第五百二話 詰問の末……
「防音はしっかりしていますでしょうか?」
ヒバリコは分厚そうなドアを眺めながら国王に問いかけた。
「ああ、密談には適した部屋だ」
「ではお話し致します」
ヒバリコが三人に向かい話し出す。
「まず私が姫様を民思いの王女に育てた理由ですが。それは…………民の事を考えず自己の事ばかり大事にする王族は民に不満を持たれます」
すかさずテレジアが突っ込んだ。
「何を言っているのです!民思いの王妃がさっきまで命を狙われていたではないですか?! 言っている事が矛盾してます!」
あまりの正論にヒバリコは額に手を当てた。
「う〜ん、これ言わないと……無理ですか」
「なんですか?!」
「では、言います。アメリカの独立戦争はフランスの援助により独立を実現可能です。しかしそれではフランスに多額の借金をもたらすでしょう。それは仕方のない事、植民地支配から解放する行いは正しい判断です。ですがそれは民に大きな負担を与えます。当然不満は募る。そんな時王族が民の苦労をどこ吹く風と贅沢三昧したら不満は膨らみ暴動も起きましょう」
「何を言っている?」
女王より先に国王が問いかけた。
マリーも続いた。
「もしも……の話ですよね?」
「…………」
ヒバリコは無言で返した。
(ヒバリコ先生の意図がわからない……)
なぜ無言なのか。
「しかしながら……」
ヒバリコは再び話し出した。
「今の姫様は民思いでその思いを実行に移す力があります。だからその様な懸念はありません」
「黙れ!!」
テレジアが怒鳴る。
怒りに顔を強張らせて。
「そんなもし、たら、の話をしてどうする!? マリアが民思いの王妃で無かったら暴動が起きると決まってるのですか? 暴動が起きる? 起きたらどうなる? 今日の様に命を狙われて、今度は命を落とすとでも言うのですか!?」
「……っ!」
ヒバリコの顔がどんどん色を失っていく。
怯えの感情さえ見て取れた。
(先生?!)
マリーは師のこんな顔を見た事がなかった。
「…………」
再び無言となったヒバリコにマリーは進み出た。
「言って下さい」
「!! ……姫様……」
「何を隠していらっしゃるのですか?」
「…………それは」
「私にだって分かりますよ」
マリーは尊敬する師が微かに涙をこぼしているのに気付いた。
この涙の意味は…………
「申し訳ありませんでした。姫様に隠し事なんて……」
涙をヒバリコは軽く拭った。
「分かりました。もうどう言われようと構いません…………言います、人払いしたのもそれが理由ですから!」
言葉が途中で急に明るくなっていた。
何か吹っ切れたみたいに。
「え〜わたくしことヒバリコは…………
…………この時代の未来を変える為に来ました!」
とうとう言っちゃった。
いや、そんなとこだろうとは予測はしてただろうけど。
にしては話数かかり過ぎでは?
出オチでできなかったんかい!




