アーク3 - 第21章:かつての「フレネミー」
(リヴェレンス三、五十九 / 午前0時11分)
ガラスが粉々に割れた。
カーペットには破片が散乱し、廊下には柔らかな黄色の光がちらついていた。家の中に入ると、東の方角から銃撃戦の音が聞こえてきた。右足を左足の上に置き、左右を見回した。
「どうやら安全そうだ。」
彼は廊下を歩き始めた。
壁にはラミネート加工された写真が何枚も掛けられており、縁には金色の額縁が付けられていた。タキシードを着て金の鎖を身につけた男たちが写っており、中には利き手ではない方の手で杖を持っている者もいた。そして、それらの額縁の下には蝋燭が灯され、その香りが引き出しの周りを漂っていた。
痛みが彼を襲い、手のひらに破片が刺さっていることに気づいた。指の関節をこすりながら、ようやく階段があることに気づいた。慎重に階段を上っていくと、足元の木材はきしむ音を立てなかった。
彼の右手からは血が滴り落ち、かすかな跡を残していた。
「牧場の警備員は全員、今頃ルークと戦っているだろう。せいぜい執事かメイドに遭遇するくらいだ。」
3階に足を踏み入れた途端、彼はすぐに壁の陰に身を隠した。頭が木に触れそうになりながら、彼は隅から顔を出し、メイドたちを目にした。リボルバーを持ったメイドたちだ。弾を装填しているか、銃の手入れをしているように見える彼女たちを見て、彼は喉の奥で乾いた笑いを漏らした。
「私の豊かな頭脳が消え去った。」
彼は両手を握りしめ、壁を見つめながら優しくこすった。目を細めると、足元から徐々にシルエットが浮かび上がってきた。
まるで蝋人形のように、最初に靴とズボンが現れ、続いてジャケットと顔が現れた。顔のパーツを仕上げ、肌まで描き加えると、それはほぼ完璧な絵となった……赤毛のエルフの姿だ。何度も瞬きを繰り返すと、すぐに得意げな笑みを浮かべた。
「それで、計画は?」
「とにかく適当なことを口走って階段を駆け下りるんだ。そうすればメイドたちから逃れるのに十分な時間が稼げるはずだ。」
クローンはショーンに軽く頷き、両手をポケットに突っ込んで廊下を歩き出した。廊下の向こう側にはメイドたちがいたが、ショーンがこっそり部屋に入れば、ドアの音で正体がばれてしまう可能性があった。そのため、クローンはオリジナルの存在を隠していたのだ。
廊下の真ん中で立ち止まったオリジナルは、間一髪で部屋に入った。クローンは手を振った。
「やあ、みんな~!外は本当にうるさいね~!?もう一人入るスペースある?!」
彼らは皆目を見開き、彼に銃を向けた。
クローンが階段を下りていく間、弾丸は一発も空をかすめなかった。それは主に、彼女たちがハイヒールで走っていたからだ。足首を刺され、骨が痛むのを感じながら、彼女たちはもう一方の手でスカートを持ち上げていた。
その間…
「あぁ…」
部屋はろうそくの灯りだけで照らされ、白いビニール張りの床と壁が一般的だった。右を見ると、トイレと洗面台があり、目の前にはバスタブがあった。バスタブは泡で満たされ、中にいる人物はシャワーカーテン越しにしか見えなかった。
まるで入浴しているかのように見えたが、間もなくしわくちゃの手が伸びてきた。カーテンを押し開けると、彼女の爪は黄色く変色していた。
「あなたは警備員の一人ですか?」
彼は唇を固く閉じ、体をドアの方に向けた。背後から水が滴る音が聞こえたが、彼は振り返らなかった。
「君なのか、ヘルナンデス?それともシュン?」ハハハ何人の警備兵が来たのか分からなくなってしまった。うーん…君はルークみたいだね~」
