アーク3 - 第7章:砂に覆われた国への旅
(リバティ二十八、五十九 / 午後10時23分)
ポルックス・サバンナのどこかで…
上空の雲は月明かりを遮り、地平線には暗闇が広がっていた。暗闇を突き抜けるハイビームの中で、唯一動いていたのは茶色のバンの姿だけだった。
枯れた黄色い草や、鈍角に見える木々も、百三十五度の角度でアーチ状になっているように見えた。左手でハンドルを握りながら、ジャックは右手に携行シンプルなエナジードリンク。
ちょっとした段差を乗り越えた時の衝撃で、乗客は驚いて目を覚ました。目が飛び出るほどの激痛だった。
「え、え、え?」
目が少し赤くなったルークは、重々しいまぶたでジャックを見つめた。汗が顔を伝い、服はしわくちゃで乱れ、彼はヘッドレストに頭を預けていた。そして何よりも、唇の下に浮かぶ乾いた血をそっと拭い取った。
「どれくらい意識を失っていたんだろう?」
「約十二時間ほど。」
「では…ホープは私を癒してくれたのだろうか?」
「彼女は誰よりも先にあなたを治してくれたのよ。みんなかなりひどい怪我を負っていたから、彼女が治した治療の量に圧倒されて、意識を失ってしまったの。」
ルークは体を回転させ、助手席と運転席の間にあるスライド式のパネルを開けた。その穴に視線を向けながら、ぐっすり眠っている全員をちらりと見た。
ホープはベンに頬をこすりつけ、少しよだれが唇を伝った。そして後ろの方では、ルナが口を開けて大きな音でいびきをかいていた。他の全員が眠っているのを見て、彼はそっとため息をつき、再び道路に目を向けた。右に視線を移すと、すぐ後ろに車がいることに気づいた。
「あれはボリスの車みたいだ。」
「ええ。デイビッドとボリスが交代で運転しているんです。彼らは私とは違って、夜更かしをするタイプではないんですよ。」
「それは、二人とももう高齢だからだよ。みんなが君みたいとは限らないんだ…」
すっかり目が覚めたルークは、バンと共に変化する景色を見回した。見えるのは暗闇ばかりで、まるで果てしなく続く道を進んでいるかのようだった。
二人は、緑色の背景に白い文字の看板に気づいた。ハイビームが反射して、そこにはこう書かれていた――
{フィールドグリーン - 二十マイル}
【ニアベア川 - 百五十マイル】
{ハクスブルク国境 - 三百マイル}
—私たちは南に向かっているのですか?
緑の標識を過ぎると、ルークは右手を顎に当てた。ゆっくりと、しかし繰り返し顎を軽く叩きながら、彼はまっすぐ道路を見つめた。
「何を考えているの?」
「水を飲んでください。声が乾いていますよ。」
「エナジードリンクさえあれば生きていける。それが俺の生き方さ。」
「腎臓結石の層をまとって転がり落ちるまでは……ところで、私たちはラゲフォーにいるはずじゃなかったっけ?」
ジャックはそれまでの気楽な態度を止め、右手をハンドルに置いた。
咳払いをすると、乾いた唇から乾いた咳が二、三回漏れた。砂を飲み込んだような感覚に襲われ、彼は首と背筋をまっすぐに伸ばした。
「君が意識を失っている間に、僕たちは全員なんとか裁判所から逃げ出し、政府の手から逃れることができたんだ。捕まる寸前だったから、笑い事じゃなかったよ…」
彼は道がさらに暗くなったように感じ、それによって既知のものが未知のものになった。眩しい光が風景を完全に映し出すことができず、彼の心は光そのものをぼやけさせてしまった。
「全員が本館に到着したとき、私たちは重要だと思うものをすべて持ち出そうとしました。ブーツも、武器も、必要な道具や弾薬もすべて手に入れましたが…いくつかの貴重品は犠牲にしなければなりませんでした…」
バンの後部座席には、無数のスーツケースや箱が床に散乱していた。小型のものから巨大なものまで様々で、中にはブーツのつま先に触れるものもあった。まるでジャングルのように積み上げられた荷物を思い起こさせるように、暗くなった空に一筋の乾いた稲妻が走った。
