第五百四話 未来の過去話
「その通りですね。要するに私は…………約三百年後の世界からこの時代に来ました」
「な ん だ そ れ は〜〜!?」
遂にテレジアの怒りがついに爆発した。
「出鱈目ばかり言いおってむぐっ」
叫びを上げるテレジアの口をマリーがふさいだ。
「うんむ、むむぐっ!」
「続けて下さい、先生」
「……ありがとうございます。私のいた時代は民主主義国家と独裁国家が抗争を繰り返し、遂に最終戦争が引き起こりました。さっき言った敵も味方も滅び去る様な武器を使って……私の父はこうなる事を事前に予測していました。父は量子力学という学問を研究していたのです。その量子力学の理論では過去に行く事も可能ではないかとされていたのです。父は最終戦争が起きて世界が滅ぶ直前に過去に行く装置を試作ではありますが完成し、私を放り込み過去へ飛ばしました」
「む、ぐぐぐ……」
テレジアが呻き声を漏らした。
話を聞いているマリーの手に力が入ってしまったからだ。
三人の中でマリーだけはヒバリコの話に理解を示そうとしていたのだ。
「試作機なのでいつのどこに飛ばされるか分かりません。それでも行くしかなかった。父が試作機に私を乗せる際こう言ったのです。この時の為にお前には過去の世界で役立つ知識と技能を学ばせた。この様な愚かな戦争が起こらない様にしてくれと。だから私は…………私はこの時代のオーストリアのとある地域に飛ばされていました。その後、程なくして偶然出会ったのが姫様だったのです」
「え、そうなのですか?!」」
「はい、この時代の状況を把握してからウィーンへ向かいまして…………」
「それで……奇跡的な出会いだったのですね」
「はい。正直運命というものを信じる様になりました」
「もが、こら〜!!」
テレジアが顔面を高速で左右に振ってマリーの手を払った。
「そんな話を誰が信じる!? 魔女でもそんなことできるか〜!!」
マリーがきっぱりと言った。
「私はヒバリコ先生のいう事を信じます! 先生が嘘を言うはずがありません!」
「どこまで心酔しておるんだ〜!!」
一方国王はこれまでのやり取りを見ながら終始無言。
ずっとなんと言っていいか分からない状態が続いていたからだ。
(マリーが信じるとは言っても……そんな簡単なものではないな…………)
「父は私を過去に送り愚かな最終戦争を歴史から無くそうとしました。過去に戻れば未来は変えられると。それには世界に真の平和をもたらさんとする、精神性の高い、そしてそれを裏付ける力を持った存在が必要になるのです。それが国家か人か……しかも三百年先の話です。私が死んだ後の事なのです。誰かに未来を託さなければなりません。良き未来になるのを信じて…………」
「勝手なことを言うな〜〜!!」
テレジアが怒りをあわらにして怒鳴る。
という事でタイムマシンでしたね、一方通行の。
どうやってヒバリコを過去に返すかは色々考えました。
それこそ異世界来たと思ったら十八世紀のヨーロッパでマリーアントワネットの教育係になった、なんて王道パターンの話にもできたんですが……どうしても我が出てしまいこういう形となりました。
自分の書きたいように書く、というのも大変ですね〜。




