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最強女勇者と魔王城に攻め込んだらロリ魔王とロリアラクネが可愛くてそのまま魔王城でスローライフ  作者: 焼肉一番


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「アラクネだ」

「ぎゃああああああ?!」


「勇者さま! お願いさっきのチート使ってチート! 僕まだ十歳!」


 途端に慌てふためくテオとシュリの頭上をティモシーのモーニングスターが大きな弧を描いて通り過ぎた。その先で飛翔型の魔物をまとめて殲滅し、また素早くティモシーの腕へと戻る。どうやら自爆魔法だけの神官ではないらしい。


「数が多い~! でもシュリ! やるしかない! 俺たちは勇者パーティの一員なんだ!」


「補助するので特攻ポジションは任せましたー!」 

 シュリの部分強化魔法を受け、テオの両足は本来以上のパワーを出せるようになった。兵士ではなく、リーンの付き人になってからも戦える術を探し続け、日常生活以上の事が出来なくなった腕の代わりに、テオは日々蹴り技を磨いて来たのだ。それはシュリもちゃんと知っていた。


「ありがとうシュリ!」


 まとめて仕留める事は出来ないが、一撃一撃的確に魔物の急所を狙う。


「なかなかやるじゃないみんな。さぁこの調子で進んでいくわよ~」


 仕方なしに組んだパーティにしてはそれぞれがちゃんと動けるし、なかなか連携も取れている。どうせ自分一人で戦うしかないのだと思い込んでいたリーンは思いがけない展開に少し機嫌も良くなった様だ。

 テオの足技は思った以上に実践でも使えるし、ティモシーはもともと勇者パーティに入りたがっていた為すべてのレベルが高い。完全に巻き込まれた幼いシュリも大人顔負けの補助魔法が使える。負ける気はないが、魔王の実力が完全に未知数である以上、パーティが守るべき存在ではなく支え合える存在であるのは有難い。


「ま、これくらいやれば身体も温まったでしょ」


 結果に満足したリーンは再びブレイズオーブに魔力供給を始めた。


「温まったどころか満身創痍なんですけど……」


 ぜぇぜぇと肩で息をするテオとシュリ。ティモシーだけは相変わらずだったが、何かを見つけて瞳を光らせた。ブレイズオーブに怯えて慌てて逃げて行く魔物の中に小さな蜘蛛型の魔物が混じっていたのだ。


「居る……やはり魔王城には居るぞ……」


「ティモシー様? 何がです?」


 少しばかり様子のおかしいティモシーに気付いてテオが声を掛ける。


「アラクネだ」


「アラクネ?」


「半分蜘蛛、半分人間の姿の魔物よ。まぁあたしが居ればそんなに警戒する魔物じゃないと思うけどさすがに雑魚ではないわね」 


 あまりピンと来ていないテオにリーンが説明してやると、そんな話しを聞いていたのかいないのか、何故かティモシーが鼻息を荒くする。


「ウォーミングアップも済んだところでさぁ少々スピードを上げますかぁ! ね! そうしましょう勇者サマ!」


「へ……?」


「ティモシー様が……」


「笑ってる……」


 そう、まるで人が変わったかの様にティモシーがそう言って笑顔を見せたのだ。初めて見るその光景に背筋がゾッとする。本来笑顔とは人の警戒心を解くのもだが、ティモシーのその笑顔は、純粋でありながら得体の知れない恐怖を感じるのである。


「さぁ早く!」


 戸惑いを隠せない三人を尻目にティモシーは走り出した。


「あっ! ちょっと待ちなさい! ブレイズオーブの近くに居ないと普通に襲われるわよ?!」


 止まらないティモシーを仕方なく追い掛けるリーン達。シュリは追い付けないのでテオが背負うはめになった。


「なんであたしがパーティメンバーの神官を追い掛けてんのよ」


「ティモシー様って案外熱血なところがあるんですね」


「僕どっちのちもしーさまも苦手です」


 しばらく走り続けると、巨大な樹の下に不思議な施設が見えて来た。明らかに人工物だが何の為の施設なのかテオには良く分からない。屋根が付いているが……宿泊施設だろうか?


「さぁ、いよいよ本当の境界線を超えるわよ」


「本当の境界線?」


「ここは普通の魔物には近付く事も出来ない聖なる場所。神が人を作るのに使った大樹だって言われているわ」


「人って樹から出来てるんだぁ~?」


 大樹を下から眺めながらそう言ったのはテオだ。シュリはそんなわけないと肩を竦める。


「神話だけどね。ここから聖なる力が溢れていることは確か。歴代の勇者はここで最後の休息を取って魔王城に向かったんですって」


「ああ、何だか体力が戻って来るような感覚がありますよ」


「僕も感じます。魔力も回復出来てるみたい」


「ここにはファズムとは違う天然の結界があるってわけ。ブレイズオーブがなくても大丈夫よ」


「まさか休まないですよね? 日帰りするって言ってましたもんね?」


 テオとシュリが貪るようにその恩恵を受けていると言うのにティモシーは全然落ち着こうとしなかった。 


「あたし一人だったらそのつもりだったけど、テオもシュリももう限界よ。あんただって疲れてるでしょうに」


「私は大丈夫です!」


「ティモシー様……。分かりました! 俺っ、ティモシー様がそんなに熱い人間だったなんて知りませんでした! 俺だって大丈夫! 寝ずに行きましょう!」


 ティモシーの熱意に簡単に影響されたテオも寝ずに行く事に同意したがシュリがひぇぇと情けない声を出している。


「ダメに決まってるでしょ! 一年も引き延ばしたんだから今更ここで焦ってどうなんのよ。あんたも! あんたも!」


 強く言いながらリーンはテオとティモシーを指した。


「常人なんだからあたしの言う事聞いて休みなさい!」


 全然納得していない様子のティモシーだったが、リーンの強い主張にこれ以上は逆らえないと悟った様だ。ブツブツ言いながらもようやく腰を落ちつけた。


「わぁーこの屋根の下に来ると凄い安心感がある~」


「何だか勇者側にめっちゃ有利じゃないですか? やっぱチートですよね?」


「本来フィジカル的に圧倒的に魔物の方が強いんだから全然チートじゃないわよ。これは人間の知恵ってとこ! あたしがチートなのは否定しないけどね。さ! 寝るわよ~」


 ベッドも毛布もない、ただ屋根があるだけの場所なのに、不思議と良く眠れた。やはりここは本当に聖なる場所なのだろう。あまりにも良く眠れてしまった……。

 そうして起きると、ティモシーが居なかった。

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