彼はビニール床の上で足がもぞもぞ動く音を聞き、続いてもう片方の足も聞こえた。彼女の素足が耳に響く中、彼は目を閉じ、荒くなった呼吸を落ち着かせた。やがて手が胸をかすめ、温かい水が背中を濡らした。
「ねえ…こっちを向いてよ~」
彼女は裸の胸を上下にこすりつけ、彼の肌の毛穴の一つ一つに鳥肌が立った。石鹸と水で革が染み込み、彼女は両手で彼の胸を抱きしめながら、頭を彼の背中に擦りつけた。
彼女はそれらを彼の腹部まで辿り、隠されていたものにたどり着くまで、どんどん下へと移動していった。左手が取っ手にかかっていた彼は、ゆっくりと振り返るしかなかった。
「あぁ……それは……え?」
彼女は彼の赤毛とエルフのような耳に気づくと、目を見開いた。得意げな表情は消え、手を引っ込め、震える顎で二歩後ずさりした。近くにあったタオルをつかみ、体を覆った。
「あ、あなたは――」
彼はためらうことなくドアを大きく開け放ち、廊下を駆け抜けた。彼女はまだショックで呆然としていたが、彼の顔をじっくりと観察する時間を取っておいてよかった。
廊下を全力疾走すると、顔全体が汗で膨れ上がるのを感じた。
「ルークたちが彼女をどうにか対処してくれることを願うばかりだ。ベティはどんな警備員よりもずっと危険だ…。」
彼は死に物狂いで走った。
目にする扉を一つ一つ見渡したが、どれも平凡に見えた。個性もなく、どこに通じているのかも分からない。彼は鼻をつまんで息を詰まらせた。ふくらはぎは燃えるように熱く、つま先、特に足首は激痛に襲われた。
「行かなきゃ…あの部屋に行かなきゃ…」
彼は廊下を走り続け、目の前に木製の扉があることに気づいた。他の扉よりも大きく、茶色ではなく黒く塗られていた。彼は肩を前に突き出し、全身の体重を盾にした。
まるでフットボール選手のように勢いよくドアを突き破って入ると、ドアは勢いよく開いた。彼はドアを閉め、両手を木製のドアに押し付け、息を整えた。
「くそ…気分が最悪だ…」
彼は頭を上げ、両手を後ろに引き、体を回転させた。目の前に広がっていたのは、本で埋め尽くされた図書館だった。
キャビネットや机は書類でいっぱいだった。部屋の両端には本棚が並んでいた。分厚いレッドウッドが一般的で、インクの匂いが鼻をつき、彼の顔に軽い皺が寄った。彼は歩き始めた。
部屋の中央に向かって手を伸ばし、彼はがっしりとした机をじっと見つめた。
「さて、ここで考えてみましょう。もし私が自分の財産を記した紙を隠すとしたら、それはどこにあるでしょうか?」
彼は机を見回し、椅子のあった場所まで歩いて行き、両手で木材をなぞった。さらに奥へと手を動かし、戸棚を引き出すと、中にあった書類を次々と投げ出した。
彼は歯が一本ずつ食いしばられるのを感じた。目を凝らしながら戸棚から戸棚へと移動し、ついには一本か二本の歯が欠けるのを感じた。
「さあ、さあ…どこにあるんだ?」
戸棚を丸ごと引きずり出すと、落下した衝撃でパキパキと音がした。床に木片が散乱しているのも気にせず、ショーンは大量の本を投げ出した。顔を上げ、左手で自分の髪をかき上げた。
「そのメモはどこにあるんだ?!」
彼はブーツに何か冷たいものが触れるのを感じた。
彼は一歩後ろに下がり、自分の足元を見下ろすと、雲のようなものが見えた。足首から下は、まるで架空の風が吹いているかのように、ゆらゆらと動いていた。彼は口からそっと息を吐き出し、体をリラックスさせた。
「言わないで…」
彼は視線を前方に向け、ようやくドアの近くにいる猫人間の存在に気づいた。
茶色の髪に日焼けした肌、頬にはそばかすがびっしりとついていた。尖った耳は毛で覆われており、黒いサマードレスとハイヒールを身に着けた彼女の一番の特徴だった。
