第四百九十九話 室外のざわめき
「さて、テュルゴー様?」
バジーが聞いた。
「聞きたい事はありますか?」
「うむ……」
テュルゴーは複雑な顔をした。
バジーは付人扱いで女王の挨拶前から彼に同行していたのだ。
女王側に陣取っていたので王妃側の詳しい情報が不足していた。
「事の次第をできるだけ知りたいが……」
「だとよ、カーク、ビスケ」
振られてカークが渋い顔をする。
護衛は部屋の外だから当然カークとビスケはここにいる。
しかしこんなところで話すのは……
「職務中だ、無理を言うな」
「どうせ緊急の会議かなんかで情報が報告されるんだろ?」
「かもしれんが」
「大丈夫だろう。言える範囲でいいからよ。テュルゴー国務大臣のご希望だぞ」
「いや、大臣でも」
「じゃ、ブザンヴァル様なら?」
「何?」
言われてブザンヴァルが狼狽えた。
バジーは国王の護衛達を横目で見た。
「国王様の護衛は元々ブザンヴァル様の部下だろ? だったらここはブザンヴァル様の顔を立てて」
国王の護衛達が顔を見合わせ、ついでブザンヴァルの顔色を伺った。
「い、いやわしは別に……」
渋るブザンヴァルだが……
「聞きたいでしょ? 」
「うっく……」
「だからブザンヴァル様にお聞かせ願いたい」
結局護衛達はカーク、ビスケを含めて情報を漏らす事になった。
「ヒバリコ先生ねえ……」
腕を組むバジーにカークが相槌を打った。
「ああ、あのヒバリコ先生だ」
「ここに来て凄いの現れたなあ」
感嘆するバジーにブザンヴァルが怪訝そうに聞いた。
「知っとるのか?」
「マリー様からさんざ聞いてるんでさ、幼少期からの教育係との事で。今のマリー様はその先生様が形作ったそうな」
それだけでブザンヴァルが震え上がる。
「そんなものが中に……」
入り口ドアを見る。
あの向こうにそんなものが……
「こ、国王様は大丈夫か!?」
「大丈夫、マリー様と長年暮らしてるくらいだし」
「そ、それは……そう…………だ?」
「なので安心して一旦お戻り下さい」
「あ、ああ…………」
ブザンヴァルは心許ない足取りで部下と共に立ち去って行く。
「で、テュルゴー様もお帰りを。俺が様子を見ておきますから」
「君はいいのか?」
バジーはにやりと笑った。
「元々俺はマリー様直属の部下ですぜ」
部屋の外ですらこの有り様。
ヒバリコのネームバリューが高まっていく。
中は外どころではないだろうからこれからが大変だ?




