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最強女勇者と魔王城に攻め込んだらロリ魔王とロリアラクネが可愛くてそのまま魔王城でスローライフ  作者: 焼肉一番


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18/21

「逃げて! アラクネ逃げて!!」

「ぷい!!」


 テオは改めて自分を踏みつけるアラクネを見上げた。人型の部分は十五~六歳と言ったところだが、魔族の年齢と見た目が人間と同じとは限らないので子供と決め付けるのも良くない。もしかしたらアラクネにとっても百年くらいは一瞬の事かも知れないのだから。逆に生まれたばかりでもすぐ動ける様に大人に見えるケースだってあるだろう。


「さぁおいで! その瞳の一つ一つに名前を付けてあげよう!」


「なっ……何ですかその独特な煽り方! ティモシー様って激しい戦闘になると人が変わるタイプ?!」


 ぐるぐる巻きにされたまま謎の跳躍力でアラクネに迫るティモシー。シュリが終始怯えているが実際ものすごく異様だ。


「ぴあーーーッ!」


 どうやら言葉は話せない様だがアラクネも恐がってるのだと思われた。その鳴き声に恐怖が滲んでいるのは間違いない。きっとアラクネの方もティモシーに邪魔をされて逃げ出せなかったのではないだろうか。いつからこの状況に陥っているのかは知らないが、魔王城から警告音が聞こえた時にもう戦いを繰り広げていたのだとしたら魔王城に異変が起きている事さえ気付いていない可能性もある。

 怯えたアラクネがぴょんと避けて、代わりにテオはティモシーに踏まれる。


「ぐえっ……!」


「さっきからどんくさいですねテオ!」


「えええぇい!!」


 テオの上に乗ったまま、身体に巻き付いたアラクネの糸を突き破り、ティモシーはそこから両腕を出した。そしておもむろに、自分の胴体に巻かれたままの糸を掴みそれを引き伸ばす。

 その糸はさながら極東の食べ物、餅の様に伸縮性があり、納豆の様に粘着力があり、かつ煎餅の様に強度があった。


「はあぁぁーっ!!」


 それを両手で持って振り回しアラクネに迫るティモシー。まさかそれで捕獲しようとしているのか……。


「だっ……大丈夫かシュリ?!」


「怖い怖い怖いよーっ! 主にちもしーさまが!」


 テオはようやく立ち上がり、ティモシーが振り回す糸をかわしながらシュリを庇うように寄り添った。ティモシーが自在に操る糸をアラクネは必死で避け、壁にぶち当たった糸は魔王城を大きく揺さぶる。


「ちょちょちょ……!」


「何でアラクネの糸を使いこなしてんですかぁ?!」


 大穴が開いて崩れて来る壁から頭を守りながら二人が喚く。


「これは私にとって敵ではない。ただそれだけだ」


「何かカッコ良さげに言ってるけど全然分かんない!」


「ふんっ!」

「ぴあっ?!」


 まるで手足の様に糸を操るティモシーがとうとうアラクネの腕を捉えた。ニヤリと口の端を持ち上げてグイと糸を手繰り寄せる。


「やったぞ! 捕まえた!」


「う、うん! でも僕何だかアラクネの方を応援したくなってる」


「ぴ……ぴい……!」


 すっかり怯え切ったアラクネがずるずるとティモシーに引き寄せられて行く様はまるでティモシーの方が邪悪に見えた。だがアラクネだって立派な魔族だ。捕まえられる寸前でクイとお尻を前に突き出し、そこから勢い良くガスを発射した。腕と糸は繋がったまま、至近距離である。


「ぐっ?! こっ、これは……毒……! あははは! 毒は免疫が出来るまでが勝負! 耐えてみせますよ!」


「まずいですよテオ! 服で口と鼻を抑えて!」


「う、うん! でもティモシー様、免疫出来るまで耐えられるわけないよね?! めちゃくらったけど大丈夫かな」 


 二人の心配をよそに、ティモシーがアラクネの毒に身悶えする様はまるで嬉しそうにも見える。


「うわぁは……ははっ……ははははぁはぁ」


 笑っている……。

 ひ……と、シュリが心底怯えた声を漏らしたのを合図に思わずテオはこう叫んでしまった。


「逃げて! アラクネ逃げて!!」


「ぴ……ぴぃ……ぴい!」


 言葉が通じたのかは分からないがアラクネは鋭い後ろ足で腕を拘束されていた糸を切断すると、ティモシーに止めを刺さずに逃げ出した。


「ああ……クソ……待っ……」


 どう見てもピンチなのはティモシーの方だが、ティモシーは逃げたアラクネの背中を未練がましく眺めている。


「シュリ! 解毒の魔法を……!」


「僕そんなの使えませんって!」


「じゃあ……何かアイテムを……!」


「必要ない! 耐えてみせる!!」


 心配して駆け付けた二人にティモシーはやはり理解しがたい言葉を言い放った。


「うわっ! まだ意識あるよ! 凄い精神力ですね。アラクネの毒って言ったら即効性の猛毒って聞きますけど」


「ああ……速攻で体中に回っている……ぐふふふふ……」


「精神力でどうにか出来るものじゃないでしょう?! て言うかティモシー様神官なんだから自分で解毒魔法使った方が良いですよ!」


「そんな勿体ない事出来るかぁー!!」


「怖いっ!」


「見てられない!!」


 ゴッッ……!


「うっ?!」


 ほとんど衝動的に、テオは頭突きでティモシーを気絶させてしまった。


「よ、よし! 今のうちに解毒アイテムだ」


「時々テオって容赦ないですよね……。はい、アラクネの毒に有効か分かんないですけど」


 そう言ってシュリはポーチから解毒アイテムを取り出すとティモシーの口元へそれを運んで一滴垂らす。 


「足りない分は精神力でどうにかしてもらおう」


「それならどうにかなりそうですね」


 ティモシーの喉がコクンと動いて、口元へ入れた雫が体内に入ったと見たテオはペチリとティモシーの頬を叩いて刺激した。だがさっぱり起きる気配がないので強めにバシンと叩くと、ティモシーは痛みに耐える声を出してようやく目を開いた。

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