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水害ーsid??ー2

突然のノックの音に驚いてビクリと体が跳ねる。

今は授業中。突然教室を飛び出した私を誰か追ってきたのだろうか?

最悪なことに私が通ってきた場所は水浸しになっていて私の居場所はまるわかりだろう。


「柄本さん?」


水音で聞こえにくいけど扉越しに聞こえてきたのは意外にも、クラスメイトで友人(きょうはんしゃ)の宮崎さんの声だった。

彼女とは特別仲がいいわけではないが、目的の相手が違うとはいえあの男女を嫌うという縁でつるむようになったそんな間柄だ。

何時もならなんでもない声なのに友人である彼女の声に今は少し安心する。


「大丈夫なわけないじゃない」


流れ出る水は弱まるどころか徐々に増していく。

流水にさらされ続けてきたせいか、少しづつ足の感覚がなくなってきた。


「柄本さん。ねぇ、開けて。開けてよ」


水音のせいか聞こえていないみたいで、なおもドアをたたき続けられる。


おかしい。


そう思ってしまうのも仕方がなかった。

いくら返事が無いからと執拗にドアをたたき続ける必要はない。

まるでドアを壊そうとするかのように叩きつけながら私の苗字を呼び、「開けて、開けて」と呼びかけ続けている。


「何なのよほんとにもう!」


「呪よ」


叫んだ時そう答えたのは宮崎さんではなかった。

きっと宮崎さんについてきた野次馬の誰かか、はたまた宮崎さんの友人か。

どちらにしろあまりにも非現実的な答えに一瞬思考が停止する。

呪?

確かに私は恨まれるようなことをしている。

だが、それは全部あの男女が調子に乗って独り占めし続けるのが悪いのだ。逆恨みなんてはなはだしい。


「全部あなたたちがやったことじゃない。彼女が恨むのも当然よ」


彼女?

そう言われてもまったくぴんと来なかった。男女以外に罰を与えたことはなかったはずだ。


「ひどいわね、あの子をあんな目に合わせておいて忘れるだなんて。そんなことだからこの子にも目を付けられるのよ」


この子? そこにもう一人いるのだろうか?


「あんた、誰なの? それに呪いって・・・」


「ええ、教えてあげる。でも一つだけ言ってもいい?」


「な、何?」


「絶対にドアを開けちゃだめよ」


その言葉に「何故?」と疑問が浮かぶ。

今はもうあきらめたのかノックの音が聞こえなくなったが、この状態をどうにかしてくれるために宮崎さんたちが来たのではないのだろうか?


「これは警告よ」


「警告って何なのよ!」


先ほどから呪だの、あの子だのわけわからない話を続ける誰かに嫌気がさし、ドアを勢いよく開く。


ただ、それを見た私はひどく後悔することになった。


扉の向こうにいたのは宮崎さんではなく不気味な人の形をした何か。

うちの女子制服を着てはいるが明らかに生徒ではない。肌は血の気がまったくなく青白く、髪は乱雑に切られている。そして何よりも目を引くのは異様に長い首とそこにまかれた緑色のホースだ。

そのホースは天井までつながっており、その様子はまるで・・・。


「あーあ、開けちゃった」


先ほどから聞こえていたもう一人の女子の声が聞こえる。

そういえば、ノックの音と水の音があったのにはっきりとその声を聞くことができた。

それに声が聞こえていた方向がドアの向こうではなく、かなり近く。

恐る恐ると声がした方向に振り返るとそこには人形の頭が置かれている。

それもなぜか髪と目がなく、そんな顔がにやりと笑ったように見えて・・・。


「う、ぐぅ!?」


突然首に何かが巻き付き体が強引に引き上げられる。

外そうと巻き付いたものに触れるとそれは少し弾力があって肌に吸い付くような滑りにくい素材で・・・。

引き上げられた反動で一瞬の浮遊感があった後、少しの落下するような感覚と首の締まりで目の前が真っ暗になった。


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