2-13 テンプレ君の建材作り
翌朝は日の出と共に目を覚ます、昨夜は遅かったせいか結構眠い。色々と気まずい思いをする前にさっさと出かけてしまおう、そう考え身支度を整え食堂へおりる。
「おはようございます、今朝は随分お早いんですね。」
「エマさんおはようございます、今日は朝から生産ギルドで約束がありますのでちょっと早いんですが朝食いただけますか?」
「ええ、大丈夫ですよ。じゃあ急いで準備しちゃいますね。」
準備された食事を済ませるといそいそと木漏れ日亭を後にする、とにかくあいつらが起きてくる前に出かけてしまいたい。
生産ギルドへ着くと既に活気にあふれていた、さすが製造の現場の朝は早い。中へ入るとギーさんが既に待っていた。
「おはようございます、ギーさん。随分お早いですね、お待たせしてしまいましたか?」
「いえお気になさらないで下さい、私はいつもこんなものですよ。大きめで当面貸しきれる倉庫という事でしたのでギルドの倉庫を整理して一つ開けておきました。その倉庫に頼まれていた材料を用意でさせていただいておりますが建物を建てるのにあんなに大量の鉄鉱石どうするつもりなのですか?他にもガラスの材料や羊毛などもあんなに沢山何に使うのか…、さっぱりわかりません。」
「まあまあそこはお気になさらずに、故郷では一般的なんですよ。それより建材の製作は秘密裏に行いたいので製作中は絶対に誰も近寄らないようにお願いします。」
「わかりました、ですが本当にお一人で大丈夫なのですか?」
「大丈夫です、何かありましたらお呼びしますので。」
そして材料のある倉庫にひとりになる。今回の建築は現代日本式の建築工法で行い工期の短縮と予算の軽減をを図りたい、俗に言う鉄骨プレハブ工法というやつだ。ここで神の手で作ったものを現場で組立てるだけならば能力を外で使う事も少なくなるし外枠さえ出来てしまえば後は自由に能力を使える、目標工期は2カ月だ。しかし今回頼んだ材料は2,000Z分なのだがなかなか凄い量だ、下手すると2〜3軒分あるぞ。
周りをよく調べ本当に誰もいない事を確認すると扉に鍵をかけて早速神の目を使い調整しながら神の手での製作に取り掛かる。
まずはセメントから作ろう、石灰石をメインに粘土や珪石などを混ぜて熱を加えてから粉にしていけば完成だ。セメントはいくらあっても多すぎ事なんてない、とにかく大量に作っていく。その後石や岩を砕いて大きさの均一な砂利も大量に作っていく、川砂は特に加工する必要はなくそのまま使えそうだ。
石炭からピッチを取り出し熱を加えて出来た炭素繊維を作ったセメントと混ぜたのちまた熱を加えて外壁材を、木から木繊維を取り出しやはりセメントと混ぜたのち圧縮し水分を抜き取り内壁材を作る。
次はガラスを製造して窓ガラスを作っていく、サッシはアルミと木を使った複合構造としペアガラスをはめ込んだ。さらに木材から床材や扉などの他断熱材を作り羊毛からも断熱材を作る、羊毛からは他にも繊維にアルミを溶着させ蛍石から作ったフッ素樹脂をコーティングしたものを高密度の不織布に加工し防水・透湿シートも作った。
その後も様々な材料を用いて建築に必要なものを諸々と作っていき、最後に鉄鉱石から大量の鋼を作り出しした。その鋼から鉄骨やワイヤーメッシュに鉄線、釘にボルトやナットなども作っていく。他にもステンレスで贅沢に給排水などの配管資材も作った、どうせロータスでは俺しかクロムやニッケルなんて扱えないし個人としては大量と言える量を格安で貰えたのだ。
概ね建材を作り終えると魔力使用による倦怠感を感じる、この短時間でかなり大量の建材を加工製作したんだからそりゃ魔力もそれなりに使うわな。マジックポーションを飲んで魔力を回復すると今度は腹も減っているのに気付いたため昼食を取ることにした。
倉庫を出てギルドに顔を出しギーさんを食事に誘うとそこに支部長もやってきて三人で食事に出かけた、出前とかあると便利なんだけどな。
