第四百七十八話 当日早朝
そして準備は着々と進み女王マリア・テレジアの民衆への挨拶の日が来たのだった。
早朝からオーストリア女王の姿を一目見ようと観衆がヴェルサイユはもちろんパリからも大勢の人が詰めかけてきた。
コの字型、あるいはU字形の宮殿の二つの先っぽ、その先っぽを繋ぐ線上に柵が設けられてある。
宮殿への入り口となる正門もここにある。
さらに内側に門があり、今回民衆が入れるのは外側だけだった。
いつもは宮殿内に入り国王の食卓を見学したりもできたが今日だけはそれは禁じられた。
まだ七時前なので入場は行われておらず、門の前に民衆が鈴なり状態だった。
警護にあたる兵達がこれを整理するのに大わらわとなっていた。
「皆様おはようございます〜」
おお〜!
集まった観衆達に柵の向こう側からマリーが走りながら笑顔を振り撒いた。
こんな日にも日々の走り込みを欠かさないマリーだった。
小屋に入り目安箱から書面を回収し終わると再び観衆の前に来て挨拶をする。
「わざわざお越し頂きましてありがとうございます。今日の式典に於いて母である女王様、国王様、私達が国民の皆様と共に喜べるよう尽力致します!」
おお〜〜!!
一際大きな歓声が上がる。
「まったく良いお日柄で絶好の式典日和ですね。しかし始まるまで随分時間がございますね。どうやってお時間を潰されるのでしょうか?」
目のあった観衆の一人がマリーの様子をうかがいながら答えた。
「とにかく早く場所を取らねばと思ったんだわな。絶対人でごった返すだろうから」
「おお、そうですか。母の為に御足労をして頂いているのですね」
「そんな大袈裟なもんでも……」
(ああ、また!!)
マリーの傍にいたカークが色めき立つ。
彼とビスケは女王の顔見せの式典の日という事で早朝からマリーに付いていた。
それなりの厳戒態勢をとっていたのだ。
(また民と話し込んでる!)
護衛越しに観衆と話しているマリーに対しカークは突っ込むタイミングを見極めんとした。
「本当にあんたパリでよく見かけるなあ……」
「はい、うふふふ」
「お仕事なんか? だったら大変じゃろう」
「そうですね。民の皆さんの為なら苦になりませんよ」
「なんじゃ俺らの為に? 王妃が働いてる言うんか?」
「はい、民の皆さんの為に働いて働いて働き抜く……」
(ここだ!)
言い回しがなんか突き抜けてきたと感じた瞬間が狙い目だ。
「マリー様! まだ式典三時間前です!!」
言いながらカークがマリーと観衆の間に割って入った。
「式典前に観衆に挨拶してどうするんですか!」
「ああ、そうですね……」
「式典中にやる事なくなりますよ!」
「ふうむ……分かりました。では皆様、また十時にお会い致しましょう!」
おお〜
歓声に手を振りながらマリーは宮殿に向かって駆け出していった。
慌ててカーク達もマリーに続いていった。
その日が来ました。
色々人それぞれ思惑があるでしょうが、一番気にしてないのがマリーでしょうか。
集まるキャラが多すぎてこちらはとても大変ですw
それと働いて働いて働き抜くは例の総理の発言のパクリです。
タイムラグがあって少し古いですねw




