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第五百七話 マリーなりの悪夢のカタチ







 夢だ……これは悪夢だ…………私が民に目もくれずに宮廷で貴族達と踊ったりおしゃべりしたりしてる……やたら賑やかなきんきらの衣装着て指一本一本に派手派手しい宝石の指輪はめて髪の毛を編み込みまくって変な帽子みたいな形にしてる…………賭博で何百万リーブルかけてトランプのカード引いて、一瞬で賭けた金すっからかんにしてる…………男の人に言い寄られてまんざらでも無い表情して……しかも口閉じてくすくす笑ってる〜〜!!


 なんでこんな自分見てなきゃいけないの…………自分の夢なのに!!

 早く目覚めさせて〜〜!! …………



 「はっ!」


 マリーは散々自分の悪夢に焦らされた挙句やっと目を覚ます事に成功した。


 がばっ


 勢い良く身を起こすと。


 「おお、お目覚めですか!」


 声と共に目に入ったのは初老の男性の姿。

 よく見た顔だった。


 「ラソンヌ先生……」


 マリーの、そして国王の主席主治医ラソンヌだった。

 日々国王と王妃の体調を健診する役目を負っていた。

 ただマリーはいつも元気で健診をすっぽかす傾向にあり彼の頭を悩ませていが。

 

 マリーは置かれた状況を確認した。

 今いるのは夫の寝室のベッドの上だった。

 自分は気絶して悪夢を見させられていた。

 それでラソンヌ先生が呼ばれた訳か……


 「大丈夫ですか?」


 「はい、完全に」


 マリーの返答に無茶苦茶違和感を感じながらもラソンヌは医者としての務めを果たそうとする。


 「外傷による気絶ではないので今の精神状態さえ良ければ大丈夫だと思います。気分はいいですか、完全に?」


 「完全に!」


 「では……面会許可します!!」


 途端にドアが開きどどっと人が入ってきた。


 「姫様!」「マリー!」「マリー様!」『マリア!」「王妃様!」


 色々な呼び方で溢れんばかりの人が詰めかけた。

 まずヒバリコが駆け寄った。


 「姫様ごめんなさい! まさか気絶されるとは」


 ヒバリコの声にテレジアの声がおっかぶさった。


 「当たり前だ! ギロチンで首を撥ねられるとはなんと無礼な予言を!!」


 「いえ、ギロチンは別に良いのです」


 マリーの冷静な言葉にテレジアは更にいきり立つ。


 「いい訳ないだろ〜!!」


 「私は民に憎まれると言われた事に衝撃を受けたのです。民に本気で憎まれたら私おかしくなってしまいます」


 「今言ってる事がおかしいだろ〜!」


 「ヒバリコ先生!」


 マリーはベッドから降り立った。


 「私が民に疎まれる未来はもうないのですね?」


 「はい! 姫様はそんな未来を紡ぐ行いをされておりません!」


 「では、私はこれからも民の為に自らの信じる道を進むのみです!」


 「姫様、完全に立ち直られて……及ばずながら私も姫様の信じる道にご一緒します!」


 「や め ん か 〜〜!!」


 向き合う師弟にテレジアがどんっと踏み込んで割り込んだ。

 

 「二人揃って何するつもりだ!? 王妃の尊厳ぶち壊してまで民におもねるのが許されないとずっと言ってるのに〜!!」


 「そこまで!」


 国王がやっと声を発した。


 





 マリーの悪夢はギロチンじゃない。

 死ぬより悪夢ってなんだろう?

 そういやラソンヌ先生ってベルばらにも出たんだよな。

 出しただけって感じだけど一応実在したんだからいいかw

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