第四百八十七話 魔女の追求人
護衛達に観衆を整理していた兵達が加わりやっと賊を全員倒す事ができた。
だが敵も味方も無傷では済まず、血を流した者もかなりいた。
負傷した護衛達は自らの手当てを、無傷の者は賊の拘束を行わねばならなかった。
ビロンが賊を拘束している兵達に命令する。
「おい、急げ! 魔女と叫んでいる奴らを捕えろ! 逃すな!!」
しかし命令している間にもフィリップは叫び続ける。
「王妃のあの血に塗れた姿を見ろ! あれこそ血の生贄だ〜!」
「魔女だ〜!」
「魔女よ〜!」
口々に叫ぶ四人の男女。
そしてフィリップの仕込んだ彼ら以外にも魔女という言葉を口にし出すものが出てきた。
「魔女……」
「魔女?」
フィリップの口元が歪む。
(そうだ、魔女の呼び名を観衆に広めるんだ!)
ビロンの兵が観衆に向かって駆け込もうとした時、カークの拘束作業に抵抗し、もがいていたフロンが起き上がった。
カークが組み付いて止めようとするが、二人はもつれてビロンの兵達と鉢合わせしてしまった。
「うわっ」
叫ぶ兵達に絡まりながらフロンは怒鳴る。
「魔女だ〜! 魔女の魔法でぶん投げられた〜!!」
フロンが稼いだわずかの時間でフィリップは拍子を取りだした。
「魔〜女! 魔〜女! 魔〜女! 魔〜女!」
手下の四人の男女も追随して叫ぶ。
「魔〜女! 魔〜女! 魔〜女……」
複数の人間が魔女と連呼する事によって観衆の間に不穏な空気が広がっていく。
やがてつられて声を上げる者が出てきた。
「魔〜女、魔〜女、……」
声は次第に大きく膨れていく。
「魔女? それは何ですか!」
テレジアは遠目に娘を見ながら当惑していた。
「娘が魔女?!」
とんでもない声が聞こえてくる。
最早こちらのやる事など消し飛んでいる。
「どうしてこんな事が……」
「マリー!!」
テレジアの困惑を切り裂く様に国王の叫び声が聞こえる。
「今行くぞ!!」
王は馬車の座席から飛び降りた。
「国王様! 」
慌てて護衛達が止めた。
ヴォードルイユが進み出て王の腕を掴む。
「お待ちください!」
「ええい、離せ!!」
「落ち着いてください! あの様な危険な場所に国王様を行かせる訳には行きません!! こちらの兵を向かわせるのでここでお待ちを!」
「黙れ!」
ヴォードルイユを振り切り国王が走ろうとするが護衛達に阻まれた。
護衛と揉み合う王にヴォードルイユは叫んだ。
「国王様、まずこの祭事の中止の御命令を!そうしないと何も始まりません!!」
「ええい、中止を命令する! だから行かせろ!」
取り乱す国王を見ながらヴォードレイユは歯噛みをしていた。
(フィリップめ、何という事を! 殺せと言ったのだ! こんな形で王妃を潰そうとするとは……これでは国の評判をも貶める事態になりかねん!)
王から王妃の方に視線を移す。
(どうするんだ、王妃…………)
集団心理で魔女コール。
そう言えば先日魔女の宅急便放送してたな。
なのでサブタイトルをそれっぽくしましたw




