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第五百一話 ヒバリコの事情








 「それは…………」


 ヒバリコは一瞬逡巡してから言葉を続けた。


 「姫様が私に心酔し過ぎていて、このままでは傀儡となってしまうのではないかと恐れたからです」


 「ええっ??」


 マリーの顔が尋常では無い驚きの表情に早変わりした。


 「な、なんですかそれは……私が……」


 「ですのでしばらく離れていようと思いました。実は後ろの弟子達も同様の傾向があります。私は人に心酔されるような大層な人間ではありません」


 「そのせいで……こんなに長く離れ離れに…………私は先生を愛し過ぎたと言うのですか? ああ……」


 表情に切なさが加わり腕を振るわすマリー。


 「痛たた、何をするんですか〜!!」


 震える腕が母の腕を締め上げてしまった。

 

 「離さんか〜!!」


 無理やり腕を振り払おうとする。

 

 ぶんっ


 火事場の馬鹿力を発揮して強引にマリーの手を切り離した。


 「ヒバリコ〜!」


 「なんと! 二重関節?! テレジア様にこんな技量があったとは、これまで知りませんでした!」


 感嘆するヒバリコを睨みすえるテレジア。


 「やかましい! 私も聞きたい事がある!! なんで娘をあんなに暴れん坊に教育した?! なんで娘をあれだけ強くする事ができる?! なんで民を異常なまでに大事にするよう教育した?! お前は何者で何を目論んでいるのだ〜〜!!」


 強烈な問いかけだった。

 ヒバリコはテレジアを見つめ返した。


 「全部核心を付く質問ですね。答えねばなりませんか……」


 ヒバリコの言葉にマリーは息を呑んだ。

 

 「…………私もそれを聞いた事がありますけど一度も答えてもらえませんでした。答えていいのですか? 先生……」


 「う〜ん、気が進みませんが避けて通れないのでしょうか…………」


 「ええい、早く言わんか〜〜!!」


 テレジアの駄目押しでヒバリコは観念をした。


 「ではお話を致します。その前に人払いを。女王様、国王様、王妃様以外はご退室を。私の弟子も退室させます。よろしいですか、国王様?」


 「む…………」


 「あなた、お願いします」


 妻の頼みに断る理由も無い。

 国王はゆるりと即断した。


 「退室してくれ」


 「はっ」


 ビロンが即答してメルシーを促した。

 小さく囁く。


 「多分我々の手に余ります。早く出ましょう」


 マリーは残る三人に優しく言った。


 「姉弟子からの助言です。部屋を出たら私の部下のカークさんとビスケさんにお話しなさい。悪いようにはしませんから」


 「はいっ!!」


 三人揃って元気な返事。

 目も揃って輝いている。

 どうやらかなり姉弟子に尊敬の念を抱いているらしい。

 

 こうして四人を残して他のものは退室していった。







 問い詰められ答える事にしたヒバリコ。

 まあそれはそうですね。

 人払いしたのでそれなりの事なんでしょうが、どうなるかな?

 

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