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最強女勇者と魔王城に攻め込んだらロリ魔王とロリアラクネが可愛くてそのまま魔王城でスローライフ  作者: 焼肉一番


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大臣シード

 当面の食料を用意し、装備を整えるとテオは早速魔瘴気へ向けて出発した。目標は魔瘴気の向こうの大樹だ。

 いくら脳天気な性分とはいえ、テオだって自分がそこまで辿り着けるかどうかは不安である。だが行くしかない。自分が途中で死んだらリーン達もお終いなのだ。

 悲壮な決意で進むテオだが、魔瘴気に近付くと思いがけない展開が待っていた。薄くなった魔瘴気の向こうに大勢の人の気配がする。


「誰か来るぞ!」


 そのうちの一人がテオに気付いてそう声を上げる。


「何だ??」


 テオが驚いて駆け出すとまた誰かの声が聞こえて来た。


「止まれ! お前は誰だ! 名乗れ!!」


「えっ?! はい!! テオです! テオドール・ディーンです!!」


「テオ……? テオドールだと?」


 その声を聞き、テオの前に姿を現したのは勇者城の大臣シードではないか。この部隊をここまで率いて来たのだろうが相変わらずヴィーラと一緒だ。


「テオドール、これはどういう事だ?」


 魔瘴気越しにシードが事情を求めて来るが聞きたいのはテオの方も同じだ。


「シード様こそ! どうしてここへ?!」


「我々はこれに導かれた……と言ったところだ」


 そう言ってシードはあの長いローブからブレイズオーブと同じくらいの大きさの水晶を取り出した。リーンがブレイズオーブを首に掛けた時と同様に淡い光を放っている。


「これは……?」


「ブレイズオーブだ」


「えっ? でもブレイズオーブはリーンが……」


「実はブレイズオーブには対になるオーブがあってな、本来はこの二つを合わせた物の事を言う。一つは魔王討伐に欠かせない強力なアイテムだが、こちらのオーブは勇者の無事を示す為にある。勇者殿が魔王討伐に向かってすぐ、このオーブから反応が消えた事で私は勇者殿の死を覚悟していた。ところが最近また反応が……」


「おお!」


 庭に投げ捨てられていたブレイズオーブをテオが拾った事でリーンの無事が勇者城に報されたのだ。


「ブレイズオーブは反応しているのに勇者殿は帰ってこない。となれば魔王討伐後に何かしら動けなくなった可能性があるのやもと思い来てみればこの様な障壁が……」


「シード様! さすがシード様です!」


 テオは嬉しくなって事の顛末を話した。リーンはシードを全然信頼していないが、シードはちゃんと勇者城の大臣として相応しいではないか。勇者の為に大軍を率いて来てくれたではないか。


「……なるほど……。謎のキノコのせいで勇者パーティは勇者殿を含み全員瀕死状態。で、どこに居るかも分からない魔王がどうやら弱った事により魔瘴気が薄くなった……と?」


「はい、リーンはそう言ってました。だから俺、どうにか魔瘴気の外へ出て助けを呼びに行こうと……」


「あなたでは無理でしょう」


 無遠慮にシードは言った。


「見たところかなり強力な障壁です。これで薄くなっていると言うのだから恐れ入る。だが私が選び抜いた調査隊全員で掛かればどうにかなるかも知れません」


「お願いします! シード様!」


 助かった。テオはそう思った。ほんの短い間だったけど、魔王城での暮らしは楽しかった。だけどそれも終わりだ。勇者城へ帰り、魔王は居なかったと報告する。それですべて終わりだ。

 シードは率いて来た部隊にこの魔瘴気を打ち破る為に有効な魔法を提案し一斉に放つよう指示した。それを見たテオは勇者城の兵士にこんなに魔術に精通した人間がいたのかと驚いたのだが……良く部隊の面子を見ると……不思議な事にテオの知っている顔が一人も居ない。テオは勇者城の兵士は引退したが、言ってみれば部署が変わっただけで職場は同じである。勇者城の兵士ならだいたいは知った顔の筈なのだが……。

 知らない顔で構成された部隊が、魔術を扱って魔瘴気を打ち破ろうとしている。懸命に魔瘴気に力をぶつけているその様に、何故かテオは胸騒ぎを覚えた。


「シード様、この部隊の方々は……」


「ええ、私の部隊ですよ」


「私の?」


 シード個人の、と言う事らしい。


「勇者城の兵士ではありません」


「そうなんですか、凄いですね、個人的に部隊を編成出来るなんて。一体どう言う……?」


「凄い事なんてありませんよ。いつまで経っても魔王討伐に出発しなかった勇者に反発している人間は少なくありません。そいつらを集めただけです」


「ああ、はは」


 引っかかる言い方だ。

 魔瘴気には絶えず魔力が放たれて、シャンッと綺麗な音がしてまた一段階障壁が薄くなった。


「でも……こうして助けに来てくれたんですね」


「助けに……? 救われたいのはこちらですよ」


 シャンッ――。


「何故私があんな小娘にへこへこしていたと思う? いつか殺してやる、その時が来たら一番近くに居る為に立場を保持しておこう、それまでの辛抱だ、それまでの辛抱だ……! そう言い聞かせてたのだよ。くくく、まさか死に掛けているとはねぇ」


「な……何を……」


「私が欲しいのは人類の平和ではない。奇跡を作り出す魔王の血だ。この部隊はそんな同志で結成されている」


「待って下さい! さっきも言った様に魔王城に魔王は居ませんでした! きっとどこか別の場所に……! もしリーンが居なくなれば復活した魔王に……!」


「テオドール、あなたは本当に愚かですね」

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