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2-14 テンプレ君着工する

一足先に天国より帰還した俺はそそくさと服を着て横になるソーニャ嬢へ用意していたシルクの肌掛けを掛けてあげた、その寝顔はまさな天使そのものでいつまでも眺めていたい衝動に駆られる。

前回のような挑発的な艶っぽい顔や今回の情熱的な熱っぽい顔も美しいと思ったがこの様に安らかな可愛らしい顔もまたとても美しい。


「んっ…、ううん」


いかん、あまりの可愛さに頭を撫でていたせいでどうやら起こしてしまった。


目を覚ましたソーニャ嬢は気怠げに声をかけてくる。


「お客さん先に起きたん?それになんやすっかり着替えてはるし、もう…行かなあかんの?」


そう言って俺の服の裾をギュッと掴む。ハウァ、こんな事されてそんな事言われたら行くに行けないじゃないか。俺は心をグラグラと揺らしながらも決めた事はやらなきゃいかんと踏ん切りをつけて立ち上がる。


「名残惜しいですがやると決めていた事なので、それに他の人にまで迷惑掛けてしまう事になる。」


「そう…、せやったらお客さんに一つお願いがあんねんけどええかな?」


「構いませんよ、なんですか?」


「あんなぁ、名前…教えてくれへん?」


「そんな事でいいんですか?私はユーゴ=ヨシムラと申します。」


「ユーゴ…さん、今度いつ来てくれはる?」


「すいません、いつという約束はちょっと難しいです。でも時間が空いたらまたすぐに会いに来ますので。」


「ほんまやねんな、また約束してくれる?」


「はい約束します。」


そう言って俺は部屋を出てコクーンを後にする。





予定よりも押してしまったがまだ日が変わるか変わらないかぐらいの時間だろう、急ぎ工房の建築予定地へと向かう。しかしコクーンへ行ってよかった、正直こんなに精神が安定して満たされた気分になれたのはロータスに来る前までさかのぼっても思い出せないぐらい前だ。寝不足で身体はキツイ筈なのに活力がどんどん湧き出てくる。


到着した現場は人の気配が全くない真っ暗闇だった。実は今夜の作業の為神の目・神の手の能力も研究を進めていたのだ。


まず深夜作業をするにあたって真っ暗な中での作業になるだろうと蓄光石を、水平を出すために水平器を用意しなければと考えていた。

しかしこれを神の目でなんとかならない物かと思い付き試してみたのだ。水平を取る事は鑑定の延長みたいな物なので用意にできる事を確認出来たが暗い所の視認性はなかなか難しかった。そこで神の手のように魔力を使って使い道が広がらないかと試すとなんと成功したのだ。それどころか望遠能力まで使える事がわかったのだ!

道具もなしに遠くの暗所を覗ける…、使い道が一杯だね!後は透視能力があればと思ったが流石にそれは無理だった。


神の手は某義手と義足の錬金術師のように地面を直接変化させられないか試してみた。

結果普通に出来た、出来たときは歓喜のあまりうれションをしそうになったぐらいだ。影響を与えられるのは触れた手を中心に約2メートルの球体。しかも指向性があるようで前方に指向すれば最大4メートルまで影響を及ぼせた。


しかし神の目も新たに暗視能力と望遠能力が使えるようになった上に某錬金術師もどきの能力が判明した事はかなりデカイ、また一歩チーレムの夢に近づけた。まあ何より重要なレムの部分がさっぱりだけどな!


