第十二話 宝石採掘デート
ハンス・フォン・ワッケーロこと、リビングアーマーを倒して先に進んだ一行は、採掘やドロップ品で鉱石や宝石を集めてはしゃいでいた。
「やば! これルビーじゃん!?綺麗!!」
「こっちはエメラルドだわ、それもピンポン玉くらい大きい!」
「ゾンビエリアを頑張ってくぐり抜けてきた甲斐がありましたね♪」
壁に埋まっている宝石を見つけた理音、優里音、春香、咲良は、目の色を変えて宝石を採掘していた。その勢いはまるでスーパーの特売に群がる主婦のようで、その光景を後ろから見ていた優之介は「宝石がたくさん取れるから気持ちはわかるけど、流石に食いつきすぎだよ……」とちょっと引いてた。
「見てくださいユウノスケさん、綺麗なトパーズですよ! しかもとても良いサイズです♪」
しかし、ジャパニーズガールズと一緒にレミリアも宝石をとっては、優之介に「どうですか? 綺麗ですよ!」と見せに来る光景はとても可愛らしいので、優之介は柄にもない事をついつい言ってしまっていた。
「レミィの瞳の色とマッチして綺麗だよ♪」
「そんなっ、そんな事言われたら恥ずかしいです……///」
優之介に褒められたレミリアはいやんいやんしてなんだか嬉しそうだ。その様子を間近で見ていたソフィーリアはレミリアに負けじと宝石をとっては優之介の下に持って行った。かわいい。
「ユウノスケ様♥ こちらにダイヤモンドが落ちていましたわ♪」
「ネックレスとかにすると似合いそうだね♪」
「そこは婚約指輪と行って欲しかったですわ!」
と言いつつもソフィーリアは嬉しそうにダイヤモンドを眺めていた。
採掘を楽しむレミリアとソフィーリア、そしてそれを見守る優之介、仲睦まじい男女が仲良く宝石を採掘している光景は、理音達を嫉妬させるには効果抜群だったようで、先ほどの勢いはすぐになくなってしまった。
「宝石採掘デートとか羨まし過ぎるでしょ……」
「いいなぁ~、私も彼氏欲しい~~!」
「理音と優里音の気持ちはわかるけど異世界で出会いは望めないと思うわ……」
「交際なら異世界の方が堂々とできるけど……できるけどぉ…………」
特売モードからお通夜モードのジャパニーズガールズと、イチャイチャモードの優之介とレミリアとソフィーリアはさておき、斬波は斬波でミスリルを手にして興奮していた。
「お~! これがミスリルか!!実際に持ってみると鉄より軽いが硬そうだ。顕微鏡があれば是非とも組織を観察してレポートをまとめたいところだが……」
「斬波ぇ……。それもう職業病じゃないの?」
斬波がはしゃぐ様子を葵は少し呆れた様子で見ていた。そして現代人にとっては聴き慣れた会話だが、クラウディアにとっては少し新鮮な会話に聞こえた。特に「顕微鏡」と言う単語は初めて聞いたので、知的好奇心がそそられる。
クラウディアは顕微鏡とは何なのか斬波と葵に質問した。
「シバ、アオイ、顕微鏡とは何だ?」
「顕微鏡って言うのは物体を細かく見るための道具よ。例えばこの石ころ、目で見てもただの石ころだけど、顕微鏡で除けば細かい物質の集まりになっているのがわかるわ」
「まぁ、岩を砕けば石に、石を砕けば砂になるのだから理解できなくもないが……」
「顕微鏡を使えば肉眼では見えない程細かいものが見えるのよ」
クラウディアの質問には葵が答えた。更に顕微鏡を通して見た景色がどんなものかを教えてあげると、クラウディアは「ほほう」と興味関心を抱いていた。
「肉眼では見えぬ景色、実に興味深いな」
「凸レンズと染色体があればできるぞ、材料が揃ったら作ってやろうか?」
「本当か!?約束だぞ!」
「あぁ、約束だ♪」
斬波がクラウディアに顕微鏡を作る事を約束した事で、彼女は嬉しそうにしていた。そばで見ていた葵も笑い合っている二人のやり取りを見てほっこりしている。
「ふふふっ♪」
「ん、どうした葵?」
「何でもないわよ♪」(斬波とクラウのやり取りがなんだか青春ぽいなぁ、羨ましいわ……)
葵はそのまま斬波とクラウディアの会話を見守っていると、クラウディアが顕微鏡の話から宝石の話に話題を急に変えてきた。クラウディアも優之介達ような絡みを斬波としたいのだろう、期待を込めた眼差しを斬波に向けるが、斬波は宝石に興味がないのか曖昧な返事を返した。
「顕微鏡の事は置いておくとして、シバよ、ミスリルも良いが宝石には興味がわかないのか?」
「ん? あぁ、ねぇわけじゃないけど適当に採掘しとくわ……」
「…………私もレミリアやソフィーのように見繕ってもらいたいのだが?」
「今はいらねぇだろ」
「…………」
(((あぁ~ありゃないわぁ~~)))
クラウディアの誘いに乗らない斬波に対し女子一同から一斉にジト目を向けるが、斬波は全く意に返さない。
「シバ……、流石の私もちょっと泣くぞ!?」
「ちょっと斬波! 流石にそれはないわよ!!てか私も見繕ってもらいたいんだけど!!」
「クラウ、葵、今こんな場所で石ころ渡したって意味ないだろ? お前らの方が綺麗なんだからさ。だから宝石は適当に、メインの鉱石をしっかり回収してとっととダンジョンをクリアするぞ。と、いう訳で宝石集めはこの辺にして先行くぞ」
斬波はそう言うと荷物をまとめてさっさと歩き出してしまった。優之介、レミリア、ソフィーリアとジャパニーズガールズは、残された葵とクラウディアに駆け寄り、励ましの言葉をかけると同時にと茶々を入れた。
「大丈夫ですよ、葵さんとクラウさんの気持ちはちゃんと届いています♪」
「え、でも私……斬波に告白してないわよ?」
「アオイさんがお義兄さんに好意を抱いているのは私から見てもわかりますよ。ですからお義兄さんも気づいてますって!」
「そうだよ、それに葵聞いた? 『お前らの方が綺麗なんだからさ』だって、ナチュラルにあんな事言われちゃうんだもんいいなぁ~♪」
「~~~…………///」
「クラウも負けないで! これは愛の試練だわ!!」
「クラウ様、その調子です」
「あ、あぁそうだな!」
「しかし斬波さんも罪な殿方ですわね、葵が斬波さんの事が好きなのは前々から知っていましたけど、異世界のご令嬢まで惚れさせるなんて♪」
「ちょっと春香! 何言ってんのよ!?べっ別にそんなんじゃ「はぁいうっそ♪」」
「葵ちゃん空港で斬波きゅんの事をずっとちらちら見てたもんね~♪」
「こら優里音ーー!」
「わ~逃げろ逃げろぉ~~♪」
斬波が先を行く中、団子になっている斬波以外の一行の中で、優里音が逃げるようにいちぬけて斬波の背中を目掛けて走っていく。そして優里音を追いかけるように次は葵が走り出し、そしてその後ろから優之介達がぞろぞろと斬波の元へと駆け寄って行った。
(シバ様も素直じゃありませんね、ここに到達してから真っ先にお二人に合う宝石を採掘していらしたのに♪)
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