第五百五話 更なる問いかけ
「勝手なことを言うな〜〜!!」
テレジアが怒りをあわらにして怒鳴る。
「そんな遠い先の事で私らに責任背負わせるな! 私が死んだ後の世の差配など分かるものでは無い!! マリアでさえ死んだずっと先だ!!」
ヒバリコは頷いた。
「女王様、私の言った事を本当だとして答えて下さってありがとうございます。確かにおっしゃる通り」
「むう……」
乗せられた感を感じてテレジアは口をへの字に引き絞った。
「自分たちの行った事を次代に繋げ積み上げてゆく。それしかないと思います。ただ…………」
ヒバリコは少し俯いた。
「それは本来の歴史に干渉する行為です。私は未来に人が絶滅すると知っているから、そうなるくらいなら歴史を変えてしまおうと思う事もできますが、当の時代の人間には関係ないとも言えます。ですので私は姫様に自分の時代の最先鋭の技法を教え、それでいて未来の歴史は教えず、後は本人の意思に委ねようとしたのです」
「まあ!」
マリーは少し当惑気味に声を上げた。
「私には遠慮なくご意向をおっしゃって下さって良いのに! 先生の望みなら叶える価値があります」
「いえ、そこが心酔し過ぎと言うのです。私の言葉を鵜呑みにしないで下さい」
「そんな事はありません。素晴らしい考えと思います」
「私が未来から来たと言うのもすぐ鵜呑みにしていらっしゃる。頭が柔らかいと言えばそれまでですが…………」
しかしテレジアは当然鵜呑みにしなかった。
「おかしい!! 絶対おかしい!!」
ヒバリコは小さく頷いた。
「ですよね。さすが女王様。姫様が盲目的で気付かぬ事まで……」
「何を言ってる!! お前は本人の意思に委ねようとしたと言ったが全然違うではないか!? さっき自分で認めた通り徹底的に民の為を思うように娘を教育してきたではないか? 民の為に自分はあるとまでに……そして暴れん坊だの糞の王女だの果ては魔女呼ばわり…………どうしてくれる、なんでそこまでしたのだ〜〜!?」
言われてヒバリコの表情が明らかに曇っていった。
こんな態度の師はマリーにとって好ましくない。
「ヒバリコ先生…………」
「姫様、何を言っても気を確かにしていられますか?」
「はい?」
「これは言うべきでないと思っていた事ですが……それでは納得してもらえない様です。ですので不本意ですが……」
「どうぞおっしゃって下さい! 先生の言う真実なら受け入れます!」
強い口調で言い寄るマリーにヒバリコは首を縦に振った。
「分かりました…………」
マリーが間に受けてもテレジアは間に受けない。
ヒバリコに対する評価の違いというか。
そして更に聞くと。
まあだいたい予測はつきそうですがw




