2-12 テンプレ君は病気?
外は陽が暮れはじめ足が歓楽街へ向かうのを必死に堪え木漏れ日亭への帰路を急ぐ、さっさと帰って誘惑を打ち切るのだ。
しかし昨夜の関西弁ダークエルフは凄かったな、あの域に達したプロフェッショナルな嬢にはなかなかお目にかかれるもんじゃない。性技Level5なんてもん持ってやがったし、性格上絶対に無理だと思っていたが身も心も完全に昇天させられたからな。
あれっ?おかしいな。気づけばいつのまにか足がラクーンに向いている、いっそこのまま…イカンイカン何としても今日はこの勢いでデュルケーム商会の件とゲラール商会向けの計画書をまとめた上で何が必要で何をしなければならないのかを絞り込んでおかなければならないのだ。
雑念を必死の思いで振り払い宿に着くと部屋に籠って再び計画書作成に奮闘する、くそぅパソコンがあればこんなに苦労することも無いのに。無い物ねだりしてもしょうがないので悪戦苦闘しながらも書類作成を続けていると晩御飯の支度が出来たと奥さんが呼びに来てくれた、しかしちょっと中途半端なので先に食べててくれる様に伝えた。キリのいい所までやっつけて食堂へ向かうとみんなわざわざ待っていてくれたようだ。
「みんな待たせてしまって申し訳ありません。」
「気にすんな、しかしユーゴは本当に仕事しっぱなしなんだな。部屋の前を通っても寝てんのかと思いきや何やらずっとブツブツ言ってんのが聞こえてきてたからな。本当に働きすぎだぞ、無理すんなって。」
「心配かけてすいません、でも故郷ではこれぐらい働くのが普通の日常でしたから全然平気なんですよ。」
「ユーゴ兄さん、それは最早病気だよ。なんだかんだいって起きてる間中ずっと働いてるじゃ無いか、人の病気治してる場合じゃないよ。」
「ハハッ、さすがエディ君。言い得て妙だね、確かに故郷にはワーカーホリックなんて言葉もあったよ。でも大丈夫、軌道に乗ったら少しは働いたらなんて言われるぐらい休むつもりだから。それより結構お腹すきました、折角の料理です有り難くいただきましょう。」
それからみんなで食事をいただく。本当は酒が飲みたくてしょうがないが今日は我慢だ、なにせ仕事がまだ残ってる。酒を飲んでしまったら頭が回らなくなるし客観性が失われる、翌朝見直して全部やり直し何てことになったら目も当てられない。
みんな概ね食事を終えたようなので今日の報告会を開いてしまおう。
「みんな、申し訳ないけど明日の朝はちょっと早いので今日のうちに報告を聞かせてくれないか?という事でセシールからよろしく頼むよ。」
「本日は昨日から特に進展はありませんでした。ただガストンさんがユーゴ様にいただいた小麦粉を使ってパン作りに挑戦していらっしゃいますがまだ納得のいくような出来には至っておられないようです。何かアドバイスのようなものがあれば伝えておきますが。」
「そうか、流石のガストンさんも苦労してるか。じゃあこの酵母を使って生地を作りこの金型に入れて焼いてみるように渡してくれないか?それから生地を作るときにバターを少量混ぜてみるよう伝えてみてくれ。」
俺は培養しておいた発酵力の強い酵母と食パンの金型を渡した。ガストンさんならまた別の可能性に辿り着くかもしれないと思ったが一つパターンを覚えてもらうのも悪く無いだろう、そこから広がるものがあるかもしれないしな。
「わかりました、明日渡しておきます。」
「次は私が、本日は奴隷の扱いをという事でしたので確認しております。冒険者ギルドにおいて奴隷は猟獣と同じ扱いの様です。ただ猟獣同様管理と責任の所在を明確にする為にギルドへの登録は必要との事です。」
「そうか、登録の為に所有権の提示は必要なのかな?」
「特にそういった事は言っておりませんでしたが、申し訳ありませんそこまでの確認は怠ってしまいました。」
「そんなにションボリしなくていいよ、私も扱いを確認してくれとしか言ってなかったし。じゃあ明日はその辺も調べておいてくれないか、それから登録者の変更方法なんかも合わせて確認しておいてよ。」
「わかりました、必ず調査いたします。」
「そんな肩ひじ張らなくてもいいよ、無理が無い程度で構わないから。エディ君はどうだった?」
「うん、昨日よりは大分慣れたよ。今日はエマさんと買い物にも連れて行って貰ったから街の様子も見れて結構楽しかった、前みたいに気持ちに余裕が無い時とは大分違って見えたから。」
