アーク3 - 第8章:久しぶり
(リバティ二十九、五十九 / 午前6時52分)
ガソリンスタンドの前で停車したが、それは通常をはるかに超えたものだった。
バンが給油ポンプのすぐ隣にあったため、その構造が目立っていた。まず、彼はガソリンスタンドを見回したが、誰も対応してくれる人がいなかった。
「ガソリンスタンドの係員がいない?まあ、これはケプタもう二度と…そして…」
運転席のドアを開けると、彼はブーツで磨かれたコンクリートの床を踏みしめた。ドアを閉めると、背筋を伸ばし、駅の屋根に視線を落とした。
「毎日見かけるようなものではない。」
足の血行不良を感じながら、彼はぎこちない足取りで歩きながら右足を一度振った。大げさな足取りは、かつて見た映画を彷彿とさせた。二人の間抜けが、大金が入ったスーツケースを返そうと国中を旅する映画だ。
一方、ルークは助手席側のドアを開け、ジャックとは違って静かに閉めた。
「ここがドジャーロックか…」
彼は目を大きく見開き、目にするすべての建物をじっと見つめた。
通りは滑らかなタイルで舗装されているように見えた。商売をしている様子はなく、この時間に起きているのは彼らだけのように思えた。砂漠の冷たい空気をひと吸いすると、冷たい風が彼の背中の髪をかすめた。
「景色を楽しんでいますか?」
「すみません、ちょっと考え事をしていました。」
後頭部をこすりながら、ルークは再び現実へと意識を取り戻した。
ジャックが裏口の近くにいるのを見て、ルークは鍵穴に指を伸ばす準備をした。キーパッドのボタンを押すと、同時に二つのカチッという音が聞こえ、ドアが勢いよく開いた。
ルナは髪をあちこちに振り乱しながら、足音を立てて出て行った。
「レストランはどこですか?」
「レストラン?ここはガソリンスタンドだよ。」
「ああ、食べ物が必要だ。今すぐに。」
「ルナ、もう少し待ってて。」
ルナは腕を組み、ルークを睨みつけながら鼻で笑った。滑らかなコンクリートの床を足で軽く叩きながら、バンから降りてくる他の人たちの方を向いた。
一人ずつ、皆疲れた顔と頬のしわを浮かべていた。最後にバンから降りてきたホープは、こめかみの端を指でこすっていた。ルナと目が合った瞬間、彼女の眉間のしわを見て、ホープは心の中でため息をついた。
「何?」
「最後になるしかなかったんだな。」
「私たちは急いでいません。正直言って、あなたがそんなに怒りに満ちているのを見ると疲れてしまいます。」
「お腹が空いたし、疲れた。昨晩も昨日も何も食べてないんだ!だから――」
ルークが彼女の肩に手を押し当てた。彼女の注意を引いたことで、彼女は喉の奥に押し込めていたすべての苛立ちを吐き出した。
「今回だけは、どうか行儀よく振る舞ってください。私たちは以前ほど人気者ではないのですから。」
彼が抱きしめる時間が長くなるにつれ、彼女の指は震え始めた。指をぎゅっと握りしめ、誰かに叫びたい衝動に駆られたが、彼女にできることは、抑え込むことだけだった。
他に言いようがないが、彼女は大きくなった鼻孔から息を吹き出した。全身の筋肉を緩めて、チッ 音。
「わ、わかった…どうでもいいよ…」
他の者たちは、ルークがルナをどう扱うかを見ていた。彼らはルナとは関わりたくなかったのだ。ルナがどれほど強いか、そして一人の人間がどれほどの怒りを爆発させられるかを知っていたジャックは、誰よりも彼女のパンチがどんな味がするかを知っていた。
彼は片手で右頬をこすった。
「正直言って、そもそも私たちは褒められたことなんて一度もなかったんです。最後に『ご尽力ありがとうございました!』と言われたのはいつだったか覚えていますか?」
「ほとんど何もなかったよ。感謝の印としてもらったのは、食べ放題のクーポン券くらいだった。それは――」とマイルズが言いかけたところで、誰かに遮られた。
「ラゲフォーにあるバーの一つで、ボリスがよく通っていた店だ。最悪なことに、ルークが賭けでそれを勝ち取ったんだ…」とスタンは言った。
「ちくしょう…」ジャックはそう呟いた。
口の中に嫌な味がしたルークとルナ、ホープ以外の全員が街の方を向いた。人々が家や店から次々と姿を現し、馬車や古い自動車まで出現した。時代も国も違う。白黒テレビのある国ではないことは明らかだった。
