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最強女勇者と魔王城に攻め込んだらロリ魔王とロリアラクネが可愛くてそのまま魔王城でスローライフ  作者: 焼肉一番


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ごめんね、テオ

 ――強くなりたいって……言ってたもんね……。でもそれって、あたしを守る為じゃなかったの?


 魔王なんてどうでも良いじゃない。魔王は倒すべきだなんて一体何百年前の話し? 魔族が居て、武器屋が栄えて、結界師が良いお金貰ってさ。政治も戦争も良く分からないけど、世の中がそんなに不幸だと思った事ないんだもの。

 だからあたしは、あんたの面子の為に旅立ったのよ。

 テオに、幸せになって欲しかったから。


 あんたはあたしと目が合ったのは六回って言ってたけど、あたしは何度もテオの事見てた。

 就任式の時、首席だって挨拶したよね。訓練の時も一人だけ段違いに強かったの知ってる。同い年くらいなのに凄いなって、ちょっとこいつは違うのかもって思った。あんたがこっちを見ようとする素振りを見せたらすぐにそっぽを向いてごまかしてた。

 だから……あんたがあたしの事好みって言ってるの聞いた時、ちょっとドキッとした。ちょっとだけね!

 きっとテオは誰よりも立派な勇者城を守る戦士になると思ってた。それは間違いない筈だった。それなのに……あたしの気紛れのせいでその機会を奪ってしまった。

 それがずっと、苦しかったから、今こうしてあんたの手で死ぬんなら……――。


「ごめ……ね……テ、オ……」


 死ぬ間際、人はその一生を思い出すと聞いた事がある。だがリーンが思い出したのはテオの事ばかりだった。

 ほとんど声にはならないその囁くような言葉がテオの鼓膜をうっすら揺らすとテオの瞳に僅かな光が灯った様な気がした。

 少しだけ肺に空気が入ってテオとしっかりと目が合った気がした。まだ少年のままのテオの顔に、黒い鱗が生えている。リーンは悲し気にそれに手を伸ばしてそっと撫でた。


「あたしはあんたがどんなに弱くても、剣を握れなくても、構わないのに、あんたがどうにか強くなろうともがいてたのも知ってる……」


「が……あ……?」


 今度は確実にテオの瞳が輝いた。もう片方の腕も伸ばしテオの頬を包む様にしてやると、リーンの首を締めていた手がすっかり緩んだ。


「ごめんね……」


「あ……リーン……」


「テオ……? テオ!」


「リ……」


 その瞳が完全にテオのそれだと分かった瞬間、テオの首から上がとんでもない衝撃を受け真横に吹っ飛んだ。すぐ近くの壁に当たり、それを突き破ってその先の壁まで飛んでやっと止まる。


「テオー?!」


 何が起きたと衝撃の方を確認すると、すやすやと寝ていたルビィが目を覚ました様で、片足で勇ましく立っている。どうやら上がっている方の膝でテオのこめかみを打ち抜いた様だ。


「ルビィはテオの盾。そしてテオはリーンの盾だと言った。だからテオの誇りもルビィが守る」


「何かカッコ良いけど今それ違ーうっ!」


 確かにテオが戻って来ていると感じたのだ。今の衝撃でまた悪魔に戻っているかも知れないではないか。

 リーンは身体を起こし、這いつくばって隣りまで吹っ飛んだテオを追い掛ける。その横を、すっかりキノコの毒も克服したのだろうか? ルビィがスタスタと追い越して行く。


「待ってルビィ! テオは……!」


 テオはもう大丈夫。あたしを認識した。絶対にもう大丈夫。そう言えるだろうか? 確かにさっきはテオだったけど、この先もずっとテオでいられるだろうか? 本当にさっきの衝撃でまた悪魔に戻っているのではないか?


「ルビィはテオの盾」


 ルビィが言うように、テオの誇りを守る為なら、リーンはここで死んではいけない。理屈で動ける程リーンは大人ではないが、感情で動ける程体力も残っていなかった。


「待っ……て……」


 テオに近づくルビィの足取りに迷いはない。


「待って!!」


 力の限り声を出してもルビィは振り向きもしなかった。


「待ってルビィ! もう一度、ちゃんと! テオと……!」


 すぐ近くまで来るとルビィはテオに憐れそうな視線を向ける。テオはすっかり気を失っていてその瞳を確認することは出来ない。つまりリーンの炎魔法にも風魔法にも小動もしなかったテオが、魔王の一撃ですっかり昇天してしまったと言う事である。

 リーンは歴代最強勇者だが、ルビィもおそらく歴代最強魔王なのだ。そしてやはり魔王に打ち勝つにはパーティ全員が人類最強クラスでなければならないのだと思う。

 リーンはますます己の無力さに胸を締め付けられた。


「待って! 待って!!!」


「大丈夫、全部ルビィに任せれば良い」


 一度リーンを振り向いて口元に笑みを浮かべる。幼い姿のルビィに強者の風格を感じてリーンは喚くのを止めた。

 ルビィが膝を付いてテオに寄り添うと、人差し指と親指で摘まんだ何かでそっとテオに触れる。その瞬間ビクリとテオの身体が跳ねたが目を開く事はなかった。そしてルビィの持っていた透明なそれがどんどん黒く染まって行く。


「それは……」


「とんでもないアイテムだけど、使うのは簡単」


 ルビィの力を封じ込めていた、あの水晶だ。

 テオは大人しく横たわったまま、身体から力が抜けて行く感覚に襲われていた。望んでいた強さがなくなって行く……。

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