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最強女勇者と魔王城に攻め込んだらロリ魔王とロリアラクネが可愛くてそのまま魔王城でスローライフ  作者: 焼肉一番


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「ぐぅっ……!?」


 カウンター気味にリーンがルビィの鳩尾に膝を入れると、苦痛に顔を歪めはしたがルビィはすぐにリーンの足に両手を巻き付けた。


「つかまえた」


 ミシッ……! と骨が軋む。今度苦痛に顔を歪めたのはリーンだ。


「なるほど、クソガキねっ!」


 リーンはルビィの顔面ギリギリに手のひらを近付け、近距離から風の魔法を放つ。圧縮された空気がルビィの顎を跳ね上げ、ルビィはたまらずリーンの足を放して吹っ飛んだ。だがすぐに立て直し、足から着地するとキッとリーンを見据える。


「ひぇぇ、始まった! 始まっちゃったんだぁ! 世紀の一戦が……!」


「なるほど、そう言う事ですか」


 怯えながらもどこかワクワクしている様なシュリの言葉にティモシーは何かを理解し、リーンとルビィに巻き込まれない様にと三人を守りの魔法で覆った。結界魔法より強度はないが内部から魔法を飛ばす事が出来る。


「歴代の勇者パーティがどれくらい最終決戦で活躍出来ていたか気になりますね。ちょっと次元が違い過ぎやしませんか? とりあえず私は最優先でこれをキープするので、シュリ、何かサポート魔法撃てますか?」


「はい! 撃てるだけ撃ちます!」


「テオ、まぁせいぜいあなたは死なない様にだけして下さい」


 ティモシーとシュリは速やかに戦闘モードに入ったがもちろんテオはルビィとリーンが争うのを見ていられない。


「何を言ってるんだよ二人とも! 止めなきゃ!」


 迷わずティモシーの守りの魔法効力外へ飛び出すテオ。


「うがぁーーーっ!!」


 まるで獣の様な声を出しリーンに突進するルビィ。


「てあぁぁーっ!」


 らしくもなく、大声でそれを迎え撃たんとするリーン。


「やめてーっ!!」


 まるでヒロインさながら、争う二人を止めようと危険を顧みず間に入るテオ。


「やぱーっ!」


 もう一つ、二人を止めようとする謎の生命体。

 四つの魂はそれぞれの使命の下自らを削り、衝突し、そして弱きは滅するしかない。


 ――バァン……!!


 ぶつかり合った強大なエネルギーに巻き込まれ、テオともう一つは倒れた。


「何やってんのこの馬鹿!!」


 いち早く状況を理解したリーンがそこに駆け寄る。


「アラクネーーーっ?!」


 次に気付いたのはティモシーだ。二人の間に入ったもう一つは逃げ出した筈のアラクネだった。すぐにリーンに続いて駆け寄り、シュリも追い掛ける。


「あ……あ……。うわぁっ! うわあぁっぁ……!」


 遅れて気付いたルビィが半狂乱でテオとアラクネに縋りつく。


「うわぁぁっ! あああん!」


「どきなさい」


「あう……?!」


 リーンがテオに回復魔法を施すと、それが悪いものではないと知っていたルビィは大人しくリーンに任せた。そしてリーンはテオの敵ではないのかも知れないと思い始める。


「アラクネ! 死ぬな!」


 そして自分を守りに来たのであろうアラクネに回復魔法を施すティモシーもまた敵ではないのかも知れないと思う。


「……ったく、殺す気はなかったからこの程度で済んだけど、またこんな真似したら死ぬわよ?」


 リーンの攻撃も、ルビィの攻撃も、テオの腕を溶かしたスライムの様な厄介な効果があるものではなかったので回復魔法で補助してやれば良くなるだろう。


「ありがとう、リーン……」


「リー……ン??」


 テオの言葉に反応し、ルビィはさっきまで殺そうと思っていたリーンの横顔をまじまじと眺める。


「喋ると肋骨くっ付かないわよ」


 そう言われたがテオは黙らなかった。放心したようにリーンを見続けるルビィに声を掛ける。


「ねぇルビィ、この人を傷付けないで欲しい。もちろん君がリーンに傷付けられるのも見たくない。だから……仲良く出来るかい?」


「この人が……リーン?」


「……そうだよ?」


 それを聞いたルビィはますますリーンを凝視する。穴でも開ける気かと鬱陶しくなったリーンがテオの患部から視線を外して目を合わせた。


「あたしは仲良くする気は……」


 ルビィの瞳に思わず息を飲むリーン。テオがルビィと呼ぶ事も納得の紅く美しい瞳は真っすぐにリーンを見て離さない。


「テオはリーンの盾、私はテオの盾」


「は?」


「出来る」


 目が離せなくなっていたのはどうやらリーンだけの様で、ルビィはそう言いながらパッとテオに向き直る。


「仲良く出来る」


「そう……良かった……他のみんなともだよ」


 テオに言われてルビィはティモシーもシュリもまじまじと眺め、そしてまた出来るとテオに約束した。


「……何なのよ、リーンの盾って」


「あっ、いやその……全然足りないのは分かってるし、リーンは強いのも分かってるけど、でもあの願望って言うか勢いだけはあると言うか、あはは……」


 改めて確認されたテオは急に恥ずかしくなってしどろもどろになる。


「たいした盾ね、でもまぁ結果守られたって事にしても良いわよ」


 リーンは言いながら自分の拳にもこっそりと回復魔法を掛けた。


「で、そっちは?」


 ティモシーに回復され、うっすらを目を開けたアラクネを見てリーンが言う。


「パイ」


 ルビィが単語で返すが、どうやらそれがアラクネの名前らしい。


「パイはルビィの友達」


「すぱ……」


「パイと言うのか、良い名前だ。私の名前はティモシー・コパールと言うからパイ・コパールになると言うワケか。良い! 凄い可愛いじゃないか! これからはパイコと呼んでも良いか?」


 まだ動き回る事の出来ないパイは可哀想にティモシーの気持ちの悪い戯言に身体を震わせるしか出来ずにルビィの腕にしがみ付いた。


「パイ恐がってる。パイを虐める人とは仲良く出来ない」


「虐めてなど……!!」


「ティモシー、この子を怒らせたらどうなるか良く分かってるわよね? 面倒な事になるくらいならあたしがあんたを黙らせるけど?」


「心外です!! 私はただ……!」 


「ストーップ! こんな事してる暇ないのよ。今後の事を考えなきゃいけないっての!」


 そうだ、魔瘴気をどうするか、それについて何一つ解決していない。だってリーンが逃げ場がないと言って帰って来たのだ。どうしよう……と全員リーンに注目した。リーンはその視線を鬱陶しく思う。

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