ようやく太陽が昇り始めると、その日差しは彼らが想像していたよりも強烈だった。暑さで服が蒸れ始めたのを感じ、ルークは両手をポケットに突っ込み、他の仲間たちのほうを向いた。
「おい、ジャック、ボリスたちがどこにいるか知ってるか?」
「そういえば、彼らは町の北で休憩すると言っていました。国境で給油したので、ガソリンは十分すぎるほどあったそうです。」
ジャックはデイビッドとの最近の電話を思い出していたが、停車場所に関する詳細は曖昧だった。家から出てくる人が増えていることに気づいたスタンは、頭の後ろを念入りに掻いた。
「そろそろ満席にしましょう。これ以上ここに長居したくありません。」
「ああ…さもないと、ろくでもない賞金稼ぎが俺たちを騙そうとするだろう。そんな面倒なことには巻き込まれたくない。」
ジャックはため息をつき、ようやく目の前のガソリンポンプに目を向けた。細長く背の高いそのポンプは、ケップタンのポンプのようにずんぐりむっくりとした形ではなかった。ガムボールマシンのような形をしたそのポンプから燃料サイロを取り出し、給油口を燃料タンクに接続した。
そして、彼が小さなダッシュボードに気づいたとき、ガソリンは一ガロンあたり二十セントで、バンには25ガロンの燃料が入った。
「ガソリン代が5ドル? まったく驚きだ!」
ガソリンを注ぎながら、ジャックは他の仲間たちのほうに目を向けた。鼻先に手を添えたまま、左手で短いウェーブのかかった髪を梳かした。
「君たちは適当なレストランに行っても構わないよ。ボリスに伝えて、注文を待つから。」
「いいですね。」
「俺たち四人でガソリンスタンドを襲撃するつもりだ。手持ちのわずかなお金で、何か必需品を詰め込めるかどうか試してみるよ」とスタンは言った。
「わかった。」
スタンに頷き、ルーク、ルナ、ホープ、マイルズは街の中心部へと歩き始めた。しかし、歩き出す前に、ルークはジャックとスタンのグループに力強い頷きで賛同を示した。
ベンは自身の安全のため、その場に残った。
「みんな、気をつけてね。」
________________________________________________________________________
(リバティ二十九、五十九 / 午前7時02分)
リーダーであるルークは、先頭に立つ義務があった。
マイルズ、ルナ、ホープを後ろに従えて歩きながら、彼らはレンガと木材でできた白い建物に目をやった。空気は刻一刻と乾燥し、高地砂漠の町の住民はますます増えていった。
男性はカーディガンとポロシャツを着て、ハクスブルクケプタよりもずっと古い時代の遺跡だった。女性たちは長い黒いドレスを着て、帽子で肩と背中を日差しから守っていた。そのため、彼女たちは場違いな感じがした。
「仕立て屋か何かを探すべきだったな…」
「食費すらまともに払えないくらいお金がないんです。着ている服が、今の私たちの生活の全てなんです」とマイルズは言った。
「じゃあ、一番安い食堂で食事をするってことね…」とホープはつぶやいた。
通りすがりの市民たちを横目でちらりと見ながら、好奇心から眉をひそめた。そこには多少の批判的な視線が込められており、彼らの服装が場違い、あるいはむしろ未来的であることは明らかだった。
ルークはうつむき、恥ずかしそうに後頭部をこすった。
「ほら…ボリスに従うのも悪くないかもしれないね。」
「ジャックのせいだ。彼は国境で他の連中と一緒に燃料補給しておくべきだった。彼のミスで、他の連中がどこにいるのかさえ分からないんだ。」
マイルズはまたしても不満をぶちまけた。太陽の光が屋根の隅々まで降り注いでいた。白いレンガに照りつけ、周囲の多くの窓が開け放たれ、持ち上げられた。空気はひどく乾燥していたが、新たな始まりに満ちており、ただただ時間がゆっくりと流れるように感じられた。
彼らは古い建物に気づく前に。
使い古されたレンガの壁には、黄色く錆びた窓が並んでいた。扉は堅木でできており、壁は年月を経て埃が染み込み、ターコイズブルーに輝いていた。
「あのダイナーはどうですか?」
「いや、安すぎるよ。」
「金目当ての女」
「何って言ったの!?」
建物の前に立ち止まったマイルズは、彼らの冗談を無視して、歪んだレンガ造りの建物をじっと見つめた。