食堂は支部長行きつけの店で味もいいがそれより量がパナいらしい、おすすめをそのまま頼むと巨大なラザニアがやってきた。一人ではとても食べ切れそうにないのでギーさんと半分づつ食べる事にした、味はうまいはうまいが塩分がやや強く肉体労働者向けといった味だった。
「どうだ、順調に進んでるのか?」
「まあボチボチです。」
食事をしていると支部長がそんな事を聞いてきた、まさか建材を半日で作り終えましたなどと話せるわけもなく適当な返事で誤魔化しておいた。
「取り敢えず現場の準備も含めて10日後から建築開始と行ったところでしょうか。大工さんはその頃から来ていただけると助かります。」
「ああ、わかった。どうせ暇している見習い連中だからいつからだって大した問題じゃないよ。」
目標工期から考えてもなるべく早めに着工したい。しかし基礎打ちは能力を全開で使わないととんでもなく時間がかかってしまう、その上養生期間が必要な事を考えると人のいない深夜帯にひっそりと終わらせたい。今日の夜にでも徹夜で基礎は終わらせてしまおう、という事で午後からは基礎用の型枠を作る事にする。
再び倉庫に戻り製作に取り掛かる、木材からコンパネを作り出してボルトで止め型枠を作っていく。今の場所で全部は無理なのでそれなりのサイズになったらその都度アイテムボックスにしまっていく。
一通り型枠作りが終わったら今度は建築用の工具や機材も思いつくまま製作していく、人力だけでも機材を使えばどんな重量物だって運搬できるし持ち上げる事も可能だ、チェーンブロック付きの移動式クレーンや重量物搬送用の台車など限られた材料と知識の中で試行錯誤を繰り返しなんとか作る事ができた。
気がつくと陽が暮れ始める時間になっていた。ギルドへ向かい今日の作業は終了する旨ギーさんに伝えると生産ギルドを後にする。
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今日は我ながら早朝から1日よく働いたと思う、更には後ほどは深夜作業も待っている。
これは自分へのご褒美と深夜作業への活力を得る為少し位楽しい思いをしてもいいんではないでしょうか?
『いいんです!』
即答してきた利かん棒のその囁きに賛同し今晩は深夜までの間を享楽のラビリンスというダンジョン攻略に充てることにする。
また行くって約束しちゃったんだからしょうがないよ、大人として約束は守らなきゃいけないからな。スパンが短すぎやしないかだって?約束を早期実行する事の何がいけないんですか!
そうと決まったら木漏れ日亭に一言断って急いで向かわねば。俺はダッシュで木漏れ日亭への帰路につく。
木漏れ日亭へ戻るとデホラとエディはまだ戻っていない様で何故だか少しホッとする、まだ微妙に気まずいからな。
「あら、おかえりなさい。今日は随分とお早いんですね。」
奥さんがいつもの笑顔で迎えてくれる。
「いえ、この後も建築予定地でまだ作業が残ってます。帰りが朝になりそうだったので一度帰ってきましたがすぐに出かけなければなりません。」
「それは大変ですね、お身体本当に大丈夫なんですか?」
「身体は大丈夫です、なにぶん今晩中にやっておかなければ先に進めないもので。大工の手配の関係もありますし早目に終わしてしまいたいんです。」
「それじゃあ食事だけでもしていってくださいね、すぐに用意しちゃいますから。」
そう言うとセシールと一緒にわたわたと食事の準備をしてくれた。用意された食事を食べているとデボラとエディが帰ってきた。
「おかえり、私はこの後また出なければならないので先にいただいているよ。今日はどうだった?」
「うん、デボラと一緒に居住区で雑用をしたんだ。そしたらなんだかお土産を一杯貰っちゃったよ。」
そう言うと野菜の沢山入った籠を誇らしげに見せてくれた。
「それは良かったね、頑張ったじゃないか。」