押してしまってあまり時間が無い、早速基礎打ちの作業に取り掛かる。

まずは建物が建つ予定の地面を神の目で水平を取りながら神の手で圧縮し固めていく、その後圧縮する事により沈んだ部分に砂利を敷きこんでいきその砂利を再び神の目で水平を取りながら神の手で一つ固め大きな一枚岩にする。

その上に基礎の型枠を組んでいき鉄筋で配筋していく、一通りの作業を終えると生コン作りに取り掛かる。材料となるセメント・砂利・川砂・水を混ぜ合わせコンクリートを作っていき、完成したらそれを真空のアイテムボックスに入れる。今度は作った基礎の型枠に流し込み、予定の厚さまで流し込んだらその生コンの空気と余分な水分を抜く。終わったら上から触るとピリッとする程度の結界を張りその上から厚手の布を掛けておく。

後は一週間程養生したら基礎の完成である。


気がつけば陽が昇り始める所だった、誰かに見られていないか確認し木漏れ日亭への帰路に着く。


木漏れ日亭に着くと今日も主人が買い出しに向かう準備をしていた。


「おう、おかえり。今日は疲れた顔してんな、大丈夫か?」


「ただ今戻りました、流石に疲れました。少しゆっくり休みたいのでみんなの朝食が終わったら起こしてくれるよう言っておいてもらえませんか?」


「ああ、わかったよ。しかし何だったら無理して起きねえで午前中はそのまま休んだらどうだ。」


「いえ、みんなの報告も聞きたいですし今日の指示も出さなければなりませんので。あっ、そうだ。お出かけする所申し訳ないんですが出来れば湯浴みをしてから休みたいんでお湯いただけませんか?」


「別に構わねえよ、ちょっと待ってな。」


そう言うとお湯を持ってきてくれたので、そのお湯で湯浴みをすると部屋に戻った。そのままベッドに倒れこむように横になると疲労感と充足感に包まれ眠りについた。





「ユーゴ兄さん、起きて。」


エディの声で目がさめる、もうみんな朝ごはん食べたのか。うー眠い、身体がダルい。


「エディ君今行くから下でちょっと待っててくれ。」


気合い一発起き上がると濡れタオルを出して顔を拭く。My Sonは昨夜あれだけ暴れたにも関わらず今朝も元気にRisingしている、その元気をこっちにも分けて欲しい。俺は簡単に身支度を整えると食堂へおりていく。


「みんなおはよう、遅くなって申し訳ない。早速打合せを始めてしまおう。」


「では私から、昨日はいただいたパンの道具や情報をガストンさんへとお渡しした所大層喜ばれ早速試作に取り掛かっておられる様でした。ある程度手応えが得られました様なので近日中には完成すると思われます。それから昨夜は二名程お客様をお迎え致しましたが取り立てて問題名も無く今朝ご出立なさいました。」


「そうか、本当はそれじゃあ不味いんだが久々の客だな。何か探る様な行動をしたりはしていなかったかな?」


「探るですか?そうですね、1人は食事をご希望になられませんでしたので殆どお見かけする事はありませんでした。もうお一人は夕食をお召しになられましたのでお見かけしましたが特にどうという事は無かったと思いますが。」


「そうか、それならそれでいいんだ。実は私はこの宿を乗っ取る為に何者かが暗躍しているのではないかとふんでいる。あくまで私の思い過ごしかもしれないからあまり気にはしなくてもいいけど警戒だけはしておいてくれないか?」


「わかりました、注意しておきます。」


「それから客がいないとそろそろ手持ち無沙汰だろうから明日あたりからあのファビオとマリカのパーティをここに移らせよう、少し予定より早いが治療を始めようと考えていたからこちらもその方が都合がいい。セシール、時間が空いたらあいつらの宿に行って戻ったらこの宿に来るよう伝言しておいてくれないか?」


「わかりました、明日から新しい客が来る旨も御夫妻にお伝えしておきます。」


「では次は私が、ユーゴ殿から頼まれていた件ですが奴隷の登録は奴隷紋の確認だけで特に書類は必要ないようです。変更も同様との事、ですが詳しく聞いてみると登録時に1件あたり5Zの手数料は取られるようでした。やはりキチンと話を聞いてみないとわからない事が多いと考えさせられました。」


