第四百五十三話 交渉中に家探し
サラの棲家は狭い上細長く、下を通っている下水路が部屋の斜めに対角線状に通っていた。
別の部屋まで跨いで下水路が斜めに通っているので簡単な改装では何とかなるものではない。
一階の大部分を下水路のメンテナンスを可能にする為部屋を区切る壁を無くさないといけない。
つまり一階は集合住宅の体裁をなさないものになる。
隣は空き部屋だったからともかくサラの家族は引っ越さなばならない。
狭い部屋の中にマリーとテレジアだけが入り込んだ。
他の者は開けたドアから中をうかがう形となった。
向かい合うマリーとサラ。
マリーの後ろにテレジア、サラの背後には幼い三人の子供が隠れる様に立っていた。
「サラさん、立ち退き及び引越しの相談なのですが真上の階の空き部屋という事でよろしいでしょうか?」
「狭い! こんなとこにヒバリコが隠れる所があるのですか?!」
「上の階に移るにしても立ち退きの料金はお支払いします。金額は引越しの手間に見合った額で」
「とにかくくまなく探せるだけ探す!」
「50リーブルでどうでしょうか?」
「え〜い、ここか!?」
「ちょっとお母様勝手に動き回らないでください、人の家ですよ!」
「いない!」
「当たり前です! 何でこんな所にヒバリコ先生が隠れてるんですか! かくれんぼじゃ無いんですよ!」
サラは全く喋る事ができなかった。
自分の喋る分は黒服の騒々しい女性に取られていた。
「お子さんが怯えているじゃ無いですか! おやめ下さい!」
「探す所がもうない!」
「だったらもういいでしょう!?」
マリーはサラに申し訳無さそうに振り返った。
「すみません。荷物家財道具などをお運び頂けるでしょうか? 今からなら私達が総出でお手伝いします」
「ええっ?」
あまりにも気の早い申し出だ。
夫が帰って来た時にはもうここにいないのか。
「間貸し人にも周知してますし、どうですか?」
「…………」
「あ、立ち退き料70リーブルにお上げしますね」
「え、あの、…………お願いします」
引越し作業は護衛達とマリーも手伝いあっさりと完了した。
70リーブルをサラに支払うとマリー達は集合住宅の大家と確認をした。
一階は壁を取り去り一部屋にして貸し出す事。
そのための改装費用を国が支払う事。
下水路を修理点検をなるたけし易い状態に改装する事など。
大家との確認を終えマリー達は集合住宅を後にした。
「さて、次は……バジーさん?」
「あ、はい!」
テレジアの監視があるのでこうなった。
まだヒバリコを探す気満々の様子だ。
バジーの先導で一行は移動を開始した。
テレジアが動き回る。
最早マリーの事言える立場に見えない。
暴れん坊親子の名を冠する日が来るかもしれないかな……




