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最強女勇者と魔王城に攻め込んだらロリ魔王とロリアラクネが可愛くてそのまま魔王城でスローライフ  作者: 焼肉一番


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不快な太陽

「よう、俺は……」


「うわーっ!! キモい! 何このおじさん?! キモ過ぎるよぅ!」


 颯爽と自己紹介を始めそうなおじさんに向かってテオは遠慮なく見た目の感想をぶつけてしまう。


「やめないか若造! あんまりキモいキモい言ったら傷付くかも知れないとか考えないのか?!」


「あっ……すみません、俺まだまだ子供だからその辺気ぃ使えなくって。キモかったからキモいって言っちゃいました。それに言葉通じるか微妙だったので」


「子供は残酷だな、せっかく助けてやったと言うのに」


「助けて……? あなたは一体……あ!」


 何かに気付いたテオは息を飲んだ。そうだ、このおじさんはただのおじさんではない。


「ダレル! ダレル・キャスタル!」


 そう、彼は勇者でもないのに、辺境の地からたった一人で魔王城にやって来た男、ダレル・キャスタルであった。ブレイズオーブを借りに勇者城に寄ったのでテオも覚えている。城内ではかなり話題になった男だ。


「そうだ、俺は正義の為に一人戦う勇敢な戦士だ。リスペクトしかないだろう。分かったらもうキモいとか言うんじゃないぞ」


「いや……ただの無謀おじさんとしか思いませんけど。でもここに居るって事はブレイズオーブもなしに魔王城の内部まで潜入出来たってことですか? そこは尊敬します!」


「いや大樹を超えたあたりでマタンゴに捕まって連れて来られた」


 一瞬だけ尊敬したがやはり無謀なおじさんの様だ。


「それもそうか……。ブレイズオーブもなしに結界を破ったらもう魔瘴気が出てる筈だもんな」


 マタンゴに捕まって連れて来られたにしてはあまり困った顔はしていない。だがこのままにしていたらきっと養分を吸い取られて死んでしまうだろう。


「分かりました。ちょっと待っててくださいね。人型だから心苦しいけど今剝がしますから」


「は? 何が分かったんだ?」


「痛かったらすぐ言って下さい。マタンゴと一緒に中身まで付いて来ちゃったらマズいですから」


 そう言ってテオは背中のマタンゴの腰辺りをもって思い切り引っ張った。


「いたたたたた!」


「すぐ言ってとは言ったけど少しくらい我慢して下さいよ」


「違う違う待て待て剥がしたら死んじまうかも知れないだろうが!」


「え? もうそんなに一心同体ですか?」


「心は別だよ!」


「心……」


 改めてマタンゴ娘を見るとやはりボーっと口を開けたままにしている。


「死んじまうかも知れないってのはこいつの方だ。俺はこいつを死なせるつもりはねぇ……」


「えっ?」


「早くそいつから手をどけろ!」


 ダレルの剣幕に押されてテオは大人しく言う事を聞く事にした。


「あ、あの……マタンゴとはどう言う……」


 背中からこんな異物が生えているのにこれをそのままにしておくなんてただ事ではない。きっと何か深い繋がりがあるのだろうとテオは聞いた。


「俺は……俺はな、いつも一人だった……」


 ならば聞かせようとダレルが話し始める。深い繋がりがありそうな導入である。


「辺境の地を旅立った時も一人、道中もずっと一人、そして遥々勇者城まで来ても誰も味方をしてくれず、ブレイズオーブも貸してもらえなかった。もちろんファズムを超えてからもな」


 やはり勇者でもない人間を支援するのは誰だってリスクにしか感じないのだろう。みんな自分が可愛いのだ。


「そうして最後の境界線、大樹を越えた時も一人。そこで出会ったのがこいつだ」


「マタンゴと……」


「ああ、こいつは俺をガッシリ掴み、その身を預けて来た」


「預ける? それって捕食……」


「それどころか、こいつは……身体の一部をっ……お……俺の中に……!」


「ええええあれれれぇ?!」


 期待していた深い繋がりのエピソードなど微塵もなかった様だ。ただ単にマタンゴに捕食されただけである。


「それで喜んじゃうなんて……もしかしたらティモシー様と同じタイプの人だったりするのかな……」


「勇者がここを落とす時が来たら俺ぁこいつと一緒に戦う。俺は人間を裏切った。それで勇者に殺されるなら本望だと思ってた」


「はぁ、でももう来てだいぶ経ちましたよ」


「ああ、まさかお前らが魔王城で隠居生活始めるなんて思ってなかったぜ」


 そう言えば三階にカギの掛かった部屋があった。その部屋の周りだけやたらじめじめしていて、他にわざわざカギが掛かった部屋もなかったので不審に思っていた事を思い出す。落ち着いたら開けてみようと思っていたが目まぐるしい日々の中でなかなか優先順位が上がらなかった。


「出て来れば良かったじゃないですか。アラクネとも一緒ですしマタンゴとおじさんのハイブリットが増えても問題なかったと思いますよ」


「判断が難しくしばらく隠れていた。だがどうもここで悠々自適に暮らしているだけに見えたから姿を現そうとした時だ、勇者が光魔法で人工の太陽みてーなもんを作っただろう。あれが物凄く不快に感じた。きっと俺が半分キノコになったからだ」


「あー、キノコってじめじめしたところに生えますもんね」


「だから殺す事にした」


「あー、術者が死ねば人工太陽も消えるでしょうからね……って、ん?」


「なんだ」


「もしかしてみんなが倒れたあのキノコ! ダレルさんが作り出したんですかー?!」


「そうだ」


「ひひひひ人殺しーー!!」


 テオにしては珍しく勘が鋭かった。ダレルの方も別に隠すつもりはない様であっさり白状したが。


「だが毒素が足りなかったみたいでみんな死ななかったんだ、まだ人殺しじゃないだろう」


「そうか、それで直接殺しに来たのか、負けないぞ!」


「違う。まずはあいつらを倒してからだと思ったんだよ」


 そう言ってダレルはテオの後ろを指し示す。目の前のダレルの姿がショッキング過ぎて周りに気付かなかったが、魔王城の庭にはシードの魔法部隊が例外なく幻覚にあえいでいた。

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