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最強女勇者と魔王城に攻め込んだらロリ魔王とロリアラクネが可愛くてそのまま魔王城でスローライフ  作者: 焼肉一番


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どうせ死ぬなら

「わーーーっ!!! お前! 嫌だって言ったのになんて酷い事を……!!」


「俺じゃない!!」


「あ~」


 また言い争いになるかと思われたが、何と背中のマタンゴが声を発したことで他の人間は驚いて口を噤んだ。


「今の声……」


「ノコ、嫌じゃないって言ってる、傘はすぐ、成長するから……」


「ノコって、こいつの名前なのか?」


 ダレルはルビィと、ルビィがノコと呼んだマタンゴを見比べた。いくら話し掛けても反応しなかったマタンゴが、ノコと呼ばれて、手伝ってと言われて、反応した。


「ノコ……」


「あ」


 傘が取れて丸坊主みたいになってしまったマタンゴが憐れに見えたが、マタンゴ……ノコはダレルの言葉にも反応した。


「ルビィはパイとも友達だもんな。魔族の言葉が分かるルビィがノコが嫌がってないって言ってるんです。お言葉に甘えましょうよ」


「ああ……分かった、ノコ本人がそう言うなら問題ない、栄養いっぱい取って、早く元に戻そうな」


 おそらくその栄養と言うのはダレルから取るのだろう……。

 そうして、テオはシュリを背負い、ダレルとノコと共に研究室へ薬を作りに向かった。


「さて、薬が完成するのが先か、あいつらが幻覚から覚めるのが先か……。勘の良いやつがそろそろ気付いても良い頃だ」


「そしたらまた幻覚に閉じ込めてアヘアへさせたら良いじゃないですか」


「ノコの傘を全部とっちまっただろうが! お前マタンゴの事何にも分かってない!」


 幻覚作用を引き起こす胞子は傘の部分から飛ばしていた様だ。


「時間との勝負ってワケですか……? はぁはぁ、じゃぁ、キリキリ動いてくださいね。とりあえずマタンゴの傘……こっちの装置で……」


 シュリに言われるまでもない。テオ達は一刻も早く解毒薬を作るべくキリキリ動いた。慣れない作業で手元がおぼつかないながらも、なるべく最速を目指す。


「なるほど……作るべき薬の成分は理解しました……。でも厄介、ですよ」


「ふふ、だろうな。俺のノコが作り出した毒キノコだ、毒キノコとして優秀に決まっている」


「え、結局誰一人死んでないじゃないですか。それなのに解毒薬作るの厄介とかホント意地悪。あと威張って良い状況じゃないんで考えて下さいね。今の発言も後でリーンに言います」


 何かと小競り合いが絶えない二人にシュリも閉口する。くだらない言い争いをしている暇はない筈なのに……。


 ドゥン……!


「?!」


 魔王城に轟音が響き、大きく揺れて天井からパラパラと何かが落ちて来る。


「攻撃された?!」


「思ってたより早いお目覚めだ。優秀なのがいるな」


「リーンを守らなきゃ!」


 テオはパッと駆け出すがその背中をシュリが引き留める。


「剣も握れないのにどうやって?」


 それは十分な声量ではなかったが鋭さでテオを立ち止まらせる事に成功した。


「剣が握れねぇ? じゃぁ魔法か? 勇者パーティだろ?」 


 ダレルの当然の疑問には聞こえないふりをした。どちらも出来ないと言ったところでやるしかないのだから。


「どうにかするよ、死んでも守る!」


「どうせ死ぬならその前に……僕、趣味で作ってた薬あるんですけど……飲みます?」


 そう言うとシュリはごそごそと懐から巾着袋の様な物を取り出し、そこから黒い丸薬を摘まんで出す。


「趣味って……一体何を作ってたんだい」


「僕の夢は僕の手で人間以上の存在を作りだす事……」


「ああ、寝起きに天使を作り出すとか言ってたよね? え? つまり……?」


「そうなっちゃう薬、です」


 説明が十分とは思えないが、シュリの状態を考えればこちらが汲み取るしかないだろう。


「一体……この魔王城にどれだけの設備があればそんな物作れるんだよ……」


「確かに設備も備品も良いものだったけど……一番大事だったのは、勇者の髪と、魔王の髪……。それで、やりたかった事、全部、出来ました……」


「魔王城に落ちてたからって魔王の髪じゃないと思うけど……天使になればとりあえず空は飛べるって事だよね? 今の俺よりは役に立つかも知れないな」


「もちろん……。それに、それだけじゃないですよ。身体に大きな変化を与えるからきっとテオの握力も戻ると、思う……けど……まだ完成品とは……」


 ドゥンッ! ドゥンッッ!!


 先程よりも大きな衝撃が来てテオは溜まらずシュリからその丸薬を引っ掴んだ。


「良い事聞いた! 使うなら今しかないような薬だね! でも背中に翼が生えたら日常が過ごしにくそうだからどうしようもなくなったら飲む! それで良いよね!」


「あっ……!」


 シュリの説明もろくに聞かずに飛び出して行ったテオに、ダレルは何か言ってやろうかと思ったがやめた。また大きな衝撃が来て魔王城が揺れたからだ。


「何か副作用でもあるのか?」


「うーん、僕、ちゃんと言いましたよね? どうせ死ぬならって」


「ああ、言ったな」


「劇薬過ぎて、その人の人格や記憶まで消えてしまう可能性があります」


「……」


 テオの代わりに続きを聞いてやったダレルは、シュリがあまりに悪びれず言うので何かの聞き間違いかと思う。


「なるほど?」


「どうしようもなくなったら飲むって言ってましたけど、もう今どうしようもないから飲むんだろうなぁ……。でも僕言いましたよね? どうせ死ぬならって」


「ああ、言った」


「とりあえずこっちの粉の薬は後で使うので、まずはこの薬品を……」


 二度もダレルに確認をとってこれで良しと思ったのか、シュリは気が済んだとばかりに解毒薬の精製に戻った。

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