十八話 スマホが返ってきたと思ったらチートアプリがインストールされていた
ダンジョン攻略を終えた次の日の朝、朝食を済ませた一行は教会に訪れていた。
「おぉ! これはこれは殿下にローゼン名誉子爵様、ようこそいらっしゃいました」
「本日はダンジョンから生還できたことを感謝する為、祈りに参りました」
「かしこまりました、祭壇はこちらになります」
ソフィーリアとクラウディアの王侯貴族パワーで一行は神父から好待遇で祭壇の前に案内された。早速神父にお布施を渡してお祈りをしようとするが、神父が優之介と斬波の顔を見たとたん、扱いに困るような物を見つけたような表情になった。
「あ? どした? 俺と優之介の顔に何か付いてんのか?」
「斬波さん、喧嘩売るような事言わない!」
「失礼ですがそちらの男性二人は以前にもここで祈りを捧げておられましたよね?」
「え、あぁ……はい」
「祈りの姿勢はきちんと膝を折り、両手を組んで、静かに目を閉じて行うのですよ」
(あ~前回来た時は神社のお参りスタイルだったからなぁ……)
どうやら神父は優之介と斬波のお祈りスタイルがよろしくない事を気にかけているようで、野郎二人に対し正しい祈りの捧げ方を教えた。「別にそんなもんいーだろー」と斬波は少しゴネたが皆に説得された結果、きちんと膝を折ってお祈りした。神父と物陰から見守っているシスターも満足そうにしている。
そして野郎二人は前回と同様祈りを捧げている最中、頭の中に直接響く声で目を開けた。
――――――――――――――――――――
「あ、オムニアさんお久しぶりです」
「うっす」
「はっはっは、しばらくぶりじゃのぅユウノスケ、シバ」
野郎二人の目の前には真っ白な世界と円卓に座る九柱の姿が見える、神々の住まう場所に来られたようだ。円卓の一番奥でオムニアが野郎二人に声を掛ける。
「そして、そちらのお嬢さんは初めましてじゃな」
「「え!?」」
「あれ? ここは……」
どうやら今回は葵も神々の住まう場所に案内されたようだ。オムニアの言葉で葵の存在に気づいた野郎二人はただただ驚いた。
「葵さんがいる……」
「いるな……」
「あ、斬波、優之介君、ここは何処なのかしら? 私達は教会で祈ってたはずよね?」
「お嬢さんの名前はアオイと言うのか、良い名じゃな」
「あ、貴方は……」
「儂の名はオムニア、君にわかりやすく言うなら転移後の世界を想像した者じゃよ」
ここから先は野郎二人の時と同じように葵と神様達の自己紹介をしていく流れだったので、その間は優之介と斬波は暇だった。
それぞれの自己紹介を終えると、オムニアは今回三人をこの場所に招いた要件を告げた。
「さて、今回君達を呼んだのは、以前借りたスマートホンを返す為じゃ」
オムニアはそう言うと隣に座っているジュノンに目配せした。するとジュノンは懐から優之介のスマートホンと斬波のスマートホンを出して、野郎二人の前に差し出した。
「ユウノスケ君、シバ君、これありがとねん♪ おかげで楽しかったよ」
「まぁ、喜んでもらえたようで何よりです」
「んで、複製は成功したのか?」
斬波がジュノンにそう質問すると、ジュノンは豊かな胸をえっへん! と張って笑顔で答えた。超ゆさっとした。
「バッチリさ♪ 私達の九神の分全部複製できたよ。そして肝心の通信はスマホ間を神力で直接結んで行う仕組みにしたんだ」
「その辺はやっぱ魔力とか神力とか便利だな」
「そして、君達のスマホも少し弄らせてもらったよ。ホーム画面を開くと見覚えのないアプリがあると思うんだけど、それを見てくれるかい?」
ジュノンがそう言うので、優之介と斬波はそれぞれ自分のスマートホンを起動させホーム画面を見てみると、ジュノンから吹き出しが出ていて、その吹き出しの中には「TALK」と書かれたアイコンが表示されていた。何かのアプリのようだが、これが何なのか察した斬波はすぐさまアンインストールしようとするが、ジュノンに止められる。
「身に覚えがないアプリがインストールされてる、消そう」
「待って待ってシバ君! 今からそのアプリ”Gods Talk”の説明をするから消そうとしちゃダメだよ!!」
「言うてどんなアプリかはもうお察しだがな」
「まぁ、LINEとほぼ同じで、私達九神とチャットしたり通話したり、イェクムオラムのあれこれを教える事ができるアプリなんだけど……」
傍から見ればいつでもどこでも神と言葉を交わせるアプリとか聖遺物か何かと思わされるが、優之介は苦笑いし、斬波はめんどくさそうな表情をしている。
「このアプリがあれば毎晩シバ君は私からのラブコールを受け取れるから「やっぱ消そう」」
「まぁまぁ斬波さん、異世界のガイドブックアプリと思って、とりあえずそのままにしましょうよ」
「まぁラブコールは冗談だとしてもユウノスケ君の言う通りだ、君達はイェクムオラムの人間じゃないんだからガイドブックくらいもっておきなさい」
「はぁ、まぁそう言う事なら……」
「と、言うわけでアオイちゃんにもこのスマホをプレゼントしよう、存分に役立ててくれたまえ♪」
「あ、ありがとうございます……」
ジュノンは葵にもスマホを渡した。葵は受け取ったスマートホンをまじまじと見つめた後、自身のポケットにスマートホンをしまった。
「ユウノスケ、シバ、感謝するぞ。このスマートホンとやらは面白いのぅ、特に動画とやらを見るのが面白い♪」
「他にもゲームとかもできて面白い!」
「あははは……」
どうやら既に神様達は現代の若者の様にスマートホンを使ってはいろいろ楽しんでいるようだった。通信費とかその辺はどうなっているのか色々疑問に思うところがあるが、彼らを見ていると神様のイメージが崩れるのは確実と言えよう。
以前来た優之介と斬波は元より葵も最初こそは神と聞いて戸惑っていたが、次第に打ち解けていき、終いには完全にお友達になっていた。
「アオイちゃんも大変だったわよねぇ~、王様に勇者認定されちゃって」
「私としてはただ単に鍛錬を積んでただけなのに……」
「何故真面目に鍛錬を?」
「強くなる為?」
「ローリエ、ナトレーザ、そんなの理由は一つしかないじゃないか。恋だよ恋! シバ君の隣を歩ける様に、背中を預けてもらえるようになる為さ!!青春だねぇ♪」
「「キャーー!!」」
「ちょ、ちょっとジュノンやめてよ!!」
気が付けば葵、ジュノン、ローリエ、ナトレーザ、アハヴァースが恋バナで盛り上がっていた。
「斬波さん……」
「な、なんだよ……?」
「何でもありません」
「…………」
「ふふ、時にこうして外の者達と会話をするのはいいものですね」
「そうだなマルシャン、俺もそんな気分だ」
「ユウノスケとシバとスマホに出会ったのがきっかけだべや」
「…………」(今度何かボードゲームでも作って奉納してやろうかな?)
神々と談笑をする優之介と葵を見て、斬波は機会があれば娯楽品をプレゼントしてあげようと心に決めるのだった。
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