アーク3 - 第10章:鬼ごっこ
(リバティ二十九、五十九 / 午前7時27分)
彼ら四人はかかとに水ぶくれができたまま走った。
白いコンクリートに一歩ずつしがみつきながら、彼らは猛スピードで駆け抜けるエルフに目を凝らしていた。一般市民の間を縫うように、男も女も分け隔てなく押し分け、まるでウナギのように人混みをすり抜けていった。胃が締め付けられるような感覚に襲われ、息を吸うたびに腸が腐食していくようだった。
—彼は速すぎる…
ほんの一瞬、彼らは目を細めたショーンを捉え損ねた。ようやく彼と視線を合わせ直したものの、ルークは呼吸を整え続けた。
トレーニング中、ショーンはグループの中で最速のランナーとしてランク付けされた。ルークはスタミナの面で怪物級だったが、ショーンは間違いなくスプリンターの中のスプリンターだった。エルフが目標から遠ざかっていると感じた彼らは、ショーンが持っていないものを持っていた。
「ああ、彼はもう死んでしまったんだ。」
彼女は指揮棒をしっかりと握りしめ、足とブーツを地面に馴染ませるようにして…そして想像の世界へと消えていった。
電球から光が飛び出すように現れたショーンは、ルナがなぜテレポートしたのかを知る必要はなかった。彼女の息遣いを感じ、彼女の鋭い視線に圧倒されながらも、ショーンはアドレナリンを楽しんでいるかのように大声で笑った。
彼はさらに多くの一般市民を押し分けて通り抜け、ゲームをしていた少年を一人か二人転ばせてしまった。頬を汗が伝うのを気にせず、ようやく視界から歩行者が少しだけ消えたのを感じた。
「危うくやられるところだった。」
ショーンは突然、靴底を滑らせ、急に右に方向転換した。ルナの手が触れそうになったが、間一髪でかわした。彼女はあと数センチで彼の襟首を掴むところだった。暗い路地へと足を踏み入れると、その縁にはゴミとビールが散乱していた。
ネズミやゴキブリがゴミ箱に散らばっていく中、彼は石で覆われた黒い壁に気づいた。
「シュート。」
彼は走るのを止め、両手を高く上げて壁に向かって立った。後ろからブーツの足音が聞こえたので、振り返らずに、怪しまれていないか確認した。
「ハハハ」
彼らの前に立ったルナは、赤毛のエルフに向かって足早に歩み寄った。右手に持った警棒を、手のひらの先端だけでしっかりと握りしめていた。今にも警棒を真っ二つに折ってしまいそうな勢いで、ルナは右手を振り上げた。ショーンは微動だにしなかった。
そしてすぐに彼女は――
それは彼を通り抜けた。
彼の体がまるで蝋のように消えていくのを見て、ルナは思わず一歩後ずさった。またしても出し抜かれた彼女は、歯が食いしばられ、歯茎が力のせいで張り詰めるのを感じた。
「くそっ!」
「ということは、つまり――」
ルークは素早く頭を振り向くと、隅からかすかな黒い影がちらりと見えた。それはまるで猛スピードで消え去ったかのようだったが、温かさに包まれた彼の柔らかな顔に、ただ皺を寄せただけだった。
「今すぐ彼を捕まえなければ!」
他に選択肢がなかった彼らは、再び全力疾走を始めた。足の裏は下の石を擦り減らし、一歩ごとにブーツに皺が寄り、履いている革は刻一刻と傷んでいった。路地から逃げ出すと、群衆は倍増した。
つまり、彼らはやり遂げなければならなかったということだ。
男女問わず人混みをかき分けて進む彼らの姿に、驚きの表情を浮かべる者もいた。それは彼らのマナーの悪さからではなく、着ている服のせいだった。だからこそ、彼らは人目を引くことにかけては完璧だったのだ。
—密告されないことを心から願うよ…。
ビジネスマンにぶつかりそうになったルークは、自分の幸運に感謝した。先頭に立っていたルーナは、人間という障害物を避けながら進む彼の後ろに身を隠した。
一方、ショーンは他人の安全には全く注意を払わなかった。
彼は男女問わず、まるで障害物のように彼らを足枷で踏みつけ、命令を下した。ひざまずかせ、転ばせ、犯罪者と市民の境界線はまさに越えられようとしていた。それだけではない……
「ちくしょう、エルフめ!」「バカな葉っぱ食い野郎が私を転ばせた!」「私の新しいズボン代を払ってよ!耳の長い奴!」「ママ、ママ!エルフだ!」「あら、見ちゃダメよ、可愛い子。エルフについて私が言ったことを覚えてるでしょ。」