ルークはため息をつきながら、右にいるホープとルナに目をやった。旅の疲れがまだ残っているホープは、ルークに何も言い返そうとしなかった。そのため、ルークはルナの背中を軽く叩くしかなかった。
「空腹を満たしたいなら、ここで食事をするしかない。」
「もっといいレストランは他にもあるのに…」
「それは命令だ、ルナ。ここで食事をするんだ。例外はない。」
ルークは声を荒げる必要はなかったが、その鋭い口調にマイルズとホープは思わず彼を見つめた。ルナは彼の命令に身震いし、頬を膨らませてふくれっ面をした。
「あ、あのドーナツ、まだ返してくれないよ!」
「それは忘れない。」
怒りを一旦鎮め、彼女はルークから離れ、ドアに向かって歩き出した。鼻から大きく息を吐き出し、左手を体の揺れに合わせて揺らしながら、右手を固く握りしめた。
彼女の体はリラックスし、まるで彼女を操っていた苛立ちから解放されたかのようだった。右拳を振り上げ、木製のドアを力強く叩いた。
「おい!開けろー」
それは彼女の顔面にまっすぐ飛んできた。
鼻のあたりを直撃され、彼女は硬いコンクリートの地面に倒れ込んだ。激痛で両目をぎゅっと閉じると、鼻から血が流れ落ち、両手で地面を強く叩いた。
誰がドアを開けたのか確認する気になれず、ルークは彼女のそばにひざまずいた。
「あ、大丈夫ですか?」
「一体誰がそんなことをしたんだ!?誰かがあのドアを開けたのは間違いない!」
皆が目の前の光景に目を凝らしていたが、人影一つ見つけることができなかった。マイルズはホープの肩に手を当て、二人はドアと壁をじっくりと観察した。
見当もつかないし、手がかりもない。ルークは眉をひそめた。
「なぜ誰も出てこないんだ?」
「あるいは…もしかしたらドアは自動なのかもしれない」とマイルズは言った。
「ああ…自動だよ。ルナ、聞こえた?たぶん自動だよ。」
「あなたたち二人の言うことが正しいといいんだけど!」
彼女は起き上がると、不揃いな力でブーツを握りしめた。彼はポケットから清潔なティッシュを取り出し、彼女の鼻の下に当てて、優しく叩き始めた。
彼はティッシュを四角く折りたたむと、ポケットに押し込み、それからドアの方を向いた。
「よし、準備はできた。」
足を踏み出すと、外と内がまるで別世界のように感じられた。薄暗いダイナーに足を踏み入れると、椅子もテーブルもがらんとしていて、がらんとした空間が広がっていた。中央には酒場のバーカウンターがあった。
そこには、テーブルに頭をもたせかけて眠っている男がいた。
床にもテーブルにもゴミやパンくずは散らかっていなかった。こんなに古いのに手入れが行き届いている様子を見て、ルークはすぐに全員が座れるテーブルを見つけた。しかし、そうしながら彼は部屋の隅々まで見渡した。まるで影に目があるかのように…。
—体誰が私を監視しているのだろうか?
「ルーク、大丈夫?」とホープは尋ねた。
ルークはたちまち我に返り、現実に戻った。首を振りながら、ほとんどささやくような声で話し始めた。
「何でもない。ただの想像だ…」
音楽は流れておらず、メロディーも響いていない。彼らは皆、金属製の椅子に腰を下ろしていた。尾てい骨が圧迫され、皮膚に水ぶくれができるのを感じながら、朝の光が黄色みを帯びた空に映えていた。
ほんの数秒も経たないうちに、ウェイトレスが彼らのほうへ歩いてきた。全身真っ白なスカートに赤い口紅をつけた彼女は、完璧なプロポーションの持ち主だった。鉛筆とメモ帳を手に持った彼女は、すぐにルークに視線を向けた。
「みなさん、こんにちは。ララのダイナーへようこそ。さあ、飲み物を注文しましょうか?」
「実は、みんな注文する準備ができていると思うんです。」
「ああ、わかりました。では、何にしましょうか?」
ルークは微笑みながら後頭部を掻いたが、二人の女性が彼をじっと見つめていた。彼女たちはルークを品定めするような視線を向けた後、胸の谷間を少し見せている女性に目を向けた。
彼はウェイトレスと目を合わせることができず、メニューに視線を向けていた。
「パンケーキと白米をいただけますか?」
「白米?朝食に白米がいいの?」
「は、はい、お願いします。それと、お水も一杯…」
「よし…君たち三人はどうだい?」