「着ている服が、私たちが持っている唯一の服なんです。パジャマを持ってくるのを忘れてしまったので、衛生面は心配です…」
二度鼻をすすりながら、ルークは後部座席からかすかな体臭が漂っていることに気づいた。強烈な臭いではなかったが、一日か二日経てばもっとひどくなるだろうと彼は分かっていた。そして、パチパチと音を立てる雷鳴がバンを揺らすと、周囲の景色もその振動を感じ取った。
「ああ、そうそう…ボリスが貯めていた金庫の鍵を開けるのを忘れてたんだ。だから…ほぼ破産状態だよ。」
強い風が吹き始めた。
枯れた草がかすかに揺れているのが見えた。まるで藻が流れに逆らっているかのようだった。タンブルウィードの群れがうろつき、茶色のペンキに小枝が引っ掻き傷をつけているのが目に入った。自然が苛立ちを露わにしているのが聞こえ、ルークは思わず唇を固く閉じた。
「しかし、いったんその場を離れると、私たちは廃工場に身を隠し、夜になるまで待った。安全だと判断したら、そのまま南へ車を走らせ続けた。」
ルークは、自分たちが向かっている低気圧をじっと見つめていた。乾いた稲妻が次々と現れ、パチパチという音と轟音を聞きながら、ルークはその後に起こるであろう事態を想像して、目を曇らせた。
「では、私たちはどこへ向かっているのでしょうか?」
ジャックは両手でハンドルをしっかりと握りしめ、革製のハンドルは前後に揺れていた。向かい風の中、彼はルークの方をちらりと見ることもなく、サバンナの奥深くへと進んでいった。
「デイビッドは南に向かって運転することを勧めた。ハクスブルク彼は、私たちが政府の手から解放される場所を知っているのだ。
「では、「ハクソウブルク?」
道路に舞い上がる砂埃は、北から吹く風に乗って運ばれていった。それなのに、ジャックの目はまるで金床を持ち上げているかのような重苦しさを感じていた。
「ここから南へ車で八時間ほどのところにある、ドジャーロックという町です。」
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(リバティ二十九、五十九 / 午前4時03分)
景色が変わった。ケプタ南部地域に広がるサバンナの真っ暗な闇を抜け出し、バンは標識を通り過ぎた。
ようこそ、ハクソウブルクへ!
ジャックの目に映ったのは、赤みがかったオレンジ色の土だけだった。アーチ状の木々は、五重に並んだサボテンに取って代わられ、ジャックは思わず眉をひそめた。そして左を見ると、石と土と岩が積み重なった大きな岩山、天に届くほどのそびえ立つビュートが見えた。
「これはハクスブルク地理の授業で習ったところによると、この地域はシャンタ砂漠と呼ばれる高地砂漠です。’
降水量に関して世界で最も乾燥した地域であるため、上空からの光さえも彼らに涙をもたらさなかった。ハイビームが暗闇を切り裂き続け、赤みがかった悪魔のようなタンブルウィードが荒涼とした闇の中を転がっていた。アクセルを緩めると、ジャックはハンドルを握る手に力がこもるのを感じた。
「やあ、ルーク。ルーク…?」
左手でハンドルを握り、右手でルークの肩を引っ張った。反応がなかったので、ジャックは舌打ちをした。
暗闇の中でも、突き飛ばされたような感覚だけで、ルークは飛び起きた。下まぶたに腫れ上がった目をこすりながら、ルークはジャックの方を向いた。瞳孔は赤く充血していた。
「な、何が起こったの?」
「ただ誰かと一緒にいたい。話し相手が欲しい。」
「ため息… 大丈夫。」
彼は右手を後ろに引き、シフトレバーに手を置きながら、移り変わる景色を眺めた。
その間、スタンはハンバーガーで目がまだぼんやりしていたので、静かにあくびをした。三回まばたきをすると、まぶたの隙間が水で満たされているように感じた。しかし、伸びをすると、鈍い瞳孔がサメ人間を捉えた。
