を放つことができた。


「うむ、その飛翔板、実戦は初めてだがうまくいっているようだな。」


「はい、魔術師の中には箒を使って飛ぶものもいますが、あれはバランスが良くないですからね。高く飛べない分、矢の的にもなりにくい。地面に近いほうが戦場では生き残れます。」


楽しそうに地上を滑るカギを見てアマンは笑う。


「落ちないように気をつけろよ。」


「地面すれすれですから、落ちても大して痛くありませんよ。」


カギは笑いながら板の上でくるりと向きを変えた。


その時、アマンとリユウはロフ軍の方から大きな魔力を感知した。





「ロフ将軍、妾が動いていいかい?」


徐姫が扇子を片手にロフに許可をとる。


「ああ、このままでは被害が大きすぎる。この逆風、なんとかできるか?」


「逆風は止められないが、邪魔はさせてもらおう。」


徐姫はそういうと上空高く飛翔した。


その姿を見上げたロフ軍の兵たちが息を飲む。


黒髪が風になびき、全身に赤黒い魔力が渦を巻き始めた。


大きな黒い羽根の扇子がゆっくりと広げられる。


扇子の一振りごとに、空気が震えた。


赤い瞳が細くなる。


「さて——」


徐姫はつぶやいた。


「遊んでもらおうか。」


魔光流星弾シューティング・ブレッド——』


扇子が大きく振り上げられた瞬間、上空に無数の赤い光点が生まれた。


星が降るように、それらは整列し——


「——ラアアアアアイ!」


扇子が振り下ろされた。


空が赤く染まった。


無数の魔力弾がアマン軍5000の上空から雨あられのように降り注ぐ。


「ぐわああああ!」


「なんだあれは!?」


一発一発の威力こそ大したことはない。


しかし人の拳ほどの塊が無数に降り注げば話が違った。


騎馬隊の馬が暴れ、兵が落馬する。


飛翔板の上の魔術師たちが体勢を崩し、次々と地面に転落する。


踏み潰された兵の悲鳴が上がる。


アマン軍の陣形が一気に乱れた。


「魔術師部隊、シールド展開!」


リユウの鋭い指示が飛んだ。


魔術師部隊がシールドを張る。


数百名の魔術師が展開した防護壁は、さしもの徐姫の魔力弾を弾き返した。


「……なかなかやるな。」


ロフは徐姫を賞賛しつつも、口を開いた。


「朱雀竜は10万の兵を消したらしいが、お前は5000の軍も消せないのか?」


「朱雀竜様と一緒にされては困る。」


徐姫はそういってロフのもとに舞い戻る。


「あの方々は妾にとっても天災だよ。同じにされては、妾の沽券にかかわる。」


「しかし——」


徐姫の大規模攻撃の余波で、アマン軍が制御していた風が乱れた。


追い風が、止んだ。


「今だ!オレに続け!」


ロフは機を逃すまいと、アマンの軍勢に向かって突撃を行った。

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