最後のメモを書き終えると、彼女はマイルズに視線を向けた。二人の女性を無視したが、彼女たちの視線はただ緊張で体をくねらせるだけだと分かっていた。マイルズはメニューに指を滑らせ、朝食のスペシャルメニューらしきものを指差した。
「これはボリュームたっぷりの朝食ですよね?」
「はい、そうです。」
「じゃあ、それと炭酸飲料をください。」
「この時間帯は炭酸飲料は提供しておりません。」
「それから、アップルサイダーを一杯。」
「えっと…わかりました。」
彼の奇妙な飲み物の選択を気にしながらも、彼女は象さえも虜にするような魅惑的な視線を彼に送った。ルークとは違い、マイルズは緊張を感じておらず、自信に満ち溢れていることを自覚していた。
彼女は最後の二人の客に目を向け、ホープから接客を始めた。
ホープは何も答えず、メニューに指を滑らせ、パンケーキの山にたどり着いた。メニューを何度もタップする様子は、まるで自分が従うべき暗号を書き込んでいるかのようだった。パンケーキだけが欲しいと分かった彼女は、注文を書き留め、選んだ料理に静かに頷いた。
「では、――」
「オレンジジュース。果肉なし。」
「わ、わかった。」
彼女は最後の言葉を書き留めると、最後の客に目を向けた。その客が厄介な客になるだろうと分かっていたので、ウェイトレスにできることはただ一つ――
「オムレツとクレープとチョコレートドーナツが欲しい。ついでにストロベリーミルクシェイクも頼むよ。」
彼女は右手のひらを顎の下に添え、顔に笑みは浮かばなかった。驚いたウェイトレスは、それでも笑顔を保った。
「申し訳ありませんが、お客様に2セットの商品を提供することはできません。」
「今。」
ウェイトレスは飛び退き、キッチンへと急いで逃げていった。相変わらず独占欲の強いルナは、ルークの首に腕を回し、彼の体をしっかりと抱き寄せた。ルークは彼女の腕から逃れられず、細い腕がうなじに押し付けられるのを感じながら、そっと微笑んだ。
「ルナ、いい加減にしなさいよ、従業員の人たちに優しくしてあげて。」
「気にしないよ。それに、彼女、君のことを変な目で見てたよ。」
ルークは静かにため息をついた。
別のウェイトレスが出てきたが、彼女は右手にシンプルな雑巾を持っていた。酒場のカウンターの埃を払いながら、彼女は何度も前後に動かし、端の方へ滑るように進んでいった。指に埃が積もっていくのを感じながら、彼女は自分の仕事に集中しすぎていた――雑巾が何かに触れた時までは。
片手で何かを成し遂げようとした彼女は、我に返り、赤毛の男に視線を向けた。
「な、なんだって?まだここにいたのか?」
「え、えっ?」
することが何もなかったので、四人は酒場でくつろぎ、ルークは男の髪の色をじっと見つめていた。
「今何時ですか?」
「もう朝だよ!まさか一晩中ここで寝てたんじゃないだろうね!?」
「男は安眠できないのか?それに、昨夜はすごく楽しかったんだ。」
その声はあまりにも聞き覚えのあるものだった。
まるで体がそれに引き寄せられるかのように、彼は時間が経つにつれて指先がぴくぴくと動くのを感じた。彼の不安を感じ取ったルナは、目を細めながら右腕を引っ込めた。
「ルーク?」
ホープの問いかけにも耳を貸さず、ルークは静かに席から立ち上がった。友人たちの声にも耳を貸さず、音を立てずにそっと木の床を踏みしめた。ブーツに負担もかからず、指の関節も震えず、心臓が高鳴るのを感じながら、老いた鼻孔から静かに息を吐いた。
男が座っている場所に手を伸ばしたルークは、まるで指を動かして動かそうとするかのように、指をくねくねと動かした。
「おい、後ろにいるのは誰だ――」
椅子をくるりと回すと、男は中くらいの長さのツンツンした髪をしていて、目の下にそばかすがあった。
エルフのような耳、緑色の目、赤毛。どれも彼の正体を露呈する大きな特徴だった。男は体を硬くすることなく、ただゆっくりと椅子から立ち上がった。両手を高く上げると、仲間たちは彼の顔を見ることができた。
「まさか…」マイルズはそう呟いた。
「冗談でしょ?」とルナは言った。
「まさか…?」ホープはかすかな唇からそう囁いた。
男は右に首を傾げ、微笑んだ。彼と同じ革のジャケット、同じ黒いズボンとブーツを身に着けていた。それはダークエンジェルの制服だった。
「久しぶりだな…ルーク?」
「ショーン…」