起きているように見えた。
「彼は何を考えているのだろうか。」
彼だけでなく、ゲイリーとフレッドも、バンが揺れ始めたことに驚きを感じ始めた。二人は何も言わずに、拳で目をこすった。バンは相変わらず前後に揺れ続けていた。
「それが何であれ、かなり根深い問題のようだ。」
ベンは、かつてプロテインバーが入っていた包装紙に目を凝らしていた。背中を丸め、肘を膝に押し付けながら、ブーツの近くのゴミをじっと見つめていた。
スタンは顎をこすりながら、人差し指と親指を使って頭を右に傾けた。
「ベン、大丈夫か?」
ベンは驚かなかったが、頭をはっと上げた。笑みを浮かべることもなく、緊張している様子もなく、ただ冷たい眉間のしわを浮かべただけだった。
「何?」
「大丈夫かと思って連絡したんだ。南下し始めてからずっと静かだったからね。」
「私は昔から物静かな人間だった。」
「ええ、でも今回は、まるで私たちから距離を置こうとしているように見えますよ。」
ベンは床に目を落とし、右足の近くにあるスーツケースに視線を向けた。両手を握りしめ、指の関節を軽く押して、皮膚をこすった。
雷鳴が再び轟くと、彼らは静かにその轟音を聞き取った。彼は手を離し、拳を太ももの上に置いた。
「私の両親のことを話したことありましたっけ?」
「いや。考えてみれば、あなたのことを本当に知っている人なんて誰もいないよ。」
「私はハクスブルク、しかし、アイゾニアで育った。」
「そう…?じゃあ、自分の国に帰るって、そんなに大したことなの?」
バンは多少揺れたが、皆が驚くほどではなかった。荷物が動くかすかな音も聞こえたが、二人の会話は途切れることはなかった。
背筋を伸ばした彼の後頭部は金属製の壁に触れていた。冷たい視線を向けられながら、彼は両手を膝の上に置いていた。
「獣人と人間の小競り合いの間、すべての戦闘は二つの国で行われた。」アイゾニア そして ハクスブルク。
「私がそれを知っているように見えるか?」
「ティシアとケプタでは厳しい外出禁止令が出されていたって知っていましたか?暴動が起きていたんですよ?」
「ああ、それもそうだね。」
ベンは鼻からそっと息を吸い込んだ。空気は喉を通り、肺へと流れ込んだ。
ベンは息を吐き出しながらも、相変わらず冷たい表情で顔をしかめていた。スタンはベンに品定めされているような気がして、目を合わせることができず、両手を座席に置いた。
「スタン、君は恨みを抱くタイプかい?」
「私は宗教心はないけれど、恨みを抱き続けるのは疲れる。」
「もし誰かが君の友達を殺したらどうする?」
「じゃあ…えっと…あなたの言いたいことは何?」
ルークは静かに窓を中央から下ろし、ジャックと共に二人の会話に耳を傾けた。バンのタイヤが小石を次々と踏み潰すたびに、車内の壁は走行時間が長くなるにつれて揺れた。
低気圧も、背中をサウナのように熱くする体温も気にせず、体臭さえも立ち上り始めた。
「ハクソウブルクの戦いがすべての始まりだった。小競り合いの始まりだったんだ。」
「では…あなたは国そのものに恨みを持っているのですか?例えば、差別がひどい国だとか?」
「ここは、サメ人間が最も少ない国だ。」
「じゃあ、なぜ――」
「小競り合いが起こる前は、ほとんどすべてのサメ人間がハクソウバーグを故郷と呼んでいた。」
フレッドとゲイリーは床に視線を落とした。間もなく皆が事態を理解し、沈黙はさらに深まった。ただ一人、ベンだけは、目をそらすような表情をしながらも、スタンをじっと見つめていた。
「私がボリスと口論した理由が分かりますか?」
スタンは目を見開いた。
「くそ…その事実を彼に伝えておくべきだったな。」
「ちょっと待って。スタンはエルフだよ。彼も差別されるんじゃないの?」とゲイリーは疑問を投げかけた。
