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第四百五十二話 不躾な訪問



 




 バジーの案内で一行が着いたのはいわゆる集合住宅だった。

 

 「ここですか?!」


 テレジアの問いにバジーが気圧されながら答えた。


 「へえ、ここですよ……」


 「間違いなく?」


 「間違いなく!」


 「よろしい!」


 (すげえ念の押しようだな)


 「では行きましょう!」


 マリーより先に入り口に向かうテレジアにカークら護衛達は当惑する。

 弱り顔をしながら後に続くマリー、その更に後を他の者らがぞろぞろ付いて行った。

 





 狭い一部屋に五人の家族住まい。

 これがサラの生活空間だった。

 夫が仕事で出掛けている間にまだ幼い三人の子供の世話に奔走する。

 そのな日々を繰り返している今、変化が起きた。

 立ち退きの話が出たからだ。

 しかもお上から。

 悪い様にはしないとお役人から言われているがどれだけ当てになるか……

 今日立ち退き事業の責任者が詳しい説明に来ると言っていたが、夫は仕事を休む訳にはいかない。

 自分が話を聞かなければいけなかった。

 役人相手に一人で応対するのは不安を拭いきれるものではない。


 どんどんっ!!


 「ひっ」


 激しいノックに心臓が飛び出るような驚きを感じた。

 恐る恐るドアに近付き、意を決してノブを回すと……


 「ヒバリコはいませんか!?」


 「きゃっ!!」


 真っ黒な衣を身に纏った女性が仁王立ちで鋭い眼光を照射していた。

 仰天しながらサラは後ろに飛び退いた。


 「だからいませんって!」


 突っ込みと共に横から母を押し込みマリーが現れた。


 「失礼しました、今日はそちら様の立ち退きとその後の補償についてご説明にお伺いに来ました」


 (少し普通そうな人が出てきた……ふう〜っ)


 「私はマリーアントワネットです」


 (ええ〜っ!? 普通じゃなかった〜〜!!)


 さっきと別な意味の驚きを見せるサラ。

 マリーを押し込み返してテレジアがまたサラの視界に現れる。

 

 「ヒバリコはどこです?!」


 「だからいませんって!」


 「ヒバリコ〜! このテレジアが直々に来ましたよ!! 姿を現せ〜!!」


 「何をサプライズみたいに言ってるんですか?!」


 交互に押し合い叫び合うマリーとテレジア。

 横移動で現れたり引っ込んだりしている女性二人を見てサラはひたすらおろおろとしていた。







 

 テレジアが暴走している。

 あんたが暴れん坊やろと言いたい位になってます。

 まあ彼女なりのルールではセーフなんでしょう。

 こんなペースで今日一日進めるのでしょうか?

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