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最強女勇者と魔王城に攻め込んだらロリ魔王とロリアラクネが可愛くてそのまま魔王城でスローライフ  作者: 焼肉一番


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守ってあげる

「どうぞ」


「ケイタイ食料……って何?」


「えっと、まぁそのまんまだよ。携帯出来る食料。これは小麦粉とバターを練り合わせて焼いたもの。ちょっとナッツも入ってる。美味しくはないけどカロリー取れるし日持ちするから」


「……そう……。なら……とっておけるならとっておく」


「え? 今お腹空いてるんでしょ?」


「今はまだ少し魚も残ってるし、夜お腹が空いて眠れなくなった時に、食べる」


 結界を超えてからずっと空がどんよりと暗く、昼なのか夜なのか良く分からないが今は昼の筈だ。


「夜はご飯ないの?」


「当たり前でしょ?」


 当たり前……。

 テオは今まで当たり前の様に朝昼晩とご飯食べていた。がだこれは当たり前じゃないのかも知れない。そう思ったテオはおざなりになっていた「いただきます」の精神を改めようと思った。


「気付かせてくれてありがとう……っていやそうじゃない! そうじゃないや俺!」


 やはりこの子はどう見ても人間だ。


「もう、大丈夫だよ」


 テオは跪いて目線を合わせた。


「魔王城に攫われて魔物の餌食にならなかったのはラッキーだったね。しかも量は少ないとは言え食事まで与えられて……。もしかしたら君は何か大事な生贄か何かなのかも知れないけどもう安心して良いよ」


「生贄?」


 思うままに口走ってしまってからテオはハッと口を噤んだ。こんな生々しい事を言ったらこの少女が恐がるかも知れないではないか。


「何でもないよ! とにかく安心して! 君、名前は?」


「クソガキ」


「そっ……それは名前じゃないよ」


「でも、そう呼ばれる。名前ってそういう事でしょう?」


 この少女がここでどんな扱いを受けていたのか容易に想像出来たテオは思わず鼻の奥がツンとなる。あまりにも不憫だと。


「ずっとここにいるのかい?」


 少女は頷く。物心付いた時にはすでにこんなところに監禁され、名前も忘れたと言う事か。


「俺の名前はテオって言うんだ」


「テオ……?」


「そう、テオ! 君にもちゃんと名前があった筈だよ。思い出すまで……そうだな、瞳が凄く綺麗な赤だからルビィって呼んでも良い?」


「ルビィ……?」


「そう! クソガキじゃないよ、君はルビィだ! 全部食べたら俺と行こう。慌てなくても良いからね、よく噛んで食べるんだよ」


 テオがそう言って優しく笑い掛けるとまた少女は頷いた。

 ゆっくりで良いと言ったのにどこか慌てて食べ始める少女ルビィ。一生懸命食べ物を口に運ぶがその一口が小さい。そうしてテーブルの上の物はすべて平らげたが、テオから貰った携帯食料が気になる様だ。


「ちょっとだけ齧ってみようかな……」


「全部食べなよ。そんなに大きくないし」


「いい、ちょっと、味見するだけ。残りは夜、食べる」


 たかが携帯食料の包装をルビィは大事そうにめくると、それをそっと小さな口へ運んだ。

 サクッ……と行けばいいのだが、齧ったところで割れずに、ゴリッといかにも硬そうな音を出し真ん中あたりで折れてしまった。そこから小さな破片が飛び散る。

 折れた半分を持って、そこからどうにか一口分齧り取るルビィ。ボリ……ゴリ……と、あまり味のしないであろう携帯食料をゆっくり噛みしめるのだった。


「ごめんね、結構日が経ってるやつだから相当硬いでしょ」


 ゴリリ……ボリッ……。


 テオの言葉が聞こえていないのか、ルビィは無言で一点を見詰めて咀嚼し続けた。そしてようやくゴクンと一口目を飲み込んだが、そのまま残りの携帯食料も口に運んだ。

 よほどお腹が空いていたのだろうと、バリボリと一生懸命食べるルビィをテオは優しく見守った。

 もう一度、ゆっくりで良いと声を掛けようとした時、テオが入って来た扉が開いて怒号が鳴り響いた。


「食い終わっただろうなぁクソガキ! 終わってなくても片付けるからな! ん? なんだお前は……」


 流暢に言葉を操っている。きっと上級魔族だ。姿も人型に近い。魔族は見た目が人間に近い程体内魔力が多いのだ。額からは立派な角が、三本。

 咄嗟にルビィの前に立ちはだかり、その姿を隠そうとするテオ。きっと少女を監禁しているのはこの三本角に違いない。……となれば当然……。


「俺は……! 勇者様ご一行の一人だ!」


 やるしかない……! 

 横目でルビィを確認すると明らかに怯えている。きっといつも虐められていたのだろう。


「勇者様ご一行? お前みたいな弱そうな奴が?」


 三本角は取るに足らないと言った様子で頭を掻き掻きテオを見下した。結界を乗り越えてここに居る時点で明らかに只者ではない筈なのに、一切警戒などしていない。さながらネズミの様な扱いだ。


「だいたい、剣も杖も持ってないじゃないか、お前は一体何なんだよ」


 実際その通りだ。テオは当然の様にリーンに付いて来てしまったが、剣も握れず、サポートもない状態ではここで通用するわけがない。ティモシーは由緒正しい神官一族、シュリはあの年齢で天才魔法科学者、テオはただのリーンの付き人だ。だが、別にそれは恥じる事ではない筈だ。


「何者でもないから……いざとなったら、この身体を盾にするさ。俺はリーンの盾だ!」


 勇ましく言ってみたものの、何の術もない。


「黙れよ雑魚」


 三本角は人間とは違う皮膚の下に、人間とは比べ物にならない筋肉が詰まっているであろう逞しい腕を振り上げる。そして一気に距離を詰め、その裏拳をテオの顔面に定めた。このまま顔面にそれを受ければテオの首から上が千切れ飛ぶだろう。

 あまりのスピードに、テオは恐怖さえ感じる暇がなかった。


 パキィィッ……!


 これは、結界の効力が切れる音。その音が聞こえた代わりに、テオの首から上はまだ身体に繋がっている。


「うぐあああああっ!!」


「え……? え……?」


 三本角がテオに向けた拳をもう片方の手で庇う様にしている。どうも結界と激しくぶつかりダメージを受けた様だ。


「何だぁ? いつの間に結界を作りやがった……!」


 三本角は途端にテオを警戒する。結界を作り出すスピードもその強度も、彼にとって脅威に感じたからだ。


「ちったぁやる様だな、一気に仕留めてやるよ……」


 何が起きたのか理解出来ないまま話しが展開して行く。それでもテオは三本角の腕から魔力が溢れ出しているのを見て、ルビィに覆い被さるようにして庇った。きっとこれが放出されればルビィも巻き込んでしまうと思ったからだ。


「うらぁっ!」


 ピキキィッ……! 

 今度は結界が、壊れずに何かをはじき返す音が聞こえた。どちらの音も独特な金属音の様なものが聞こえるがその違いは明白だ。つまり、また結界が形成され今度は相殺されずに三本角の攻撃を防いだと言う事だ。


「て……てめぇ……!」


 三本角が激昂して両手から火炎の様なエネルギーを連続で撃って来るが、撃った数だけピキピキと結界が作動する音が響き渡るだけだった。


「大丈夫……! 大丈夫だからね……! 絶対守ってあげるよ!!」

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