彼らの不満や偏見を無視して、ショーンは後ろをちらりと見た。彼らが追いつけないのを見て、目の前の市民の群れは和らいだ。
完璧なフォームで走っていると、喉がカラカラに乾くのを感じた。骨の一本一本が動いているのを感じ、鼓動する心臓が胸を激しく打ちつけた。何度も、重く、そして何よりも――
彼女は彼の目の前に瞬間移動した。
「逃げるべきじゃなかった。」
彼は右にも左にも飛び上がることができなかった。彼女の顔全体が血管で覆われているのを見て、彼は瞬きもできずに…
彼女は右手を突き出し、彼の襟首を掴んだ。彼の疾走はそこで止まり、その時彼にできたのは無理やり笑顔を作ることだけだった。こめかみに一筋の汗が流れ落ちるのを感じ、彼の顔は青ざめた。
「どうやら君にやられたみたいだね。」
「それで、あなたは報酬が欲しいと言ったのですか?」
「ああ。また別の役を演じることになるんだ――」
ルナは彼の言葉を最後まで言い終える前に、肩に力を込めた。彼を押し倒し、顔が地面にぶつかるようにした。
地面に倒れた彼を全力で押さえつけると、彼の顔から血の筋が流れ出た。ズキズキとした痛みにうめき声を上げながら、彼はその体勢のまま動かされず、ルナは膝を彼のうなじに押し付けた。左を見ると、残りの仲間たちが彼女に向かって走ってくるのが見えた。
市民たちはその場から逃げ始めた。
「い、そんなに難しくないよ。」
「お願いだから。あなたは苛立ちを抑えるのに必死だったじゃない。私はあなたが望んでいたことをしただけよ。」
「しかし…」
ルークを見上げると、彼の目は充血して赤く腫れ上がっていた。まるで強膜を無理やり引き締めたかのように、虹彩と瞳孔の周りに血管が浮き出ていた。奥歯を食いしばり、何かを必死に抑え込んでいるように見えた。
「ああ!これが君のプレイスタイルか!?」
「ショーン、申し訳ないが、君を自由に歩き回らせるわけにはいかないんだ。」
「ちくしょう。せめて腕を動かさせてくれよ!あぁ!」
ルナはほんの少し膝を押しただけだったが、ショーンはそれで大声を出した。ルークはルナと同じ高さに膝をつき、彼女の肩を二度軽く叩いた。するとルナは彼にしがみついていた手をそっと緩めた。
彼女を抑えつけながら、彼はもがきながら逃げ出そうとするエルフを見た。頬に岩や石がくっついているのを見て、ルナの押さえつけ方が…やりすぎだったことは明らかだった。
「なぜ君たちは私を悪者にするんだ?私はただ自分らしくしているだけなのに。」
「でもショーン、君は誰よりも一番問題を起こすんだ。」
「咳、咳…それが理由なの?だから私を憎んでいるの?」
「これで100回目だけど…私はあなたを憎んでない…」
手のひらが震えているのを感じながら、じっと見つめる時間が長くなるにつれて、手はしわくちゃになり、ぴくぴくと動いた。しかし、手を突き出す代わりに、子供のように背中をさする代わりに、ショーンは甘やかされる必要などなかった。笑いをこらえながら、その表情は、じっと見つめている時間が長くなるにつれて、ますます不機嫌になり、大きくなっていった。
「だが、お前のその無謀さは我々を死に追いやるだろう。」
「おい!何が起きてるんだ!?」
通りを走っていたのは、ジャックと同年代の男だった。
右側の髪に癖毛があり、乾燥した暑さの中、彼は茶色の屋外用ジャケットを着ていた。重そうなジャケットからは、ほつれた糸や布切れが袖から垂れ下がっていた。カーキ色のズボンに茶色のカウボーイブーツを履いており、その服装はダークエンジェルズにどことなく似ていた。ルナと同じように日焼けしており、瞳は薄茶色だった。
彼は右手を振って、皆の注意を引いた。
「おい!何してるんだ!?」
—うわぁ…まるで兵士みたいだ…
日焼けした男は走るのをやめると、グループに追いつく前に歩く速度に落とした。呼吸はいくらか落ち着きを取り戻し、両腕を体の横に下ろし、両手のひらを腰に当てた。
「何が起こっているのか、今すぐ教えてくれ。」
「それはあなたには関係ないことだ。」
「待って、ルナ。ここは私が何とかするから。」
彼は集団の前に身を乗り出し、両手はしっかりとしていた。弱々しく見えるように、頭を低く垂らしていたが、極端に低く垂らしていたわけではなかった。