「エディ様は率先してよく働かれておりました、居住区の子供達にも大人気でしたし。あの様に楽しげに笑われるエディ様を見て私も嬉しくなってしまいました。」
「やめてよデボラ、恥ずかしいじゃないか。ところでユーゴ兄さんまた今夜も出かけるの?」
「ああ、建築予定地でやってしまわなければならない事があってね。帰るのは朝方になると思うよ、だから詳しい報告はまた明日の朝に聞くよ。」
「本当よく働くよね。ワーカーホリック?だっけ、ちゃんと治療したほうがいいんじゃない?」
「はは、治療出来るもんならしたほうがいいだろうね。まぁもう少しで一段落つけそうだからそしたらゆっくり出来るかな。」
そんなやりとりをしたのち食事を終えて俺は木漏れ日亭を後にする。
宵の口の歓楽街は今日も様々な熱気に溢れ活気に満ちていた、そんな空気に触れテンションアゲアゲのまま一路コクーンへと向かう。
「いらっしゃいませ、本日はどの様な娘をご希望ですか。」
今日も前回と同じくかしこまった男にソーニャ嬢を頼み金貨2枚を渡すと待合室へと向かう。
中に入ると四十絡みの先客がいるようだった、素面で待合室の相席は中々気不味いものがある。お互い無言で待っていると先客のお相手がやはり全裸でやってきた、小柄ながらナイスバディの熊である。あれ?なんか可愛いぞ。何気にこれはこれでありなのか?新たな性癖の芽生えを感じながら見ていると熊子は先客に肩を抱かれて控え室を出て行った。
暫し待っていると今度こそお目当てのソーニャ嬢がやってきた。
「お客さんこんなに早よお会いに来てくれたん、すんごいうれしいわあ。」
俺を見たソーニャ嬢はそんな事を言いながら抱きついてきた。
おっおう、相変わらずのたわわな果実が俺の顔をウェルカムしてくれる。利かん棒?もうとっくに暴れん棒になって『Yes!Yes!!Yes!!!』てよだれ撒き散らしながら叫んでるよ。
「相変わらずお客さんのんは元気やねえ。」
そんな事を言いながらソーニャ嬢は暴れん棒の頭をクリクリッと撫でてくる、いかん早くもバズーカが火を噴いてしまう。
「今晩は早い時間に来てくれはったから長い事楽しめるんねんなあ、ウチ楽しみやわあ。」
「いやっ…、あの。この後も夜中から仕事があるんで今日は早めに出なきゃいけません。」
「えっ?これからまだ仕事があるん?なんや忙しいねんなあ。せやのにわざわざウチみたいのんに会いに来てくれたん。」
「ウチみたいのにって貴女みたいな素晴らしい女性が言うセリフじゃないですよ。また会いに来るって約束したし、なんだかどうしても会いたくなったから無理してでも来ちゃいました。」
うっは、なんか随分ウブな事口走ってる。でもなんでだろう、なんかツルッと本音が漏れてしまう。そんな事を思っていると柔らかい感触に唇が覆われる。
「なんや胸がキュンってなってしもた。早よ部屋に行こう、そんでギュウって抱きしめてもらえへん?」
胸キュンいただきましたー、なんだかソーニャ嬢が愛おしくってその場で抱きしめてしまった。
「おっ、お客さん!?あかん、そんなんされたらウチあかんようなってまう。」
そんな事を言われたらもう暴れん棒はバーサク状態突入は不可避、抱きしめた腕を緩め今度はこちらから唇にむさぼりつく。
「んはあぁ、もうあかん。早よ部屋に案内せんといかへんねんけど、なんや身体に力か入らんから上手く歩かれへん。」
確かに抱きしめた身体からは力が抜けてしまっていた、そのまま足を持ち上げお姫様抱っこで彼女を抱きかかえる。
「キャっ、お客さん見た目によらず力持ちやねんな。」
「よく言われます、お姫様部屋はどちらですか?」
俺はそのまま彼女の指示に従って部屋へと向う、だがイニシアチブを取れたのは結局ここまでだった。部屋に入ってからはこの前とはまた一味違う情熱的な猛攻に合いあえなく陥落、ただ今回は最後に一矢報いて一緒に天国の門をくぐる事が出来た。