周囲の疲労など全く気にせず、ゲイリーは誰よりも大きな声で話した。多少自信に満ちた様子を装おうとしたが、ベンが振り向いて彼の方を見た途端、指先がそわそわし始めた。
寒さで震えているような気がしたベンは、ただ頷くことしかできなかった。
「エルフが差別されている唯一の国。アイゾニアでさえ、エルフは自由に歩き回れるのに。」
「結局、人生はバラ色じゃないってことか…」とフレッドはつぶやいた。
「ここは素敵な場所だと思ったの?」
「せめて暖かいと思っていたのに…」
ゲイリーは荒い息を吐き出し、軽く頭を振ってから頭を預けた。髪が金属に擦れるのを感じながら目を閉じようとしたが、すぐに疲労感が彼を襲った。
フレッドも同じように感じていたが、スタンとベンだけが眠りに落ちなかった。しかし、彼らの会話が途切れたことで、ある男が懸念を口にした…。
「誰か後ろからヴァンパイアの缶を1本くれないか?エネルギーが必要なんだ。」
四人は穴の方を振り向いた。すると、よりによってスタンが人差し指を唇に当てた。
「シーッ!静かに。」
「誰がくれるかは気にしない。とにかく今すぐ必要なんだ。さもないと気が狂ってしまう。」
「道路から外れて曲がって――」
日焼けした美女がいびきを止めた。
その瞬間、まだ起きていた男たちの間に静寂が訪れた。全員が口を閉ざし、フレッドとゲイリーは再び眠りについた、少なくともそうしようとした。
スタンとベンは金属の壁に頭をもたせかけ、二人ともスーツケースに目を向けた。スタンはスーツケースの一つに目を凝らし、二人の会話を思い出して顔をしかめた。まるで西の空から湧き上がってきたかのように、その言葉は彼を困惑させた。
彼は沈黙しながら語った。
「そこの人たちは…恨みを抱くような人たちなのか?」
彼の質問を聞いて、ベンはついに疲労が忍び寄ってきたので、頭を上げて屋根を見上げた。
「サメ人間カークについて誰かに聞いてみれば、あなたの疑問は解決するでしょう。」
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(リバティ二十九、五十九 / 午前6時08分)
どれくらい前から起きていたのか分からないが、ジャックはハイビームをロービームに切り替えた。道路の路肩にはタンブルウィードが転がっていて、ジャックは昇る太陽に二度まばたきをした。
それは光の集合体を露わにし始めた。
雲がピンク色に染まるほど、彼は大きな町の誕生を目撃した。額の汗を拭いながら、彼は何時間も座っていたせいでお尻が痛むのを感じた。ジャックは舌打ちをして中央の穴を開け、あとは蓋を開けるだけだった。
「おい!みんな、起きろ!」
マイルズ、ホープ、ディエゴは、一晩中ぐっすり眠っていたので、同時に目を覚ました。フレッドとゲイリーは眠り続けていたが、すぐにディエゴに引っ張られて目を覚ました。
ホープとマイルズは、フレッドとゲイリーと同じ姿勢で寝ていたベンとスタンを起こした。皆がうめき声を上げたり、不平を言ったりし始めると、肩が落ちた。誰もルナを起こそうとはしなかった。
「ルークがルナを起こすことに賛成の方はいますか?」
"""""""私"""""""
左足元を見ると、ヴァンパイアの空き缶が山のように床に散乱していた。右手をハンドルに置いたまま、左手で空き缶を一つ拾い上げ、ルークの方に視線を向けた。
ミニフリスビーのように投げると、それはルークの頬に直撃した。
「な、何?何が起こっているの?」
「ただ起こしただけだよ、大したことじゃない。」
「でも、あなたが私を起こしたのはこれで二度目よ!」
「眠れる森の美女さん、ごめんなさい。でも、もうすぐ終わりなんです。」
二車線の道路が四車線に拡張されるにつれ、目の前の大都市はますます大きくなっていった。顔を殴られ、肩を押されても、南部の国は…
だった今は偽りの罪人たちのための場所だ。