「それは良かったね、楽しめたなら何よりだ。ところでデホラ、エディ君も連れて行ける様な安全な依頼みたいなものもあるのかな?」
「エディ様をですか?ある事はありますが…。」
「それじゃあ明日はちょっと一緒に依頼をこなしてみてくれ。エディ君にはとにかく色んな経験をして見てもらいたいんだ。」
「そうですか…、そうですね。ではエディ様、明日は一緒に冒険者をやってみましょう。」
「うん、楽しみにしてるよ。」
「それじゃあ最後に私から、今日はみんなも一緒だったからわかると思うけどバンジャマンさんのデュルケーム商会と正式に契約を結んだ。明日にでも打ち合わせを済ませて業務の開始に着手するつもりだ。まあ最初はゆっくり始めるつもりだからこの件でそんなに忙しくなる事は無いと思う、むしろウチの仕事をアウトソーシングできる様になる分楽になるかもな。それから明日は朝から生産ギルドで工房建築の準備になる、少し早めに出てしまうからみんなはみんなの仕事を頑張ってくれ。」
そんな感じで一通りの話し合いを終え俺は部屋へ戻ると再び計画書作成に没頭していく。
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俺はようやく計画書をある程度まとめ終え大きく息を吐いて伸びをする、思ったより時間がかかったな。時計なんて無いからわからないが既に大分遅い時間だろう。寝る前に用をたしておこうとトイレに向かうが何気に緊張するものがある。エマさんは今日エディ君と買い物に行ったらしいしから子供が欲しい気持ちが盛り上がっている可能性が高い、という事はおねだりの末に二人で行為に勤しんでいるかもしれないのだ。
警戒しながら下へおりるが特に嬌声は聞こえてこない、今日はお預けなのかすでに事後なのかわからないがホッとしながらトイレのドアを開けた。
そこにはキュッと引き締まって張りがある白磁の様に白く美しい丸出しのお尻がこちらに向いて突き出されていた、デボラよ何故お前がここにいる?ここは間違いなく男性用のはずだ。
訳がわからず呆然としていると下着を履いて立ち上がったデボラが立ち上がってこちらへ振り向いた。寝ぼけた顔をしてこちらをボーッとこちらを見ている、すると次第に顔は赤くなっていき目が見開かれていく。
「ここは男性用トイレのはずだが?」
誤解を避けるためそう言ったが残念ながらその声は届かなかったようだ。
「キャーーーーー!!!」
デボラらしからぬ可愛らしい声を上げながら走って部屋に戻っていく。てっきり俺は殴りかかられると思ったが以外とアイツ乙女だな、いやいやそれじゃあ俺も乙女ってことになっちまうか。実際こういう事起きるとあんな反応になっちまうんだよな、しかし衝撃的な光景だったな。アイツ実はかなりいい尻してやがった、しかも…。
クソッ、デホラの事は女として見た事なかったのにあんなもん見せつけられたら今後はどうかなんて自信が無くなってくる。利かん棒はギンギンに反応してるしこれじゃ用をたすのも一苦労だ、急いで部屋でも用を足さなきゃいけなくなっちまったじゃあないか。
とりあえず部屋に戻ると利かん棒が『ラッキースケベなんて嬉しいばっかりじゃないか、大人ぶるんじゃねえよ』とかほざきやがるので泣かせてやった。
後始末をしようと立ち上がると唐突に部屋の扉がノックされる、嘘だろ!またこのタイミングか?だっ、誰だ?扉を開くとそこにはデホラが立っていた、マジかよオイ。
「夜分遅くに申し訳ありません。あの…、そのぉ…。んっ?ユーゴ殿の部屋はなんだか妙な臭いがしますね、なんと言うか生臭いというかなんと言うか。」
ドキィィィ!俺は内心相当焦りながら勤めて冷静に応える。
「どうしたんだこんなに夜遅くに。」
「あっ、いや…。先程の事なのですが…なんと言うか。私ちょっと寝ぼけておりまして…」
「わかってる私は何も見ていない、明日も早いんだからもう寝なさい。」
俺は強引に話を打ち切り自分の部屋へと追い返した後、速やかに後始末をする。奥さんみたいに察しましたっていう反応で顔を赤められるのも困るが不思議な顔でズケズケと臭いと言われるのもキツいものがあるな。
とにかく明日は早い、こういう事はさっさと眠ってなかった事にするのが一番だ。




