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最強女勇者と魔王城に攻め込んだらロリ魔王とロリアラクネが可愛くてそのまま魔王城でスローライフ  作者: 焼肉一番


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3/18

好きです

「今日は何? そろそろ国民を納得させる為のパフォーマンスでもやっとく感じ?」


「いいえ、ご報告です」


 少しだけ、いつものシードとは様子が違う。


「数日前、勇者城にある男がやって来ました。カンザと言う……辺境の地から」


「カンザ? 本でしか見た事ないけど、確か雪だらけの平和な街よね。そんなとこから何でわざわざ……」


「魔王を討伐する為です」


 そう言ったシードの目は、まるでリーンを責める様だった。


「はぁ? 何で勇者でもない男がそんな事するのよ?」


「正義感故です」


「正義感……?」


 リーンには正直理解出来なかった。カンザに居れば生きているうちに魔物に会う事もないだろう。会ったとして魔王城から遠く離れた場所の魔物なんて恐るるに足らない。


「彼……、ダレル・キャスタルは純粋な正義感で魔王を倒さんとカンザから様々な試練を乗り越えてここまでやって来ました。旅の途中で様々な知識を身に付け、魔王城に近付くにはこの城に保管されているブレイズオーブが必要だと言うところまで辿り着いたのです」


「まさかそれで……」


「渡していませんよ。けれど彼は旅立ち、そのまま消息を経ちました。ファズムを超えた事は間違いなさそうです」


 そこまで喋ると、シードはただリーンを見詰めた。どうやらリーンからのリアクションを待っている様だ。


「勇者殿が旅立たなかった結果です」


 何も言わないリーンに、シードは分かりやすい言葉で斬り付ける。だったらと、リーンもお望み通りの言葉を放ってやろうと口を開いた。


「勇者以外にやれる事じゃないのよ、旅の途中で様々な知識を身に付けたって言ったけど一番肝心な事が分かってないじゃない。自分が身の程知らずだって事がね」


 ガシャン……!


 隣りの寝室から何かが割れる音と水音がして、テオの慌てた声が聞こえて来た。


「ごめんなさい!」


 リーンの言葉を深刻そうな顔で聞いていたシードは、その騒音に気分が削がれたのか、重い溜息を吐いて立ち上がった。


「私からのご報告は以上です」


「そ! ご苦労様」


 去り際、シードの背中から蛇……ヴィーラがまた顔を出したのに気付き、リーンは小さく舌打ちし、そのままソファへ寝転がった。


「あの……ごめんなさい」


 寝室の方からテオが顔を出した。いつもの脳天気そうな顔ではない。


「何よ、花瓶を割るくらいいつもの事でしょ」


「いや、違いますよ……そうじゃなくて……。話し、聞こえて来ちゃって……」


「……」


 いつも通りに見えていたテオだが、どうやら彼なりに気にはしていた様だ。


「聞こえて来たって言うか、聞いてたんでしょ?」


「うっ……」


 嘘が吐けないテオは俯き、そして続けた。


「ダレル・キャスタルの話しは、俺も知っていました。もう城内で噂になっています」


「ふぅん。まぁブレイズオーブを貸してくれなんて男が来たら噂も立つでしょうね」


「どうして旅立たないんですか? 国民は信じているでしょうが、城のみんなは本当は弱いんじゃないかって噂してます」


「あんたもそう思うの?」


「思うわけない! 俺はリーンの強さを知っています! もしかしたら誰よりも、知ってる」


 例えば、一瞬でベッドの骨組みだけを残し、他を消し炭にするなんて繊細かつ強力な炎魔法など、リーンでなければ不可能な芸当である。リーンの近くに居る人間ならばリーンが間違いなく歴代最強の勇者だと分かる事だろう。


「じゃー別に誰に何と言われようと良いわよ」


「良くありません! 俺が悲しいです!」


「嫌われ者の味方をするのがしんどい?」


「違います! 世界中の誰もがリーンを嫌いでも俺は……!」


 何を言っても軽くあしらうリーンにだんだん声が大きくなるテオだが、この先は勢いで言ってしまうには少し抵抗があった。


「俺は……リーンの事が……好き……です」


 赤くなりながらも真っすぐ伝えるテオにさすがのリーンも赤くなる。


「きゅっ、急に照れないでよ、いつも言ってるじゃない」


「いや今ちょっとマジなんで……」


「いつもはマジじゃないわけ?」


「いつもマジですけど今は大マジなんです」


 二人ともがゴニョゴニョと下を向くが、テオが意を決した様にくいと顔を上げた。


「伝わりませんか?」


「……っ」


 溜まらずこの場から逃げ出したのはリーンの方だった。捨てセリフを吐きながら部屋を飛び出す。


「バッカじゃないの! 今そんな話ししてないっての!」


 テオの瞳はいつも真っすぐだ。


「あっ! また伝わらなかったかな……」


 悲しそうにそう呟くテオだったが、一切伝わっていなければリーンが自分の事をリーンと呼べとは言わないだろう。気紛れであったとしてもだ。

 テオの気持ちは二年前、ちゃんとリーンに伝わっている。

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