「久しぶりだね、エリー。ほんの数ヶ月しか経ってないよ。」
エリザベスは腕を組み、目をさらに細めた。彼女が右足をトントンと叩くと、木のくすぐったい音が彼の体を熱くさせた。
「戻ってきたのか…なぜ戻ってきたんだ?」
「それに、仲間も連れてきたんだ。ねえ、私が一人で来なかったことに感謝すべきだよ。」
彼女は右手を鼻に当ててつまみ、目を閉じて小さく息を吐き出した。彼女が頭を左右に振るのを見て、彼は思わず乾いた笑いを漏らした。
「平和主義者たちも招待したのか? 戦争に二つの集団を連れてくる必要があったのか?」
「まず第一に、それは攻撃部隊であるはずだった。第二に、私は一度も尋ねたことがない平和主義者私たちについてきてください。私は少しおかしいかもしれませんが、少なくとも罪は償っています。」
「いいえ、違います。」
彼女が彼の方へ歩き始めると、かかとを踏み出すたびに下の木の床がきしんだ。ショーンは一歩後ずさり、背中が大きな窓に押し付けられるのを感じた。後ろを振り返ることもなく、彼は5メートル先に立ち止まった猫のような人間と向き合った。
「あなたはジラージ家の財宝を探しに来たのですね?」
「そうでなければ、私がここにいる理由はないでしょう?」
「私が言ったこと、ジョニーが言ったことを覚えているかい?」
「聞いたけど、エリーを見て…」
ショーンは彼女の体を隅々まで、あらゆる角度から、そして生地に至るまで、じっくりと観察した。かかとから髪まで、目を凝らす必要もなく、膝まで浸かっているのは明らかだった。その時、彼女のポケットから紙切れがちらりと光っているのに気づいた。
彼女のドレスにはポケットが短すぎるのを見て、ショーンはニヤリとしたり、にやりと笑ったりしなかった。すでに次の行動を考えていた彼は、両手を高く上げた。
「でも、私と友達には他に選択肢がないんです。」
彼は本棚の暗闇をちらりと見て、その深淵の中で目を細めた。エリザベスは彼が何をしているのか気づかなかったが、彼の目は暗くなり、眉をひそめた。
「エリー、その紙を渡して。こんなことしなくてもいいんだよ。」
ショーンは三歩前に進み、二人の間の距離を縮めた。
彼女は本能的にポケットを守り、もう一方の手は拳を握りしめていた。体を後ろに引くと、二人は互いの目を見つめ合い、沈黙した。
「一体、こんな連中と付き合っていてどんなメリットがあるっていうんだ?奴らがどれだけ卑劣で、どれだけ下品か、覚えてるだろ?なのに、なんでそんな奴らと付き合い続けるんだ?」
彼女は二歩後ずさった。
右手を離すと、彼女の指はすべてズボンに絡まったままだった。しかし、左手はまだ彼女のそばに握られていた。黒いハイヒールが床に食い込み、木がひび割れる音が聞こえた後、彼女はささやいた…。
「私たちには他に選択肢がなかったからです。」
彼のブーツの下から雲が勢いよく立ち昇った。
飛び退いたものの、彼はそのふくらんだ空気に追いつくには遅すぎた。空気はすでに彼の体に這い上がってきていた。まるで彼を覆い隠そうとするかのように、彼は窓に頭を預けた。チクチクとした痛み、肌をつまむような感覚があったが、致命的ではなかった。しかし、その空気は彼の筋肉を何度も揺さぶった。
「くっそっ!痛い!」
図書館に向かって全力疾走した彼は、エリザベスのタックルをかわすのに十分な速さだった。エリザベスは前に転がり落ち、肩を高く上げながら森の中を転がっていき、すでに痣ができていた。
彼女は目を慣らしながら、唸り声をあげて図書館の中をじっと見つめた。
「ショーン!」
こうして、猫とネズミの追いかけっこが始まった。