「いいか、俺たちはトラブルを望んでいないんだ。」
「それで、彼に対して何か不満でもあるの?彼は私の部下なんだから、説明してよ。」
左手をポケットに入れると、右手は腰から緩んだ。そのまま動かずにいると、額に皺が寄り始めた。
その間、ルナはショーンの頭に手を当てていた。膝で彼のうなじを押し付ける代わりに、彼女はすべての指で彼の髪を干し草のロープのように掴んだ。彼女は歯を食いしばり、自分の力で歯のエナメル質がひび割れた。
「あいつは俺を怒らせた。俺を怒らせて、そのまま逃げられる奴はいない。」
男は眉を上げ、一瞬信じられないという気持ちが頭をよぎった。ルナに視線を向けると、さらに眉間のしわが深くなった。
「つまり、あなたは過剰な力を行使しているということですか?」
「何か問題でも抱えているのですか?」
「…私はトラブルを求めているわけではありません。」
彼はポケットから左手を出し、高まる緊張感の中で背筋を伸ばした。
彼女はショーンに手を置いたまま、ルークと同じ身長の男を睨みつけた。ジャックよりはがっしりしているが、マイルズよりは痩せていた。しかし、彼女の鋭い視線にも、彼はひるむことはなかった。
「しかし、暗闇の中で結論を出すことはできません。できる限り詳しく説明してください。」
ルークたちはルナの方を向き、ルークは彼女の肩を強く引っ張った。
「私が対処すると言ったでしょう。」
「だから何? あなたには何もしていないじゃない。それに、ショーンは本当に厄介な奴で…」
「しかし、私たちにも非があった。私たちは少し敵対的な態度をとった。その結果がこれだ。」
周囲には、通りや歩道に市民や一般市民の姿はどこにもなかった。まるで死んでいるかのような光景で、そこに残されたのは彼らだけだった。路地や通りは人影もなく静まり返っていた。すべては彼らの仕業だった。
しかし、なぜか…彼は誰かに見られているような気がした。
祝福が発動すると、全身の骨を駆け巡るような震えが彼を襲った。背中の毛はもちろん、脚の毛まで逆立ち、周囲のあらゆるものが彼に叫び声をあげた。目の前の男ではなく……近くにいる誰かだった。
「彼があなた方と仕事をする前は、私たちと仕事をしていました。彼は以前、私たちのグループの一員だったんです。」
「もう一度聞く。彼は何をしたんだ?」
「…彼が鬼ごっこを挑んできたんです。私たちはやりたくなかったんですが、彼が足元に煙幕弾を投げつけて無理やりやらせてきたんです。私たちはただ彼を捕まえて終わらせたかっただけなのに、ルナが…力を使いすぎました。」
「ため息… なるほど。」
彼は両手をポケットに突っ込み、誰にもぶつからずにまっすぐショーンの方へ歩いていった。ルナはまだ彼の頭に手を置いたまま、睨みつけていた。
風はわずかに強くなり始めたが、それはほんのわずかなものだった。彼らの髪は風になびき、乾いていた。これまで彼らが楽しんできたどんな風よりも乾いていた。
「彼から手を離せ、さもないと誰かが間違ったことをするぞ」
「クリスチャン、何かお手伝いしましょうか?」
ダークエンジェルたちは、彼らの存在を全く感じることなく、かつて逃げていた方向へと向きを変えた。そこにいたのは、二人の十代の若者だった。
十代の少女の一人は、ルークと同年代だった。肌の色はマイルズより少し明るく、肩まで届くボブヘアだった。髪は薄黒で、ホープより1インチほど背が低く、少しふっくらしているように見えた。
もう一人の少年は、彼女より2、3歳年下だった。肌の色はやや褐色で、髪は乱れており、前髪と後髪の端には枯れ葉が散らばっていた。髪は茶色で、身長はルークより数センチ低く、体型もほぼ同じだった。
二人はつむじのある男と同じ服装をしていた。つまり…
「私が対処すると言ったでしょう。」
「言ったでしょ、クリス。私が何をしたかって?ほら、言ったでしょ!」
「黙れ、パシフィカ。お前の言ってることは意味不明だ。」
彼らは両手を体の横に下ろしたままだった。ダークエンジェルズが既に警戒態勢に入っていたため、ルークは緊張が高まり始めているのを感じた。クリスチャンも同様で、二人のリーダーは最悪の事態が起こるかもしれないと感じていた…。




