第四百六十八話 慣れてます
国王の私室にて。
メルシー伯は女王が一週間後の帰国と王妃への対話を所望する旨を国王に伝えた。
「是非ともご了承願います」
「うむ……」
国王は座椅子の手すりに置いていた腕を立てて手の平に顎を乗せた。
帰国の日が決まるのはありがたいが、また王妃と一対一で対話とは。
(今度は何をするつもりだ?……)
などと考えていたら。
「お母様と対話! もちろんお受け致します!」
(まあ、こうなるか……)
王妃が二つ返事で受けるのは何となく分かっていた。
止める訳にもいかないだろう。
「了解したとお伝え願う。後は帰り際の女王の国民への顔見せについて具体的に詰めていかねばならないので、それについてご相談を」
「はっ、分かりました。ただ王妃様と女王様の対話の後という事でお願いします。対話は明日の朝でよろしいでしょうか?」」
マリーが意気込んだ声で答えた。
「国王様、私は構いません。今日でも良いくらいです!」
「いや、それではさすがに詰め込みすぎだろう。そこまで焦らなくて良いだろう?」
さっき女王との会談を今日の内にしてしまった王だけに説得力がある。
これにはマリーも恐縮した。
「あ、お母様に負担を掛け過ぎますね。これは失礼しました」
「では王妃様、明日の朝十時にテレジア様の貴賓室にてお待ちしております」
「はい! 喜んで!!」
(うわぁ、元気だなあ……)
メルシーはマリーに気押される様に会釈をしながら立ち去って行った。
国王はマリーに向き直った。
「女王が君に何を仕掛ける気か分からんが……私にまで暴力を振るいかけたという事もある。君にまた危害を加えるかもしれない」
「はい、慣れてます」
一応心配して言っているのだがこう返答されては…………
「そうか……まあ、頑張ってくれ」
「はい!」
これで話は終わり。
と思ったが王はもう一言王妃、というより妻に言っておこうという気になった。
「この国の為、とまでは言わないよ。自分の意思さえ貫ければそれでいい」
「!!…………」
感極まって打ち震え出すマリー。
国王に、夫にここまで言ってもらえるとは!
「感謝この上ありません!!」
慣れる程馴れ合ってきた、いや戦ってきた。
確かにこれで何度目か。
今度こそ終わりにできるのかな?




