表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
482/521

第四百八十二話 襲撃開始







 内門から出てきた女王マリア・テレジアが馬車から手を振ると一際大きな歓声が響き渡った。

 馬車はゆったりと前進を続ける。

 最後尾のマリー達が門をくぐった所で前進が止まる予定だ。

 晴天の日の光に晒されてテレジアは伏し目がちに観衆の有り様を見下ろしていた。

 

 これから観衆に友好国の女王として挨拶の言葉を言わねばならない。


 (…………何を?)


 彼女はこれから発する言葉に意味を感じられなくなっていた。


 (何を言っても娘は……)


 馬車が停止した。

 




 マリーは門を通りぬけた。

 ロープが張られて作り出された通り道。

 見ると道沿いに群がる観衆の後方では人々がテレジアの馬車の動きに合わせて移動していた。

 主役はテレジアなのだからそうなるだろう。

 結果的に門付近の観衆はかなり少なくなっていった。

 移動せずに居残った観衆はマリーを見るか遠目にテレジアの方を眺めるかだった。

 

 そしてマリーは普段通りに……


 自分自身を境界とした、自分とそれ以外の空間を意識していた…………





 マリーを挟んで両側の人垣にフィリップは四人ずつ計八人を配置していた。

 どれも観衆の一番後ろに位置する。

 とは言ってもかなりの観衆が女王を追って移動したので大した数は残っていない。

 いいとこ二、三列程だった。

 護衛数人に囲まれたマリーを睨みながらフィリップは様子をうかがう。


 「よし、今だ!」


 フィリップの手を振る合図と共に八人が道具を取り出した。

 彼らはその道具に火打石で着火をさせた。


 一番早く彼らの行動を視認したのはマリーだった。

 観衆の所々から煙が湧き出ている。


 「!!」


 素早く周りの護衛に叫んだ。

 

 「襲撃です!! 皆さん臨戦体制を!」


 マリーの叫びの直後、彼女の周辺に松明らしき物が一斉に投げ込まれた。

 火をまとった、と言うより煙の方が多量に発生している。

 

 おおお〜っ


 観衆が混乱の叫びを上げる中、大男達が人混みを薙ぎ倒し突進を開始した。


 

 「「マリー様!!」」


 「王妃様!!」


 カークとビスケとビロンが同時に叫ぶ。

 煙がもうもうと立ち込め視界をぼやけさせる。


 「王妃様を囲め!!」


 ビロンが自分の護衛兵に命じた。

 しかし煙がかなり激しくむせる者までいた。

 とりも直さず身構えるカーク達の目に煙に紛れて接近する複数の男達の姿が見えた。

 その中の一人が持つ武器をカークは目撃した。

 煙に紛れてもよく知った武器なので分かる。


 (屠殺用の金槌だ!!)


 一撃で牛を倒せる強力な物だ……しかも屠殺業者に広めたのは他ならぬマリーだった。

 襲いかかる暗殺者達はひたすらマリーのみに向かって突進してきた。

 取り囲む様に迫る八人の暗殺者とマリーを守らんと身構えるビロンを含めた護衛達。

 その時マリーを守る囲みが内側から崩された。

 マリーが囲みを潜り抜け敵の一人に突進していったのだった。


 「わ〜、マリー様〜!!」


 カークの怒号が虚しく響く。





 

 襲撃が始まった。

 煙に紛れて。

 かなり大雑把なこの襲撃。

 やはりマリーはじっとしててもどうにもならないとばかりに飛び出しちゃった。

 この後はどんな大立ち回りになるのやら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