第41話 魔物、探索者、魔物
《鍵箱》へ近づくほど、探索者の数が増えていく。
誰も箱を開けさせたくない。
こっちも止まるわけにはいかない。
「行かせるな! 箱の前を塞げ!」
「連理たちを止めろ! あいつら箱を開けたらまた何か引くぞ!」
なんか聞こえるな……。
「それ、止める理由としては分かるけど、通るよ」
「三人まとめて止める!」
探索者たちが立ちはだかる。
パーティは三人。
相手の方が攻めの手が一人多いように思える。
「乃々さんは後ろにいて。ニーナは最後に残った一人がいたら」
「はい!」
危険だ。
まとめて来られると、乃々さんが危ない。
「全員まとめてでも良いけど」
ニーナが呟く。
そんなことをしたら、別の配信になってしまう。
即BANだ。乃々さんが……。
向かってくる敵を見ながら、小袋に手を入れる。
「《刹那の種》」
「またツルか!」
残念。
今回は違う。
「《刻の縫い針》」
「種が空中で停止した!?」
「あぶねえ! 槍だ! 俺は実は連理たちのチャンネル登録者だからわかる!」
「裏切り者じゃねえか!」
探索者たちが身を引く。
ここだ。
「武器だけもらおうかな」
魔王直伝の魔流剣技によって、敵のエモノを弾いた。
「うわっ!」
「二人分の武器が床へ落ちました!」
手を広げたニーナ。
「これ以上は危ない。下がって」
種も槍化するのはもう少しだ。
一瞬の緊張。逡巡。
「……くそっ!」
探索者たちは去っていった。
付近で、赤い札のネズミがひしめいている。
「キキキキッ!」
箱そのものが売り場の目玉商品にされているみたいだ。
買い物に来たわけじゃないんだけど。
「《鍵箱》の前、セールラットで埋まっています!」
「箱へ群がってる。赤札だらけだね」
「宝箱、人気」
「人気がありすぎるね」
「ひー!」
種火ちゃんも必死に?ついてくる。
駆け抜けて……。
「箱……もう少し」
「連理さん、《鍵箱》まであと少しです!」
探索者、魔物、探索者、魔物……。
いつ何がどう襲ってくるかわからない。
冴たちも、別方向から近づいている。
《ハウンド》は押し合いを抜けつつあった。
「《鍵箱》! また違うクランが走っていきます」
その声で、探索者は振り向いた。
「ラッキー野郎かよ!」
「その呼び方は、少し……安直だね」
「うるせえ!」
鍵箱を目指し、並走する形になる。
「でも、ここは譲れない」
「こっちも譲らねえ!」
『箱前まで来た!』
『三つ巴どころじゃない』
『回収屋も別の探索者も来てる』
『探索者との正面衝突きた』
《鍵箱》が光った。
床に輝く線が走り、箱を囲む円を作る。
近くにいたセールラットが弾かれて、床を転がった。
「《鍵箱》の周り、光っています!」
「魔物おことわり」
「何らかのフェノメノン反応で、近くにクランが複数いる場合は開かないのかな」
「抜け駆け不可」
箱前で、俺たちと探索者たちが向かい合う。
冴たちの足音も近い。
ここで止まれば、すぐ追いつかれる。
「悪いけど、俺たちも鍵を目指してるんだよね」
「奇遇だな! オレらもだよ!」
探索者が武器を構え直す。
「やるぞ!」
俺は《燻り火の剣》を握り直す。《残火》はいつでも放てる。
人相手に……。
「《燻り火の剣》」
「来るかァーー!」