「そうかそれは良かった。デボラは本当に日々成長出来てるようだね、私にとってそれが何よりも嬉しいよ。」


「はっ、はい。有難うございます、これからも頑張ります。」


「はは、そんなかしこまらなくてもいいよ。無理がない程度で構わないから。でっ?エディ君と一緒に依頼をしてみてどうだった?」


「ああっデボラ、ここからは僕が話すよ。見習い冒険者の依頼には結構雑用なんかも多くてちょっと大きめの農家の手伝いや畜産家の家畜の解体作業、他にも居住区の住民の引越しとかも多いみたい。だけどそういう依頼は報酬もポイントも少ないからあんまり人気が無くて受ける人があんまりいないんだって。昨日の依頼主の人にも大分喜ばれたんだよ。」


「そうですね、エディ様も荷運びに掃除と大活躍でした。」


「そうか、エディ君頑張ったね。今日もその調子で頼めるかな?」


「任しといてよ。」


「じゃあ最後に私から、昨日はずっと生産ギルドで工房の建築資材を製作していた。製作は概ね終わり深夜に建物の土台を準備してきたけどこれは少し時間を置かないといけないから当面は様子を見るだけになるかな、何にせよ暫くは生産ギルドへ通う回数も多くなると思うよ。本格的な着工は一週間後くらいを予定しているけど、またその時は報告するよ。」


「建築資材ってレンガとか?建物の土台って何?」


「まあそれは実物を見た方が早いだろう、建築開始の時はみんなも連れて行くからその時を楽しみにしておいてよ。」


「「「はい。」」」


「それで今日の予定だけど概ね昨日と同じで頼むよ、私は用事を済ましたら今日は休ませてもらうよ。私の都合で指示が遅れてしまって申し訳なかったね。それじゃあ今日も一日頑張ろう。」


そう言って打合せを終え、セシールに朝食の準備を頼む。今朝はチーズリゾット、米が出るとやはり嬉しい。味は言うまでもなく絶品でつい食べ過ぎてしまった。





その後部屋で身支度を整えると生産ギルドへ向かう、建築予定地の基礎の件を報告しておかなければならないだろう。


生産ギルドへ着くと何時ものようにギーさんが飛んできた。


「ユーゴさん、あなたの工房建築予定地に怪しげな物があると報告が入っております。夜中に青白い光が明滅していたなんて話しもありますが心当たりは…あるようですね、全くあなたは一体。」


「お騒がせさせてしまい申し訳ありません、昨夜建物の基礎だけ準備させていただきました。ちょっと養生期間をおかなければならないので早めに用意しておきたかった物で、報告が遅くなって申し訳ありません。」


「はあ、あなたの行動にいちいち驚いていたらキリがないですね。ところであの触るとチクっとする布はなんですか?」


「ああ、あれは基礎がコンクリートで出来ているので人が触れてしまわないようにかけさせていただきました。」


「そういうことですか、しかしコンクリートのみでは建物の基礎としては少し弱いのではないですか?それに時間的に一晩では無理だと思いますが。」


そう、ロータスにはコンクリートの概念自体はある。ただそれはどちらかといえばモルタルに近く鉄筋を入れる概念が無い。


「ええ、コンクリートの質が若干違います。大小2種類の骨材を使い強度を上げ中に鉄の棒を何本も入れて引っ張り強度を取ってます。その為充分な強度が取れるのです。一晩で済んだのは秘密の技術を使ったからです。」


「またとんでも無いことをサラッと言いますね、コンクリートのその様な技法聞いたことがありません。建築における革命が起きてしまうでは無いですか!」


「まあ故郷では一般的なんですけどね、情報提供はやぶさかでは無いですけど配合量や施工方法の細かいところはこれもやはり秘密の技術を使っています。ですので実用化するならば独自で相当な研究が必要になりますよ。」

「いや、どんな情報であろうといただけるだけで助かります。しかしコンクリートの中に鉄を入れて強度をとるとは、だからあんなに鉄や鉄の材料が必要だったのですね。」


「それだけじゃ無いんですけどね、まあ楽しみにしておいてくださいよ。」


そんな話をしたのち生産ギルドを後にする。

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