雨の日の迎え
珍しく肌寒い曇りの日。予報では一時間後に雨が降るってなってたけど、ちょっとした買い物だし、近いコンビニだからと、雨具を家に置いて出てきた。
しかし、コンビニで買い物を済ませ、帰ろうと出入り口を見ると、雨が降っていた。しかも強い。
折りたたみ傘をさそうと鞄の中を漁った……が、傘は見つからなかった。
「嘘……」
もう少し雨が弱かったら小走りで帰れたけど……。この雨じゃ、
とりあえずイートインスペースに座り、雨が弱まるのを待った。
すると、光希から連絡が来た。
『小春ちゃん』
『今どこ?』
『外出中?』
そうだ、光希に傘を持ってきてもらおう。そう思い、打ち込もうとすると……。
『もしかしてコンビニ?』
『傘忘れて帰れなくなったとか』
『きっと近いからって油断してたんでしょ』
『すぐ行くから待ってて』
相変わらずすごいなぁ。
「えっと……『わかったよ』っと……」
小さい頃から、私が迷子になっちゃった時、光希はすぐ私を見つけてくれたっけ。
しばらくすると、コンビニの入店音が鳴った。
そこに目をやると、傘を持った光希がいた。
「やっぱりいた。僕の推理当たってたでしょ」
「うん。なんで分かったの?」
光希はクスリと笑い、
「何年小春ちゃんのこと見てきたと思ってるの? 小春ちゃんが考えることくらい分かるよ」
「幼馴染だから?」
「あのねぇ……」
光希は苦笑いを浮かべた。
「僕さ、小春ちゃんのこと、恋愛対象として好きって言ったの忘れた?」
顔が一気に熱くなった気がした。
そうだ、まだ保留にしてる告白……。
「好きな人のことは知りたいし、覚えたい。四六時中小春ちゃんのこと考えてるんだからさ。小さい頃から見てるから、行動もなんとなく分かるんだ。すごいでしょ」
「すごい……」
「あと……告白の返事、急かすつもりじゃないんだけどさ……早めに答えてくれると嬉しいな」
そう言った光希の顔は、どこか不安そうだった。
そうだよね。いつまでも保留になんてできないもんね。いつかは答えを出さなきゃいけない。
私が思い詰めてることに気づいたのか、光希は笑顔に戻り、
「それじゃあ帰ろっか」
「うん……」
「そんな顔しないでよ。今日本当はご飯のお裾分けしに来たんだ」
そして私たちは、傘をさして帰るということに。
相合傘なんて何年ぶりだろう。
前は距離の近さとか気にしてなかったのに。
光希が男性になってからもう半年も過ぎてるのに、全然慣れない。
「小春ちゃん、こっち寄って」
「えっ!? うん……」
すると光希は私の肩を抱き寄せた。
「光希……!?」
「少し肩濡れてる。ごめんね、気づかなくて」
濡れてるとは言ってもほんの少しだ。それにも気づくなんてすごいな。
にしても、距離が近い。
心拍数が速くなってるのが分かる。
私、やっぱり……。
チラリと光希の方を見ると、光希の耳が赤くなっていることに気づいた。
「光希の耳赤い」
「えっ、そりゃあ……好きな人と相合傘してるんだから……。こう見えて結構緊張してるんだよ?」
そんな話をしていたら、自宅に着いた。
「そういえば、ご飯のお裾分けって?」
「今日は肉じゃがだよ」




