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最強女勇者と魔王城に攻め込んだらロリ魔王とロリアラクネが可愛くてそのまま魔王城でスローライフ  作者: 焼肉一番


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知らないおじさんとマタンゴ

 シードはやれやれと首を振った。


「話しを聞いただけでそれと分かるでしょう。そうでなくとも強い魔族は人間を惑わせる為の容姿をしている。強ければ強い程……」


「な……何を言ってるんですか!」


「ふ、まぁ知らないままでも良いでしょう」


 シャンッ――。


 その音が合図だったかの様に、テオは猛ダッシュで魔王城へ向かって駆け出した。魔瘴気を打ち壊すこの魔力こそが邪悪な物の様で恐ろしい。

 シードはリーンを助けに来たのではなかったのだ。


 シャーンッ――。


 ひと際大きな音がして、薄くなっていた魔瘴気が完全に消えてなくなった。

 ハッと後ろを振り返ると、シードの魔法部隊がすぐに次の魔法の準備をしているのが分かった。詠唱しながら一歩一歩魔王城へ近付いて来る。


「やめてくれ! 中に仲間が! 普通の女の子も居るんだぞ!」


 走りながら大声で叫ぶが当然シードが止まる筈もない。


「黙れ、愚か者が」


「クソッ……!」


 用意した旅の道具を捨て、テオは全力で走る。


「さぁ焼き払え!」


 シードの指揮があり得ない。後ろから火の玉が飛んで、ルビィのお気に入りの果物の樹が燃えた。


「ああっ! クソッ!」


 せめて剣が握れれば、そう思ったが現実問題テオは何も出来ない。このままでは勇者城の大臣にリーンが殺されてしまう。こんな事、あって良い筈もないのに。


「クソッ! クソッ! クッソオオオ!」


 汚い言葉を吐き続け、それでもテオは少しでも早く皆の近くに行こうと足を動かした。気持ちだけが前に行って何度も転んだが何度も立ち上がった。


「あぐっ!」


 小さな火の玉が足元をかすめ、テオは前方へ吹っ飛んだ。色んな所を擦りむき、走り疲れて息も絶え絶えである。それでも、立たなければ。立って走らなければ!

 そう思って懸命に膝を立てると、魔王城から何かが吹き出してくるのが見えた。霧の様な、煙の様な、白い何かが吹き出し、あっという間に一面を覆った。


「え……? 何? 何だ……?」


 視界が悪くなっただけで別に苦しくもないが、この怪しい状況を喜べる筈もない。


「うわーっ! 見えん! 前が見えぬぞー!」


 すぐ後ろからこの白い煙に戸惑っているシードの声が聞こえて来た。一緒に居る魔法部隊も右往左往している。

 テオはそーっと音を立てない様にシードに近付いた。冷静になればちゃんと周りも見える。

 そして……。


「えいっ!」

「ぐぶっ?!」


 下からシードの顎へ渾身のアッパーカットをお見舞いしてやった。完全な死角からの一撃はシードにクリーンヒット。シードはドッとその場へ倒れ込んだ。


「シード様?」


 部隊の連中もシードの声がしなくなった事で不安になった様だ。


「シードは俺が倒した!」


「何だって~?! 逃げろ~!」


「わははは!」


 テオはあっさりシードを倒し、仲間を守れた事に有頂天になった。自分だってやれば出来るのだ。きっとリーンも褒めてくれるに違いない。


「良くやったわね、テオ」


「リーン?!」 


 そう思ったら早速リーンが現れたではないか。花畑と共に。いつの間に魔王城は花に囲まれていたんだろう。辺り一面花が咲き乱れている。魔王城のしすてむがまた何か違う働きをしているのかも知れない。綺麗な花畑に、とても心地良い風が吹いてくる。


「気持ち良いな。まるで故郷のアンスリーにいるみたい。目の前にはリーンが居る。こんなに幸せで良いのかなぁ」


「ふふ……」


 ふいに、リーンの手が伸びてテオに触れた。


「リーン……?」


「あたしも、テオが居ればそれで良いよ」


 ドキリと心臓が鳴って、そのまま早鐘を打つ。緊張しているのに、リーンが触れたところから力が抜けていくみたいで心地良い。


「キス……しようか……」


「ああ、リーン……」


 花畑の中を、なまめかしく近付いてくるリーン。

 あれ? でも熱は下がったの? 他のみんなは? ルビィに、シュリにティモシー様、パイもどこに居るの?

 そんな事が頭を過ぎったら、唇が触れるすんでのところでリーンの顔がどろりと溶けた。


「ぎゃああああリーーーン!」


 花畑だった景色も一瞬であのどんよりと曇った魔王城の庭に変わり、溶けたリーンの代わりに何か別の生き物がいる。


「気が付いた様だな」


「だ……誰……? ひぃっ?!」


 まだ周りはあの煙が漂っていて良く分からなかったが、目が慣れて来るとそこで蠢いている物の正体が見えてテオはゾッと背筋を凍らせた。


「知らないおじさん?!」


 見た事のない中年の男が煙の中から現れる。


「……と、マタンゴ?!」


 極めて近い距離に、かなり人型に近い、少女のマタンゴも居る。


「え? え? なになになに……こ……これは一体どう言う状況??」


 そのマタンゴ娘は良く見ると知らないおじさんからから生えている。だいぶ人の形をしていて、普通の人間の女の子がキノコの笠を被って……と言うか頭から巨大なキノコが生えている感じだ。けれど膝から下はおじさんの背中に埋まっている。言い方を変えれば、おじさんから生えている。しかしマタンゴ娘の方はぽーっとこちらを見詰めているだけで知性があるのかないのかは分からなかった。

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