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第43話 広範囲制圧魔法を避けるなんて無理でーす


 中央アトリウムの奥、不思議な光が揺れていた。


 その先には巨大な門。


 恐らく、あれが鍵の《使い道》。


「じゃ。冴、お先に」


「なっ!?」


「連理さん!?」


 話の途中で突然駆け出す。流石に意表を突かれたのか、冴も驚いていた。


 乃々さんもニーナも驚いたが、すぐに着いてきている。


「話の途中で突然走るとは……やりますね連理さん」


「ちょっとずるかったかな」


 道中には折れた柱。天井から垂れた飾り。王様のポップ。


「見えたよ。たぶん最後の《鍵箱》だ」


「中央アトリウムの奥ですね。崩れた柱と、残骸カートが倒れています」


「広い場所、魔法使い……あぶない」


 後ろから大きい足音。


「《ハウンド》! 余裕で追ってきますね」


 盾がガシャンと音を立てた。


 ソーゴの大盾。


 その後ろに、冴と透が続いている。


 三人とも息は乱れていない。ここまで混戦を抜けてきたはずなのに、足の運びに無駄がなかった。


 逃げても無駄だったか……。


 確実に戦闘になる、と思って走ってみたのだが。


 流石に驚かれたが、意味はなかった。


 ソーゴが盾を構えたまま言う。


「追いついたぞ」


 冴が笑う。


「譲らない」


「班長、なぜ本気を出さない?」


「ふっ……」


「おい冴、何を考えてる」


 駆けながら、冴はこちらを見た。


 暗めの青い髪が揺れる。


「日野枝連理。最後は譲らない」


「うん。俺たちも、ここまで来たからね」


「連理さんたちが鍵二本。冴さんたちも二本。最後の一本で決まりますよ」


 ニーナは浮遊魔法を使って着いてきている。ずるい!


 でも、自分もずるい手は使ったのだった。


「特別なフェア、たのしみ」


 冴もすぐに返した。


「取らせない」


 冴の片手には魔銃。


 もう片方には、細い杖が握られていた。


 その時、通路脇の古い催事ワゴンが音を立てて崩れた。


「わっ……! 王冠が、たくさん転がってきました!」


 軽そうな王冠が床に広がり、コロンと止まる。金色の塗装は剥げていて、内側には小さく《王様フェア》と書かれていた。


「安そう」


「ずいぶん安い王冠だね」


「紙のマントと、玩具の杖もあります!」


「王様なりきりセットかな」


 冴は王冠を踏み越えた。


「邪魔」


 直後、杖の先に紫の魔力が集まる。


 笑える売り場跡の空気が、そこで消えた。


「制圧する」


 続いて詠唱が小さく聞こえた。


「上」


 ニーナが指差したのは……天井。


 そこに紫色の魔法陣が広がる。


 巨大だ。と思った矢先、そこから光弾が次々に落ちてきた。床に光が落ちていくと、そこでボンと爆ぜた。


「上からです! 紫の光弾が、通路全体に降っています!」


「ぎゃー! なんだこりゃー!」


「助けてくれー!」


 他の探索者たちが叫ぶ。


「避けられない、かも」


 《フライ》は自動で回避している。


 火種ちゃんもまた同じ挙動をしていた。


「ニーナ、冴を止められる?」


「止める」


 大きく浮遊し、移動しながら冴の方を向いたニーナ。


 冴が魔銃を構え直した。


「撃たせると思うか」


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