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最強女勇者と魔王城に攻め込んだらロリ魔王とロリアラクネが可愛くてそのまま魔王城でスローライフ  作者: 焼肉一番


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剣士の最後

 テオはリーンが思っていたくだらない男とは少し違うのではないだろうか? 

 自分の気紛れでこの少年の人生を左右して良いのだろうか?


「今から帰って、そしてあんたの上司にはあたしが……」


 リーンが何からしくない事を言おうとした時、金色人面魚と名付けた魔物を獲った湖から突然巨大な水柱が上がった。


 ズァッ……!!


 湖に背を向けて気もそぞろだったリーンより、テオの方が先に異変に気付いた。


「え……」


 リーンが水柱を振り返ると同時にそれは一直線にリーンを襲い、テオはその水柱とリーンの間にギリギリで身体を滑り込ませた。湖に飛び込もうと鎧を脱いでいた事でどうにか間に合ったのだが、この後の衝撃ももろに受けるだろう。

 腕をクロスして衝撃に備える。

 その腕、テオの身体分、リーンはダメージを受けなかった。


「……!!」


 その水柱の正体はスライムだ。

 辺境まで満遍なく蔓延っている魔物で弱個体と強個体の差が大きい。当然、魔王城に近くなればなるほど強個体だ。湖の水を吸ってそれをそのまま操っている様である。


「う……くっ……!」


「テオ?!」


 強烈な水の衝撃波を喰らった後、スライムの攻撃はそれで終わらなかった。分裂したそれはクロスしていたテオの腕、毛穴や爪の先から入り込み中から細胞を溶かすのだ。


「うおああああーっ!!!」


 リーンは雄叫びを上げながら大きく飛翔すると、大きく振りかぶって光魔法を湖にぶち込んだ。光魔法は勇者の代名詞、そしてスライムの弱点だ。

 派手な水音を上げて湖の水は一気に飛散し、中に潜んでいた普通の魚や小さな魔物も飛び出した。


「は……はは、凄いや」


 一撃でさっきのスライムだけでなく他の魔物も蹴散らしたリーンに、痛む腕も忘れてテオは素直に感嘆の声を漏らす。


「何言ってんの! 見せなさい!」


 リーンが血相を変えてテオの腕をぐいと引き寄せた。


「うっ……!」


 触れられた喜びよりも痛みが勝った。テオはビクリと身体を竦ませ反射的に腕を引き戻そうとするがリーンはそれを許さずそのまま回復魔法を施す。

 爛れ始めていた皮膚はみるみる綺麗になった。だが……腕の痛みや違和感は残ったままだ。


「どう?」


「はい、凄いです。もうこんなに綺麗に! ありがとうございます勇者様」


「見た目の事じゃないわよ、力入る?」


「はい、大丈夫です」


 自分でも驚くほど、テオはすんなり嘘を吐いた。珍しく上手に嘘が吐けたと思ったのだが、結局それはすぐにバレた。


「握り返してみなさい」


「え……いやぁ、恥ずかしいですし……」


「いいからっ!」


「……」


 出来なかった。

 リーンにいくら強く言われても、その腕はまるで鉛の様に重く、指の一本も動かない。

 回復魔法はあくまで自然治癒のスピードを促進させるものだ。

 切り傷ならふさげるし、打撲や骨折も治る。だが、例えば大量に流れてしまった血は取り戻せないし、切れてしまった腱等も繋げたりは出来ない。スライムに溶かされた傷と言うのはそう言う類のものなのだ。

 状況を悟ったリーンはギリリと下唇を噛む。ここはファズムの向こうだ。いつ何が起きてもおかしくないと知っていた筈なのに。なのに油断した。自分の気紛れで城付きの若い兵士を遊びに付き合わせ、怪我を負わせた。


「気にしないで下さい勇者様、俺どうせ兵士クビになるんですよ。だったら剣が握れなくても困る事ありません。今日は本当にありがとうございました! 勇者様!」


 自分の責任だと気に病んでいたリーンだったがテオのこの言い草には少し腹が立った様だ。


「何勝手に締めてんのよ。あたしとの関係、あんたが兵士辞めてお終い?」


「そっ、そうしたくはないですけど、俺このまま勇者城に居ても、もう勇者様のお役には……」


「あたしの事はリーンと呼びなさい」


「え?」


「あんたは城付きの兵士を辞めて、あたしの付き人になるのよ」


「えええーっ?!」





 あれから、テオは勇者城の医者に腕の腱を繋げる手術を受け、どうにか日常生活が送れるだけの握力は戻ったが、いくらリハビリをしても二度と剣は握れなかった。

 いつかリーンが旅立つ日に勇者パーティの一員になれるよう魔法にも手を出したがてんで才能がなく、どうやって付いて行こうかと言うのが当面のテオの悩みであったが……最近は違う悩みになっている。

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